こんにちは!アルメニアに5ヶ月滞在した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
アルメニアの首都であるエレバンは、人口百万人を数える大都市。
ソ連時代に整備が進んだ中心街は「大都会」そのものの雰囲気で、快適なシティーライフを送る人々がストリートを闊歩します。
そんなエレバン中心街から徒歩たったの10分で、緑いっぱいの別世界へとアクセスできることは意外と知られていません。
それが、今回紹介するフラズダン渓谷(Hrazdan gorge / Հրազդան կիրճ) ▼
エレバン中心街の北側を流れるフラズダン川沿いに広がる渓谷地帯で、木々に覆われた散策路は首都のすぐそばだとは思えないほどの静けさです。
フラズダン川沿いには遊泳可能な天然プールもあり、夏場は地元の人たちの憩いの場としても大人気。
ソ連時代に整備されたエリアであるため、ソ連スポットもいくつか点在しており、興味のある人にはたまりません。
今回の記事は、フラズダン渓谷沿いの見どころを紹介するもの。
遊歩道を散策しても合計2時間ほどで済むので、エレバン観光のプランに組み込むのもおすすめです!
フラズダン渓谷の基本情報
緑線:散策コース
フラズダン渓谷があるのは、エレバン中心街の北側の一帯。
エレバン北西部の「最後の旧市街」・コンド地区のすぐ裏側に位置しています。
距離的には中心街から目と鼻の先なのですが、渓谷との間には断崖絶壁が。
そのため、エレバンの喧騒とは無縁な大自然スポットさながらの雰囲気が味わえるのです。
フラズダン渓谷を散策するなら、春~秋にかけてがベスト。
灼熱となる夏場なら天然プールでリフレッシュすることもできますし、秋には一面の紅葉が渓谷美をさらに印象的なものにします。
スタート地点となる①コンド・トンネル~⑥ビューポイントまでは2kmほどの距離。
⑥ビューポイントの手前だけ階段をガッツリ上ることになります。
上りを避けたい場合は、当記事とは反対方向(⑥→①方向)にまわるのが◎
その場合は、⑥ビューポイントをスタートした直後に階段を下った後はいっさいアップダウンがありません。
フラズダン渓谷の見どころ
①コンド・トンネル
エレバン中心街からフラズダン渓谷への最短ルートがコンド・トンネルを通ってのアクセス。
長さ460mにも及ぶトンネルは、コンド地区が位置する高台の岩盤をくり抜いて造られたもの。
喧騒にあふれたエレバン中心街から、静寂が支配するフラズダン渓谷へ…
ぽっかりと口を開けるトンネルの雰囲気は「異世界への入口」そのものです ▼
ソ連時代に完成したコンド・トンネルの内部は、鉄骨がむき出しの壁と天井に囲まれた不思議な空間。古いのに、どこか近未来的な印象を与えます。
まるでディズニーランドのアトラクションへの入口を歩いているかのように、冒険心がムクムクッと湧き上がってくるかも!
およそ7分ほど歩いた先にあるトンネルの出口には、目が眩むほどにまぶしい太陽の光が差し込んでおり、現実世界に戻された感。
トンネル出口付近で振り返ると、硬い岩盤の中をくぐりぬけて来たのが一目瞭然です ▼
コンド・トンネルの出口からフラズダン渓谷までは目と鼻の先。
この時点ですでにエレバン中心街側とは空気が異なっているように感じるほど、渓谷側は別世界でした。
②子供鉄道駅
アルメニアのみならず、旧ソ連圏や東ヨーロッパの旧共産圏の国々のどこでもポピュラーな子供鉄道。
遊園地にある鉄道のアトラクションのようなもので、かつては遠足の定番。
子供たちが鉄道の乗り方を学ぶ実践教育の場としての機能も持ち合わせていました。
フラズダン渓谷に敷かれた子供鉄道は、全長2.5kmほどの線路上に3つの駅が設置されており、こちらがメインとなる駅舎。
駅舎内に一歩立ち入ると、ソ連時代にタイムスリップしたかのような感覚になります。
駅舎からは直接プラットホームにアクセスすることができ、子供鉄道の車体も見学可能です ▼
実はこの子供鉄道は5月~10月の期間限定で現役で運行されており、子供以外でも乗車が可能。
かつての子供たちが楽しみにしていた遠足の気分で、フラズダン渓谷を周遊することができるのです。
子供鉄道のチケットは、駅舎内での購入。
およそ20分間のミニチュア鉄道旅で童心に還るのも悪くないかも!(のぶよは恥ずかしくて乗らず…乗れば良かった…)
(のぶよのように)ソ連時代のアレコレに興味がある人は、子供鉄道や駅舎のディテールも必見。
数十年前そのままのエンブレムやロゴが残されており、まるで屋外博物館のようです。
また、子供鉄道駅のプラットホームから50mほど東(今回紹介している散策コースと反対方向)に行くと、ミニチュアではない本物の客車が展示(放置?)されています ▼
こちらは子供の遠足用ではなく、かつてソ連時代に実際に使用されていた鉄道の客車。
アルメニアでは現在でもソ連時代の客車が使用されていますが、こちらはおそらくさらに古いタイプだと思います。
ソ連時代へのタイムスリップ体験(?)を満喫したあとは、すぐ近くの渓谷部分へと歩いて行きましょう!
③天然プール
子供鉄道の駅舎から、線路沿いに100mほど東に歩いた地点には、なにやら男たちが集まる異様な雰囲気が…
こちらが、フラズダン川の水を引いた天然プール。
夏場はエレバン市民の隠れた憩いの場となり多くの人で賑わうのですが、なぜかいついっても男性しかいないのはアルメニア七不思議の一つです。
女性一人で泳ぐのは、ちょっと厳しいかもしれない雰囲気です。
天然プールの利用は完全に無料で、若者からおじさんまでが楽しそうにキャッキャしながら水浴びしています。
のぶよはこの天然プールに7月と11月の2回訪れましたが、11月の紅葉は目を見張るものがありました。
ここまで美しい清流と自然が、100万人都市のど真ん中から徒歩10分でアクセスできるなんて信じられません。
色々な国を訪れてきましたが、大都市の目と鼻の先にここまで自然が残っている町はエレバン以外にないかもしれません。
④トンネル
天然プールでリフレッシュした後は、子供鉄道の線路沿いを西方向に歩いていきます。
5分ほど歩いたところにあるのが、鉄道用のトンネル。
夏場は一面緑に包まれたジブリ感あふれる風景が、秋は燃えるような紅葉に包まれた絵画のような風景が見られます。
このトンネル付近はエレバンの家族連れに人気の散策スポットになっているよう。
数組の家族が落ち葉広いをしながら楽しんでいる様子に心温まります。
トンネルからは、ふたたび線路に沿って西へと歩いて行くだけ。
分岐等はいっさいないので、地図を見なくても大丈夫です!
⑤線路沿いの散策路
ここから先の散策コースは、子供鉄道の線路にそってずっと歩いていくだけのシンプルなもの。
途中には小さな鉄道駅がありますが、メンテナンスがされておらずボロボロ。
それもまた味があるように思います。
駅舎を過ぎてしばらく歩くと、線路は途切れてコンクリートの道になります ▼
ここまで来たら、もうゴール地点は目の前。
ビクトリー・ブリッジ(Victory Bridge)の数百メートル手前にある長い階段を上って、渓谷の上部へと向かいましょう。
⑥フラズダン渓谷ビューポイント
今回のフラズダン渓谷散策のゴールが、こちらのビューポイント。
渓谷を見渡すように建つ聖サルギス聖堂付近からの絶景が最も美しいと思います。
ビューポイントからは、巨大なアーチが美しいヴィクトリー・ブリッジと、その先に立つArarat Brandy Factoryも一望できます。
Ararat Brandy Factoryは、アルメニア名産のコニャックを製造している工場。
工場見学&試飲ツアーも開催されているので、散策後に一杯ひっかけていくのも良いかも。
1842年完成の聖サルギス聖堂(Surb Sargis)の見学もお忘れなく。
フラズダン渓谷を一望するロケーションが有名ですが、荘厳な造りや内部の神聖な雰囲気も素敵です。
フラズダン渓谷の絶景と聖堂の厳かな雰囲気を堪能して、今回の散策は終了。
すぐ近くにはセルゲイ・パラジャーノフ・ミュージアムもあるので、見学していくのもおすすめです!
おわりに
エレバンから出ることなく、気軽に大自然が感じられるフラズダン渓谷の魅力を紹介しました。
エレバン中心街から目と鼻の先にあるにもかかわらず、なぜか旅行者にはほとんど知られていないのが不思議。
いつ行っても人の数は多くないので、街の喧騒に疲れたときに訪れたい穴場スポットです。
エレバン中心街の観光の合間に散策することも可能なので、滞在中にはぜひ足をのばしてみては?
コメント
こんばんは。
先日もコメントを残した顕子です。
どのページにコメントを残したのか覚えておらず、もしお返事頂いてたらすみません。。。
こののぶよさんのアルメニアの記事を読んでいたらいてもたってもいられなくなり、今週末のエレバン行きチケットを買ってきました!
帰りのチケットがエレバンじゃないと買えないというのが不安ではありますが。。。
二泊三日の短い旅行ですが、のぶよさんのおすすめスポットを見てきたいと思います。
楽しみー!!
顕子様
コメントをいただきありがとうございます!
エレバンに2泊3日でご旅行なさるとのこと、とても羨ましく思います。市内観光だけであれば十分満喫できる期間だと思いますし、時間に余裕があれば近郊の見どころに足をのばすことができるかもしれませんね。
ジョージアよりもアルメニアの方が気温が高いことが多いので、街歩きやご観光の際には暑さ対策もなさってお楽しみになってください。
アルメニアの記事をお読みいただいて実際に渡航していただけると聞くと、とても嬉しく思います!