こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
ポルトガル本土から西に1500kmほど、大西洋の真ん中に浮かぶアゾレス諸島の記事をお送りしている今日この頃。
アゾレス諸島は9つの火山島から成り、それぞれの島で異なった大自然の風景が見られることで知られていて、その美しさは「大西洋の楽園」と称されるほどです。
今回お伝えするのは、アゾレス諸島の独特な食文化について。
日本の本土と沖縄の食文化がかなり異なるように、ポルトガルの中でもアゾレス諸島には独自の食文化が根付いています。
実はポルトガル本土では、「アゾレス産」と名がつく肉類や魚介類、乳製品は人々の憧れの的であり、ブランド食材のような存在。
大西洋に浮かぶ食材の宝庫として、皆に愛されているのです。
実際にアゾレス諸島を訪れると、ポルトガル本土とはかなり異なるレストランのメニューに驚くはず。
ポルトガル人ですら、メニューを見て「何これ?」と疑問に感じるくらいというのですから。
地球の反対側にあるアゾレス諸島までわざわざやってくる旅行者は、日本人ではかなり少ないでしょう。
いったい誰の役に立つのか見当もつきませんが(笑)、アゾレス諸島で絶対に味わいたい名物グルメ10品を紹介していきます!
アゾレス諸島の名物グルメ1:アゾレス牛のステーキ
アゾレス諸島と聞いて、ポルトガル人の頭にまず浮かぶのがアゾレス牛です。
古くから牧畜が盛んだったアゾレス諸島。
起伏の激しい大地で完全放牧でのびのびと育った牛たちの肉は、絶品だと評判なのです。
そんなアゾレス牛の美味しさをシンプルに味わえるのがアゾレス牛のステーキ(Bife de vaca)。
地元産の新鮮な牛肉を炭火でグリルするスタイルが主流で、牛肉独特の臭みは全くありません。
一口食べただけで口の中でとろけるほどに柔らかな食感には、完全ノックアウトされるはず。
ニンニクと数種類のハーブ、塩コショウというシンプルな味付けながら、豊かな旨味を感じられる絶品グルメです。
アゾレス諸島の名物グルメ2:マグロのステーキ
ポルトガル全土でポピュラーなマグロのステーキ(Bife de atum)ですが、本土とアゾレス諸島では全く質が異なります。
大西洋のど真ん中に浮かぶアゾレス諸島は、近海で水揚げされるマグロを新鮮なままに味わうことができる地域。
ポルトガル本土では基本的に冷凍して輸送されたものを調理するため、風味も食感もアゾレス諸島産の圧勝です。
新鮮なマグロの切り身を豪快に炭火焼きするスタイルで、玉ねぎとコリアンダーをバルサミコ酢で和えたソースをつけていただくスタイルがポピュラー。
外はカリッと香ばしく、中はしっとり&ねっとりしたマグロ独自の食感が味わえます。
初めて食べるなら、きっと感動すること間違いなしのおすすめグルメですよ!
アゾレス諸島の名物グルメ3:名物地ビール
行政面や税制において、実はポルトガル本土とは異なる法律があるアゾレス諸島。
お酒に関する法律も少々違うようで、ポルトガル本土とは異なるビールが生産&流通しています。
アゾレス諸島でのみ製造&消費されるのが、「特別な」という意味のエスペシアル(Especial)という銘柄。
アゾレス諸島の9つの島全てで最もポピュラーなビールです。
一年中温暖で「常春の島」と呼ばれる気候を反映してか、ポルトガル本土のビールよりも辛口でスッキリした飲みごたえが特徴です。
本土ではまず見ることがないので、アゾレス諸島を訪れた際にはぜひチェックしてみましょう。
海沿いで地ビールを飲みながら夕日鑑賞…なんて、かなり素敵だと思います!
アゾレス諸島の名物グルメ4:ピコ島ワイン/ピコ島
アゾレス諸島で2番目の面積を誇るピコ島は、伝統的な製法で作られるワインで有名な島。
「ピコ島ワイン(Vinho do Pico)」と呼ばれ、ポルトガル本土では流通量はかなり少ないながらも、その豊かな風味の虜になる人が後を絶ちません。
ピコ島、特に西部では、火山岩を積み上げた石垣に囲まれたぶどう畑がつくる独特の景観が広がっており、なんとユネスコの世界遺産にも指定されているほど。
車両の進入ができないため、現在でも収穫は全て手作業で行われており、果汁を搾る作業も足で踏んで行うという昔ながらのものだそうです。
ピコ島西部にはワイナリーが数軒点在しているので、世界遺産の風景の観光がてら立ち寄ってみるのもいいでしょう。
アゾレス諸島の名物グルメ5:アルカトラ/テルセイラ島
サン・ミゲル島とともにアゾレス諸島の空の玄関口としての機能をもつテルセイラ島。
美しい風景が広がるこの島の名物料理と言えば、アルカトラ(Alcatra)でしょう。
陶器の器の中にたっぷりと入れたオリーブオイルをじっくりと温めて、名産の牛肉を煮込んだものです。
ニンニクの風味がしっかりとついていて、それはもう絶品…!
陶器ごと温めるため、温かいまま食べられるのも嬉しいポイント。
アゾレス諸島の中でもテルセイラ島でしか味わえないレアなグルメなので、訪問時には必ず挑戦したい一品です。
アゾレス諸島の名物グルメ6:トレスモシュ・ドゥ・カビーニョ/ファイアル島
牛肉文化が主流のアゾレス諸島ですが、豚肉だってポピュラー。
中でもぜひ挑戦したいのが、トレスモシュ・ドゥ・カビーニョ(Torresmos de Cabinho)という料理。
豚肉の脂身の部分やあばら骨付近の部位をじっくりと煮込んだ料理で、アゾレス諸島全体で食べることができます。
一味違うトレスモシュ・ドゥ・カビーニョを味わうなら、ファイアル島のものがおすすめ。
他の島ではじっくりと煮込まれて角煮のような食感のトロトロの豚肉が提供されますが、ファイアル島では炭火でグリルするスタイルが主流だそうです。
あまり脂身が得意ではないのぶよですが、ファイアル島のトレスモシュ・ドゥ・カビーニョはあっさりした味付け&食感で食べやすかったです。
アゾレス諸島の名物グルメ7:アゾレス・ソーセージ
アゾレス諸島は独特のソーセージ文化を持つことでも知られています。
特に有名なのが、
モルセラ(Morcela):豚の血の黒ソーセージ
リンギーサ(Linguiça):スパイスを効かせたソーセージ
など、ポルトガル本土ではまず見かけない種類のソーセージ。
いずれも、ほど良い塩気とスパイスが効いた味わいが特徴的です。
大航海時代初期にポルトガル人によって発見されてからは、アフリカやアジアへ向かう船の中継地点として発展してきた歴史を持つアゾレス諸島。
植民地からもたらされたスパイスが食文化に取り入れられたのも比較的早い時期だったため、このような独特な味わいのソーセージが食べられるようになったそうです。
アゾレス諸島の名物グルメ8:カフェ・ダ・ファジャン/サン・ジョルジュ島
アゾレス諸島のサン・ジョルジュ島は、ヨーロッパで唯一コーヒー栽培がおこなわれている場所として有名です。
(アゾレス諸島が地理的にヨーロッパなのかどうかは置いておくことにします)
これは、かつてポルトガルの植民地であったブラジルから、生まれ故郷のサン・ジョルジュ島に引き上げた一人の男性が、コーヒー豆の苗木を持って帰ったことが始まりだそう。
1年中温暖なアゾレス諸島の気候と、海からの湿度を逃がさない役割をするファジャン(Fajã)と呼ばれるサン・ジョルジュ島独自の地形(断崖絶壁の崖の下に平地が広がる)は、コーヒー栽培に最適だったのです。
サン・ジョルジュ島で栽培・収穫されたコーヒーはカフェ・ダ・ファジャン(Café da Fajã)と呼ばれ、その強い香りと苦み、独特のコクの深さに夢中になるファンが後を絶ちません。
収穫から焙煎まで全てが手作業で行われるため、ポルトガル本土ではほとんど流通していない幻の「ヨーロッパ産コーヒー」。
アゾレス諸島に来たなら、ぜひ味わってみたいものです。
アゾレス諸島の名物グルメ9:ラパス
「アゾレス諸島に来たらこれを食べるべき!」と誰もが口を揃えて言うのが、ラパス(Lapas)と呼ばれる貝をグリルしたものです。
英語ではリンペット(Limpets)と呼ばれるこの食材、実は貝ではなく、海で暮らすカタツムリの一種だそう。
その話を聞いたのぶよは、丁重に遠慮しておきました(笑)
なんと言っても、見た目が…グロい。そもそも貝類があまり得意でないのによにとってはハードルが高すぎました。
とは言え、好きな人にはたまらないはず。
焼きたてのラパスにレモンをちょっと絞っていただくのがアゾレス流です。
ポルトガル人はカタツムリが大好き!
アゾレス諸島やマデイラ島などの島しょ部ではラパスがポピュラーですが、カタツムリを食べる文化はポルトガル本土でも見られます。
本土で食されるのはカラコーイシュ(Caracóis)と呼ばれる小さなカタツムリ。
日本人的には、タニシにしか見えません。
初夏には多くのレストランの扉に”Há Caracóis!”(カタツムリ、あります!)と書かれた貼り紙が出されます。
(日本で言う「冷やし中華はじめました」的な感じかも?)
のぶよはもちろん挑戦したことがありませんが、ビーチ沿いのスナックバーで家族連れたちが皆、一心不乱に山盛りのカタツムリを食べているというポルトガル初夏の風物詩の光景に衝撃を受けました。
アゾレス諸島の名物グルメ10:コジードゥ/サン・ミゲル島
最後に紹介するのが、アゾレス諸島最大の島であるサン・ミゲル島のフルナス地区の名物、コジードゥ(Cozido)。
ポルトガル語で”Cozido”は「煮こみ」の意味で、ポルトガル本土でも「○○ Cozido」という料理名はよく見られますが、サン・ミゲル島のコジードゥは完全なる別物。
「煮込み」ではなく、大地から湧き出る温泉の蒸気で野菜や肉・ソーセージを蒸し焼きにしたものなのです。
フルナス地区には硫黄の匂いが漂う地獄谷のような場所があり、その地面の中に具材が入った鍋を直に入れて、地熱&蒸気で蒸し焼きにするという豪快過ぎる料理がコジードゥ。
日本でも温泉たまごなどがありますが、あんな十数分間温泉に浸しただけの温泉グルメとは格が違います。
というのも、コジードゥは8時間ほどの長時間、地中で蒸し焼きにするのです。
温泉のミネラル成分を長時間浴び続けた食材は、もはや温泉そのものの味が染み込んでいるほど。
美味しいかどうかと問われると「…」ですが、身体には良さそうです。
世界広しと言えども、おそらくここでしか味わうことのできない「最上級の温泉グルメ」。
サン・ミゲル島を訪れた際は忘れずに挑戦してくださいね!
おわりに
日本から遠く離れたアゾレス諸島の名物グルメを紹介しました。
ここでしか食べることのできない珍しい食材を用いたものも多く、素材の新鮮さを活かした料理も目立ちます。
肉好もシーフード好きも大満足なバラエティー豊かな郷土料理の数々は、本土から旅行に訪れるポルトガル人にも大人気です。
大自然スポットが目白押しの観光面はもちろん、食事の面でも満足できる「大西洋の楽園」をぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
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