こんにちは!アルメニアに5ヶ月滞在した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ)
アルメニア観光の目玉といえば、歴史ある修道院や教会を訪れることではないでしょうか。
実はここアルメニアは、世界で初めてキリスト教を国教とした国。
その歴史は301年に遡り、1700年以上もの長い間、人々の信仰を集める祈りの場としての役割を果たしてきた修道院は、アルメニアという国を語る上で切っても切れない場所です。
アルメニアに来るまで想像さえしていなかったのですが、この国の宗教建築の秀逸さやこだわりはキリスト教圏の中でも群を抜いています。
「さすが、世界初のキリスト教国!」と感銘を覚えるほどの神々しい雰囲気は、宗教の違いを越えた感動を与えてくれます。
アルメニアは関東地方ほどの面積しかない小さな国ですが、その国土には4000か所以上の修道院が点在しています。
全部訪れるのはもちろん不可能ですし、初めてこの国を訪れる旅行者はどの修道院に行けば良いのか迷ってしまうはず。
というわけで今回の記事では、のぶよが5ヶ月間のアルメニア滞在中に訪れた修道院をランキング形式で10か所紹介していくもの。
「うわぁ…」と感動した順になっており、完全なる主観でのランキングはありますが、きっとこれからこの国を旅する人の役に立つはずです!
アルメニアの修道院第10位:聖フリプシメ教会 世界遺産
・立地:★☆☆☆☆
・歴史:★★★★★
・雰囲気:★★☆☆☆
・建築:★★★☆☆
・異世界感:★★☆☆☆
いきなり紹介するのが、世界遺産にも指定されている聖フリプシメ教会(Saint Hripsime Church / Սուրբ Հռիփսիմե եկեղեցի)。
アルメニア使徒教会の総本山がある「聖なる都市」・エチミアジンに建つ聖地は618年に完成したもの。
現存する中では世界で最も古い時期のキリスト教建造物の一つとされています。
この場所の名前の由来となっている「聖フリプシメ」は、290年頃(1700年前)にアルメニアへやって来た修道女のこと。
当時の国王・トルダット3世の求愛を拒否し、拷問の末に殺害されるという悲惨な運命をたどった人物です。
彼女の遺体が入っているとされる棺は、現在でも教会最奥部の小部屋に残っており、静謐で厳かな雰囲気。
言葉では言い表せないほどのパワーに満ちているような気がしました。
アルメニアの修道院第9位:マトサヴァンク修道院
・立地:★☆☆☆☆
・歴史:★★☆☆☆
・雰囲気:★★★★★
・建築:★★☆☆☆
・異世界感:★★★★★
アルメニアの宗教建築の素晴らしさは、現役の修道院だけにとどまりません。
キリスト教国として世界で最も長い歴史を誇るこの国には、いつの間にか人々に忘れ去られた廃修道院もたくさん。
人の手が加えられなくなった建造物を自然が呑み込もうとしている…そんなせめぎ合いのような風景がとにかく素晴らしいのです。
アルメニアの避暑地として人気のディリジャン近郊に位置するマトサヴァンク修道院(Matosavank monastery / Մաթոսավանք)は、「廃修道院界の王者」のような場所です。
ディリジャンの深い森の中にぽつりと建つマトサヴァンク修道院は、1247年建造の中世の修道院。
屋根まで草に覆われた外観も目を引きますが、緑色の苔にびっしりと覆われた内部の光景はとにかく異世界です。
「世界一ジブリの世界感な修道院」等でアピールすれば、もうちょっと観光客が来そうな気もするのですが…いかがでしょうか(笑)
アルメニアの修道院第8位:ハガルツィン修道院
・立地:★★★☆☆
・歴史:★★☆☆☆
・雰囲気:★★★★☆
・建築:★★★☆☆
・異世界感:★★★★☆
ディリジャン地域からもう一つ推したいのが、深い山奥にぽつりとたたずむハガルツィン修道院(Haghartsin monastery / Հաղարծին վանական)。
ディリジャン観光の必見スポットとされる場所でありながら、アクセスはかなり不便。
しかし、その不便さを乗り越えて行く価値が大いにあります。
目の前に絵画の世界がそのまま広がっているのですから。
ハガルツィン修道院は、11世紀~13世紀の約200年間に渡って徐々に建設が進められたもの。
アルメニア語で「ハガルツィン=飛び交う鷲」を意味する名前の通り、周囲の山々からやってきた鷲たちが教会のドームの上を飛び交う姿が現在でも見られるのだそうです。
ハリーポッターの映画に出てきそうな800年前の食堂や、半壊したガヴィト(拝廊)の跡地も芸術的。
周囲の緑あふれる自然と完璧に調和した聖地の風景は、アルメニア観光のハイライトの一つだと思います。
アルメニアの修道院第7位:サナヒン修道院 世界遺産
・立地:★★★☆☆
・歴史:★★★★☆
・雰囲気:★★★★☆
・建築:★★★★☆
・異世界感:★★★☆☆
アルメニア北部のロリ地方の大地を引き裂くように連なるデベド渓谷。
中世の修道院が目白押しのエリアなのですが、中でも観光の目玉の一つとなるのがサナヒン修道院(Sanahin / Սանահին)です。
中世アルメニア王国が黄金時代を謳歌していた930年代(1100年前)に建設が始められ、完成後は中世アルメニアの教育・文化の中心として栄えた歴史があります。
サナヒン修道院は「由緒正しき聖地」としてアルメニア人の間でも人気が高いのですが、内部の建築はとにかく圧巻。
ディテールにまでこだわりぬかれた装飾に囲まれた修道院内部の空間には、人口の明かりはいっさいありません。
自然光がうまく入って内部を照らすように緻密な計算の下に設計されており、薄暗い内部を一筋の太陽光が照らす光景は、まさに「神様がここにいる」と感じさせるもの。
中世アルメニアの建築技術の結晶が感じられるサナヒン修道院。
世界遺産に登録されているのも納得の、圧倒的な聖地感に鳥肌が立ちました。
アルメニアの修道院第6位:ホファナヴァンク修道院
・立地:★★★★★
・歴史:★★★★☆
・雰囲気:★★★★☆
・建築:★★★★☆
・異世界感:★★★★☆
エレバンからほど近いアラガツォトゥン地方の渓谷地帯に建つホファナヴァンク修道院(Hovhanavank/ Հովհաննավանք)は、アルメニアの地元の人が「あそこは良いぞ!」とおすすめしてくる場所。
旅行者の間での知名度はあまり高くありませんが、実際に行ってみてびっくり。
すぐ下に口をぽっかりと開くカサフ渓谷の断崖絶壁に建つロケーションと、黒とオレンジの石造りの美しい外観は、まるで異世界から飛び出してきたかのようだったからです。
ホファナヴァンク修道院が完成したのは、アルメニアの大部分が中世グルジア王国(現在のジョージア)の支配下に入っていた1251年のこと。
そのため、修道院の建築様式自体はアルメニアの伝統的な宗教建築に忠実でありながらも、細かい装飾にジョージアの宗教建築の特徴が見られる点も興味深いです。
立地も、建築様式も、異世界感も…総合的に、かなりポイント高めなホファナヴァンク修道院。
エレバンからの日帰りも簡単にできるので、ぜひ訪れてほしいです!
アルメニアの修道院第5位:コバイル修道院
・立地:★★★★☆
・歴史:★★★★☆
・雰囲気:★★★★★
・建築:★★★☆☆
・異世界感:★★★★★
アルメニア北部のデベド渓谷には、サナヒン修道院とハフパット修道院の二つの世界遺産の修道院があります。
多くの観光客は現地ツアー等で二か所の修道院をサッと観光して去っていきますが、本当に本当にもったいない…
デベド渓谷を一望する山の中腹に建つコバイル修道院(Kobayr Monastery / Քոբայրի վանք)は、絶対に見ておくべきです。
コバイル修道院一帯は、13世紀に中世グルジア王国(現在のジョージア)によってイスラム勢力の支配下を脱出した地域。
1230年代に改装された際に、ジョージアの宗教建築の特徴であるフレスコ画が聖堂の内壁に施され、現在でも素晴らしい状態で残っています。
断崖絶壁に建つコバイル修道院の敷地は、年々崩落のリスクが高まっているそう。
もしかすると近い将来見られなくなってしまう可能性も…今のうちにぜひとも目に焼き付けておきたい聖地です。
アルメニアの修道院第4位:ハフパット修道院 世界遺産
・立地:★★★★☆
・歴史:★★★★☆
・雰囲気:★★★★★
・建築:★★★★☆
・異世界感:★★★★★
アルメニア北部のデベド渓谷エリアで、サナヒン修道院とともに世界遺産に指定されているハフパット修道院(Haghpat Monastery / Հաղպատավանք)は、多くの旅行者が訪れるアルメニア観光のハイライトとしての顔を持つ聖地。
中心的な建造物である聖ヌシャン教会の完成は991年で、その後次々に建物が増築されて現在の姿になりました。
デベド渓谷エリアの他の修道院と同様に、ハフパット修道院も中世グルジア王国(現在のジョージア)の宗教建築の影響を受けており、およそ800年前のオリジナルのフレスコ画が良好な保存状態で残っています。
デベド渓谷を一望するロケーションも、圧倒的異世界感も、細部にわたる建築のこだわりも…アルメニア全体を見てもトップクラスの完成度を誇ります。
アルメニアでは珍しく、ハフパット修道院は中世以降に異民族による攻撃の被害を受けなかったのも特徴的。
同時に、その歴史には何やら不吉な出来事や伝説も多くささやかれており、「呪われた聖地」のようなミステリアスな一面も見逃せません。
アルメニアの修道院第3位:ハリチャヴァンク修道院
・立地:★★★☆☆
・歴史:★★★★☆
・雰囲気:★★★★★
・建築:★★★★★
・異世界感:★★★★★
アルメニア北西部のシラク地方に位置するハリチャヴァンク修道院(Harichavank / Հառիճի վանք)は、中世アルメニア王国黄金時代の建築技術や富の全てを注ぎ込んだかのような傑作。
ここに関しては、もう言葉であれこれ説明する必要はありません。
外観の異世界感も内装の厳かさも1400年の歴史も…アルメニアに数ある修道院の中でもトップクラスの見ごたえを誇ります。
ハリチャヴァンク修道院の歴史は1400年前に遡り、徐々に増設が繰り返されて現在の姿になりました。
敷地内全体を眺めると感じられる完璧な調和は、それぞれの建物が別の時代に造られたものだとは信じられないほど。
観光客の定番ルートからは外れた場所にあるため訪れる人は少ないですが、ぜひとも足を運んでほしい聖地のひとつです。
アルメニアの修道院第2位:ホル・ヴィラップ修道院
・立地:★★★★★
・歴史:★★★★★
・雰囲気:★★★★☆
・建築:★★★★☆
・異世界感:★★★★★
アルメニア人の心のふるさとのような存在と言えば、現在はトルコ領となっているアララト山。
一年中雪をかぶったこの山を背景にたたずむホル・ヴィラップ修道院(Khor Virap / Խոր Վիրապ)は、アルメニアを訪れる旅行者のほとんどが訪れる人気の修道院です。
その人気の理由は、どうしようもないほどに異世界の風景が広がっているため。
立地面ではアルメニアでも髄一の素晴らしさで、何も知らない状態で訪れてもきっと感動するはずです。
「ホル・ヴィラップ修道院=絶景」ばかりスポットライトが当てられがちですが、実はここはアルメニアの歴史においてものすごい役割を果たした場所。
3世紀後半(1700年以上前)にアルメニアのキリスト教化に努めた啓蒙者グレゴリウスという人物が、当時の国王に13年間もの間幽閉されていた地下牢が現在でも残っているのです。
結果的に、国王は啓蒙者グレゴリウスの起こした奇跡を目の当たりにして、301年にキリスト教を国教として容認。
こうしてアルメニアは世界初のキリスト教国となったのです。
そういう意味では、ここホル・ヴィラップ修道院こそが、現在にまで続くキリスト教国・アルメニアのはじまりの地と言えるのかもしれません。
アルメニアの修道院第1位:ゲガルド修道院
・立地:★★★★★
・歴史:★★★★★
・雰囲気:★★★★★
・建築:★★★★★
・異世界感:★★★★★
とにかく全てにおいて「アルメニアNo.1」と胸を張って主張したいのが、世界遺産にもなっているゲガルド修道院(Geghard Monastery / Գեղարդ)。
ここに関して言いたいことはただ一つ。アルメニアを訪れるなら絶対に行ってください。
もうね、存在自体が芸術でしかないので。
ゲガルド修道院のはじまりは、アルメニアのキリスト教受容直後の4世紀(1700年前)に遡ります。
この地で太古の昔から湧いていた水が「聖なる水」とされ、天然の岩の内部を手作業でくりぬいて洞窟修道院が作られました。
現在でもゲガルド修道院の一部は岩にくっついており、遥か昔に掘られた洞窟修道院部分へアクセスすることも可能。
洞窟部分の内部は「これ…本当に天然の岩を掘ったの?!」と信じられなくなるほどに素晴らしい装飾が施されています。
1700年前に「聖なる湧き水」とされた水は、現在でもこんこんと洞窟の奥で湧き出ており、その効能を信じる人々が列を作っています。
また、イエス・キリストが磔の刑にされた時に脇腹を刺したとされる「ロンギヌスの槍」が長い間保存されていたのも、ここゲガルド修道院。
こうして一つ一つ挙げればきりがないほどに、ゲガルド修道院は古くからアルメニアの人々の信仰の根幹を成してきた場所。
毎週日曜日には多くの人が巡礼に訪れ、聖歌を歌って祈りを捧げる伝統は現在でも続いています。
エレバンからの日帰りも簡単なので、どうか限られた日程の旅行でもここだけは絶対に行ってください…!
おわりに
アルメニアを旅行するなら絶対に訪れてほしい10か所の修道院をランキング形式で紹介しました。
外観も内装もとにかく秀逸なものばかりなのですが、ピリッと張りつめたような神聖な雰囲気までは、写真だけではなかなか伝えられないもの。
本当に、実際に行って五感で感じてほしいです。
修道院観光は間違いなくアルメニア旅行のハイライトですが、それ以外にもこの国には魅力がたくさん。
アルメニア旅行&観光に役立つ記事は他にも多く書いているので、あわせて読んでもっとこの国の魅力を知ってほしいです!
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