こんにちは!アルメニアに5ヶ月滞在した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
アルメニアの首都・エレバンのすぐ東に位置するコタイク地方(Kotayk / Կոտայք)は、旅行者にとって定番のデイトリップ先となるスポットが点在しているエリア。
今回紹介するのは、コタイク地方でも最もポピュラーな町の一つであるツァグカゾール(Tsaghkadzor / Ծաղկաձոր)です。
ツァグカゾールは、山の中腹に位置する人口1200人ほどの小さな町。
その人口規模と比較すると信じられないほどに、大型ホテルやヴィラなどの宿泊施設が点在しています。
それもこれも、ツァグカゾールはスキーリゾートとしてアルメニアでは知らぬ者はいないほどの知名度を誇るため。
町の西側にはスキー客用のリフトが設置されており、ちょっとした観光名所となっています。
冬場のハイシーズン以外の時期は、まるでゴーストタウンのようにひっそりと静まり返るツァグカゾールですが、スキー目的以外にも訪れる価値はあります。
今回の記事は、ツァグカゾール観光に必要な情報を解説するもの。
ツァグカゾール単体の観光だと、正直「うーん…」といった感じ。
周辺の見どころと組み合わせて訪れるのが良いでしょう。
ツァグカゾールの見どころ
ツァグカゾール観光マップ
リフト
ツァグカゾール観光における最大のアクティビティとなるのが、町の西側に敷かれたリフトに乗ること。
「コタイク地方の大地を一望できる絶景リフト」として、アルメニアではかなり有名です。
本来はスキー用で、三本のリフトが敷かれていますが、冬季以外は一本のみの運行です。
リフトは往復券のみの販売で、1人往復3000AMD(=¥684)。
片道チケットの販売はありません。
リフト乗り場があるのは、標高1750mの地点。
ここから一気に標高2234m地点まで上ることができます。
さすが名物だけあって、リフトからの眺めは素晴らしいもの。
ツァグカゾールの町全体が見渡せるのはもちろん、コタイク地方の荒涼とした大地と山々や、セヴァン湖までを一望するパノラマが広がります。
特に美しいのが、秋の紅葉の時期だそう。
ツァグカゾールは標高が高いため、アルメニアの他地域よりも紅葉の時期は早く、年にもよりますが10月の1週目あたりがピークとなります。(のぶよが行ったのは11月の頭でしたが、ご覧の通り紅葉は完全に終わっていました…)
およそ20分ほどの空の旅を楽しんだ後は、標高2234m地点に到着。
多くの人で賑わっているのかと思ったら、ちょっとした出店が数軒並んでいるだけの寂しい雰囲気で拍子抜けでした ▼
リフト降り場付近には特に見どころ等はなく、家族連れがのんびりとピクニックをしているだけの平和な光景。
あくまでも、リフトからの絶景が醍醐味だと感じました。
ケチャリス修道院
ツァグカゾール中心街に堂々と建つケチャリス修道院(Kecharis Monastery / Կեչառիսի վանական համալիր)は、町のシンボル的存在。
11世紀~13世紀の建造で、この町がスキーリゾートとして開発されるよりも何百年も昔から、人々の信仰を集めてきた聖地です。
幾度となく地震によって破壊されてきたケチャリス修道院。
現在では完全に再建され、その美しい姿が訪れる人々に感動を与えます。
ここでは、ケチャリス修道院の敷地内の主な見どころを紹介していきます。
聖グリゴル教会
ケチャリス修道院の敷地内で最大&最古の建造物が、聖グリゴル教会(Surb Grigor Church)。
中世アルメニア王国の黄金時代である1013年の完成で、当時の栄華を示すような堂々としたたたずまいと、こだわりぬかれた内装が特徴的です。
教会の西側にはガヴィト(拝廊)が設置されており、聖堂部分と中でつながっています。
ガヴィトを併設するスタイルの教会は、当時のアルメニアの聖堂建築の定番ともいえるもの。
内部には石を切り取って作られた柱やアーチなどが見られ、当時の精巧な技術に感動します。
ガヴィトから奥へと続く扉をくぐると、いよいよ聖堂部分 ▼
聖堂内部は、アーチに支えられたドーム型天井から自然光が差し込む幻想的な雰囲気。
多くの人がお祈りに訪れており、現役の聖地として機能していることを実感します。
聖グリゴル教会の建物自体は2000年に改修工事が完了したばかり。
そうとは思えないほどに、建設当時の重厚な雰囲気がしっかりと醸し出されていました。
聖カトギケ教会
ケチャリス修道院の敷地内南側に建つのが、聖カトギケ教会(Surb Katoghike)。
13世紀頃の建設だと考えられています。
聖カトギケ教会の内部は、外から見るのに比べてかなりこじんまりとした空間。
グレーの石で統一されたシンプルな内装ですが、どこか凛とした雰囲気が漂っていました。
聖ハルトゥン教会
ケチャリス修道院の敷地の外100mほどの場所にぽつりと建つのが、聖ハルトゥン教会(Surb Harutyun Church)。
木々に囲まれた小さな教会は1220年の建造。
紅葉の時期はとにかく美しい風景が見られることで人気なのだそうです。(もっと早い時期に来ればよかった…)
教会の入口部分は二つのアーチを一本の柱が隔てている、アルメニアではあまり見られないスタイル。
内部はかなり狭く、「チャペル」と呼んだ方がふさわしいような印象です。
こちらも現役の祈りの場として機能しているようで、内部には宗教画やロウソクが多く残されていました。
オルベリ兄弟ハウス・ミュージアム
ツァグカゾール中心街の一角に建つオルベリ兄弟ハウス・ミュージアム(Orbeli Brothers House Museum)は、この町出身のオルベリ家の功績の数々を讃えたもの。
オルベリ家とは、12世紀頃から科学者を多く輩出し、アルメニアの発展に寄与してきた一族。
その功績は20世紀のソ連時代にも見られ、当時のソビエト・アルメニア科学研究機関の代表となったレヴォン・オルベリという人物もこの一族の末裔です。
ミュージアムのすぐ隣にはオルベリ家が輩出した歴代の著名な科学者の彫刻が施された広場があり、記念撮影スポットとして人気になっています。
ツァグカゾール中心街
ツァグカゾールの中心街は、徒歩でぐるりとまわっても20分ほどしかかからない規模。
冬場はスキー客で賑わうそうですが、紅葉も終わり雪もまだ降っていない11月頭という中途半端な時期もあってか、まるでゴーストタウンのようにひっそりとしていました。
正直、ツァグカゾールの中心街は「スキーリゾートのために開発された街」といった感じが強く、個人的にはあまり好みではありませんでした。
いっぽうで、お洒落なレストランやバーなどは多くあるので、リゾート目的の滞在には困らないかも。(多くはロシア人スキー客向けっぽい感じ)
スキー目的の人や、山の空気を吸いながらのんびりとリゾート滞在したい人は、数泊のんびりしていくのも良いかもしれません。
【ツァグカゾールの宿をチェック!】
ツァグカゾールへのアクセス方法
ツァグカゾールへのアクセス拠点は、首都のエレバンからが一般的。(ディリジャン / セヴァンからタクシーも可能)
アクセス方法には以下の3通りがあります。
アルメニア屈指のスキーリゾートであるツァグカゾールですが、エレバンから個人でアクセスする場合は、③シェアタクシー→マルシュルートカ と乗り換えをすることになる場合がほとんど。
とはいえ難しいことはなく、個人でも簡単にアクセス可能です!
①タクシー
最も快適&簡単な移動手段が、タクシーをチャーターしてしまうこと。
エレバンを拠点とする場合が多いでしょうが、セヴァン湖エリアの中心都市・セヴァン(Sevan)からタクシーを利用することも可能です。
エレバン/セヴァン~ツァグカゾールへの単純往復でもOKですが、せっかくなら周辺の見どころもセットでまわるのが良いと思います。
・エレバン~ツァグカゾールの片道:8000AMD(=¥1822)~
・セヴァン~ツァグカゾールの片道:2500AMD(=¥569)~
・エレバン~ツァグカゾール~セヴァン~ディリジャンと移動しながら観光:20000AMD~25000AMD(=¥4597~5746)
タクシーをチャーターする場合でおすすめのプランが、ツァグカゾール→セヴァン→ディリジャンと移動しながらの観光。
いずれも同じ方向にあり、アルメニア観光のハイライトとなる見どころが点在しているので、丸一日たっぷりと使って楽しむことができます!
②現地ツアー
「交通手段をあれこれ考えるのが面倒!」という人は、現地ツアーに参加するのもおすすめ。
ほとんどがエレバン発着のツアーで、ツァフカゾールとセヴァン湖周辺の見どころをセットで訪れるのが定番です。
中にはさらに先のディリジャンまで足をのばす盛りだくさんのツアーも。
限られた日程でも効率的に観光することが可能です!
③シェアタクシー + マルシュルートカ
かなりポピュラーなスキーリゾートであるツァグカゾールですが、エレバンからのアクセスにはやや難あり。
いちおう”278Ա”という番号で直行マルシュルートカが走ってはいるのですが、1日1本のみ(10:30エレバン発 / 16:00ツァグカゾール発)と使いにくいです。
個人的には、
①エレバンからコタイク地方の中心的な町であるフラズダン(Hrazdan / Հրազդան)まで行く
②フラズダンでツァグカゾール行きのバスに乗り換える
という2ステップでの移動の方が圧倒的に本数が多いのでおすすめです。
ここからは「個人で行きたい!」というのぶよタイプの旅行者のために、個人でのアクセス情報を詳細に解説していきます。
(ネット上にほとんど情報がなく、かなり苦労して集めた情報なので、ありがたく思っていただきたい…)
【往路①】エレバン→フラズダン(シェアタクシー)
エレバン~フラズダン間にはマルシュルートカ路線が存在しません。
(かつてはあったそうですが、廃止になったそう)
そのため、「シェアタクシー」と呼ばれる相乗りのタクシーを利用することとなります。
アルメニアのシェアタクシーは、地元の人が自家用車を使って大都市~地元間を走っているだけのもの。
正規のタクシーは車外に”TAXI”の表示が必ずありますが、シェアタクシーには一切の表示がありません。
とはいえ危険は全くなく、バス路線がない地域における地元の人の足として機能しているので、安心して利用できます。
フラズダン行きのシェアタクシーが出発するのは、エレバン中心街の北東に位置するライコムバス停(Raykom Bus stop)です ▼
ライコムバス停は一見すると何の変哲もない市内路線バスのバス停ですが、コタイク地方の小さな町へと向かう中距離バス/マルシュルートカの発着ポイントとなっています。
エレバン中心部からライコムバス停までは4kmほどの距離ですが、中心街よりも高台に位置しているため徒歩でのアクセスは大変。
エレバン市内路線バスや市内マルシュルートカを利用してのアクセスが現実的です。
(ライコムバス停近くには地下鉄が通っていません)
・中心街(メスロプ・マシュトツ通り)から:路線バス58番
・エレバン中央駅から:路線バス58番/マルシュルートカ43番
ライコムバス停に到着したら、バス停から20mほど通りを北東に進みましょう。
フラズダン行きのシェアタクシーが数台停車しているポイントがあります ▼
この地点に来ると、シェアタクシーの運転手が「フラズダン?」と十中八九声をかけてくるので、すぐにわかります。
アルメニア語では「フラズダン」の「フ」の音がかなり弱く、「ラズダン」に近い発音になります。
いずれも同じ町のことを指すのでご安心を。
シェアタクシーはほぼすべて、5人乗りの乗用車。
乗客が4人集まった時点で随時出発するシステムですが、エレバン~フラズダン間はかなり人の行き来が多いようで、5分~10分ほどの待ち時間で出発することがほとんどです。
【往路②】フラズダン→ツァグカゾール
エレバンからのシェアタクシーの終点は、フラズダン中心街の北端に位置する「ミクロ・ディストリクト」(Micro district / 地元民は単に「ミクロ」と呼ぶ)というポイント ▼
この「ミクロ・ディストリクト」がフラズダンのバスステーションのような役割を果たしていて、周辺の小さな村へのマルシュルートカが発着するポイントとなっています。
ツァグカゾール行きの17番マルシュルートカもここからの発車です。
2022年現在の17番マルシュルートカのフラズダン出発時刻がこちら ▼
17番マルシュルートカは、フラズダン~ツァグカゾール間(片道20分)を行ったり来たりするシンプルなルートをとります。
ツァグカゾール→フラズダン方面の帰りの便は、上のフラズダン発時刻+20分を目安にしておきましょう。
【復路①】ツァグカゾール→フラズダン
ツァグカゾール→フラズダン方面へと戻る際は、ツァグカゾール中心街にいくつかあるバス停【マップ 黄色】のいずれかで、フラズダンからやってきた17番マルシュルートカに乗るだけ。
フラズダンから来た17番マルシュルートカは、ツァグカゾール中心街をぐるりと一周しながら乗客を乗せ、ふたたびフラズダン方面へと走っていきます。
【復路②】フラズダン→エレバン
フラズダンのミクロ・ディストリクトに戻ったら、往路と同様にエレバン行きのシェアタクシーを利用すればOK。
ミクロ・ディストリクトの大通り沿いには正規のタクシー(TAXIの表示あり)が客待ちしていて、「エレバンまで5000AMD!」とか、「シェアタクシーはない!」なんて言ってくる人もいますが、ちゃんとあるのでご安心を。
料金も、往路と同じ500AMD/一人です。
シェアタクシーが待機している場所は、マルシュルートカが停車している大通り沿いから西に一本入ったところの交差点付近で、VTB Bankの向かい付近です ▼
エレバンでの到着地は、往路と同様にライコムバス停付近です。
おわりに
アルメニア屈指の山岳・スキーリゾートであるツァグカゾールの観光情報を解説しました。
11月はもう一面茶色の風景でとにかく寂しい雰囲気だったので、行くなら絶対に紅葉の時期(10月頭)がおすすめです!
ツァグカゾールの周辺には、ハチミツが名産の素朴な村や天然温泉が湧く村など、知られざる穴場の見どころが点在しているのも見逃せません。
個人的には、メグラゾール村のゲストハウスに宿泊しながら、ツァグカゾールに日帰りで足をのばすプランがベストかなあと思います。
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