こんにちは!アルメニア南部のヴァヨツ・ゾール地方をのんびりと旅行中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
ヴァヨツ・ゾール地方の中心的な町であり、このエリアを観光する際の拠点として便利な町が、人口7000人ほどを数えるイェゲグナゾール(Yeghegnadzor/Եղեգնաձոր)。
このどうしようもなく発音が難しい町は、アルメニア南北を繋ぐ幹線道路のちょうど中間地点に位置しているため、アルメニアを旅する旅行者は必ず一度は通ることになる町です。

イェゲグナゾールは、魅力たっぷりの見どころが点在するヴァヨツ・ゾール地方のちょうど中央に位置しており、各町への交通網も比較的発展しているため、滞在の拠点としてこれ以上なくベストな町。
イェゲグナゾールを拠点にアクセスできる見どころは、いずれも穴場感がむんむんただようもので、アルメニアという国を深く知りたい旅行者にはぴったりです。
基本的には周辺エリアの観光がメインとなるイェゲグナゾールですが、中心街の雰囲気自体もゆったりしていて、なかなかに居心地が良いのも◎
この地域ならではの名物グルメを味わうこともできます。


そんなわけで、今回の記事はイェゲグナゾールの観光・滞在に必要な情報を総まとめしたもの。
観光もグルメも交通情報も…かなり充実した内容となっています。
イェゲグナゾールの観光情報(特に近郊へのバス情報)はネット上にはほとんど存在せず、すべてのぶよが足を使って集めたもの。
ここまで情報を充実させるのは本っっっ当に大変だったので、まじで感謝して読んでください(笑)
イェゲグナゾール観光マップ
赤:おすすめ飲食店
紫:おすすめ宿
黄色:中心街バスステーション(ヴァヨツ・ゾール地方内の路線)
茶色:幹線道路沿いバスステーション(都市間長距離路線)
イェゲグナゾール観光でするべきこと
イェゲグナゾールの観光のメインは、市内北部の山岳地帯に点在する修道院や城塞などの見どころを周ることにあります。
中心街には見どころといった見どころはほとんどないため、イェゲグナゾールに滞在しながら近郊のスポットに足をのばすようなスタイルとなることでしょう。
ここでは、イェゲグナゾール観光で絶対に見逃せない見どころを6か所紹介していきます!
①タナハト修道院

イェゲグナゾールからぜひとも足をのばしたいのが、タナハト修道院。【マップ 青①】
イェゲグナゾールの北東10kmほど。標高1600m以上ある丘陵地帯にぽつりとたたずむ聖地で、真っ黒な石が使用された外観と、外壁の至る所にほどこされた石の彫刻が素晴らしいです。


タナハト修道院は、およそ750年前にこの場所で開かれていたグラゾール大学を併設していたと考えられている場所。
当時の中世アルメニアにおいてはトップレベルの学びの場として機能していたグラゾール大学は、現在タナハト修道院の敷地内に土台だけを残すのみとなっています。
孤高のロケーションも、歴史の重厚な魅力も、周囲のダイナミックな山々の風景も…あらゆる面で独特な存在感を放つタナハト修道院。
このエリアの歴史を深く理解するためにも、ぜひグラゾール大学ミュージアムとセットで訪問するようにしましょう!
・イェゲグナゾールからタクシー往復チャーター:片道40分/3000AMD(=¥1200)
※グラゾール大学ミュージアムとセットでも同料金
・イェゲグナゾールからヴェルナシェンまでマルシュ+徒歩:片道20分+2時間/100AMD(=¥40)
②グラゾール大学博物館

タナハト修道院やスピタカヴォル修道院、プロシャベルド城塞など、イェゲグナゾール北部の各見どころへの分岐点があるのが、ヴェルナシェン村。
村の古い教会を改装した空間を利用して、およそ750年前にこの地域で繁栄していたグラゾール大学に関する展示が行われた小さなミュージアムがあります。【マップ 青②】


ミュージアムの規模はとても小さなもので、20分ほどあればのんびりと見学できてしまうものですが、展示の中には750年前にグラゾール大学で使用されていたオリジナルの教科書や、当時の文房具など大変貴重なものがいくつか。
グラゾール大学があった場所であると考えられているタナハト修道院とセットで訪問するのが、歴史理解的にもプランニング的にも最もおすすめです。
・イェゲグナゾールからタクシー往復チャーター:片道15分/1500AMD(=¥600)
※タナハト修道院とセットの場合3000AMD(=¥1200)
・イェゲグナゾールからヴェルナシェンまでマルシュ+徒歩:20分+5分/100AMD(=¥40)
③スピタカヴォル修道院

イェゲグナゾールの地元の人々がおすすめしてくる率No.1の見どころが、スピタカヴォル修道院(Spitakavor/Սպիտակավոր)。【マップ 青③】
イェゲグナゾールの町から北に10kmほどの山の頂上にたたずむ美しい聖地は、「花の修道院」の異名を持つほどに、周囲の山々の高山植物が美しいことでも有名です。


およそ700年前に黄金時代を迎えたスピタカヴォル修道院は、細部に至るまで計算しつくされた造りや装飾が圧巻のひとこと。
「中世アルメニアの宗教建築の傑作」と称されるのも納得の圧倒的な聖地感と、下界を一望する絶好のロケーションを堪能できます。
・イェゲグナゾールからタクシー往復チャーター:片道1時間/5000AMD(=¥2000)
※かなりの悪路なので一般車では行ってくれない可能性大
※プロシャベルド城塞とセットで周る場合+2000AMD(=¥800)
※タナハト修道院&グラゾール大学ミュージアムとセットで周る場合+3000AMD(=¥1200)
・イェゲグナゾールからヴェルナシェンまでマルシュ+徒歩:片道20分+2時間半/100AMD(=¥40)
④プロシャベルド城塞

スピタカヴォル修道院の東1.5kmほどの場所にそびえる岩山は、実は中世に建設された城塞。
プロシャベルド城塞(Proshaberd/Սպիտակավոր)と呼ばれ、13世紀にアルメニア中部を支配したプロシアン一族という地方豪族による建造です。【マップ 青④】


プロシャベルド城塞の保存状態はあまり良好ではなく、かろうじてかつての城壁が残るだけ。
しかし、城壁からの眺めはとにかく圧巻のひとことで、まるで神の視点を得たかのような気分になれます。
そして、プロシャベルド城塞にはプロシアン一族の王が隠した財宝が現在でも眠っていると言われている点も見逃せません。
財宝の在り処は城塞内の石に暗号として刻まれているそうなので、観光ついでに一攫千金ができるかも…?(無理か)
・イェゲグナゾールからタクシー往復チャーター:片道1時間/7000AMD(=¥2800)
※かなりの悪路なので一般車では行ってくれない可能性大
※スピタカヴォル修道院とセットで周る場合も同料金
※タナハト修道院&グラゾール大学ミュージアムとセットで周る場合+3000AMD(=¥1200)
・イェゲグナゾールからヴェルナシェンまでマルシュ+徒歩:片道20分+2時間半/100AMD(=¥40)
⑤アグラカゾールの石橋

イェゲグナゾール中心街から南に2kmほど。
市街地を抜け、ヴァヨツ・ゾール地方らしい山々と野原の風景を40分ほど歩いた先に姿を現すのがアグラカゾールの石橋(Aghrakadzor bridge/Ագարակաձորի կամուրջ)です。【マップ 青⑤】
建造は13世紀(800年前)のことで、モンゴル帝国がコーカサス地域に襲来した直後の時代。
13世紀当時のアルメニア南部エリアは、支配者であるオルベリアン一族がモンゴル帝国と密約を結ぶことに成功。
そのため13世紀半ば~後半の数十年間は、アルメニア南部に限っては比較的平和な時代にあたり、シルクロード交易を円滑なものとするために建設されたのがこのアグラカゾールの石橋なのです。


アグラカゾールの石橋を構成する四角形の石は、全て近くの山で採ってきては人の手で削られたもの。
それぞれの石が1mm単位のズレもなく綺麗に積みあがるように、とてつもなく緻密な計算がされた上で一つの橋を構成しているのです。
アルピ川をまたぐように完璧な曲線を描いたアーチが目を引きますが、この曲線を支えなしで石だけで構成するのは相当の技術。
800年前のアルメニアの建築技術がどれほどに高く洗練されたものであったか、現在を生きる人間でも感じ取ることができます。


かつては車両の通行も可能であったアグラカゾールの石橋ですが、現在は人と動物のみ通行可能。
橋の上からはアルパ川の急流とヴァヨツ・ゾール地方のジオラマのような大地の風景を一望することができ、極上の自然美に心を奪われます。
かつては、アルメニア南北をつなぐシルクロードにおいて唯一の道の上に位置していたアグラカゾールの石橋。
ペルシアやアラブの行商人が多く行き交い、賑わいを決めた時代も今は昔…とばかりに、当時の繁栄や浪漫を物言わず現在に伝えています。
・イェゲグナゾールからタクシー往復チャーター:片道15分/3000AMD(=¥1200)
※かなりの悪路なので一般車では行ってくれない
・イェゲグナゾールから徒歩:片道2.7km/片道40分
⑥イェゲグナゾール中心街散策

イェゲグナゾールの中心街は、ゆるやかな坂道にひらけたこぢんまりとしたもの。
イェゲグナゾールの人口は7000人足らずだそうですが、そうとは思えないくらいにお店や人影が多く、活気ある雰囲気です。【マップ 青⑥】
イェゲグナゾールの中心街には特にこれと言った見どころはありませんが、アルメニアの地方都市らしいのんびりとした空気の中を散策するのがおすすめ。
町のシンボル(?)とされるのは、中心街ど真ん中の公園内にあるソ連時代の観覧車です。▼

観覧車はすでに運行しておらず放置されていますが、その鮮やかな黄色は確かによく目立ちます。
イェゲグナゾールには公式な市場のようなものは存在しないのですが、中心街南側の路地には近郊の山々で採れた新鮮な食材を売る露店がいくつか並んでいます。▼

時期によって何が並ぶのかは変わってきますが、のぶよが訪れた5月頭はとにかくきのこ!きのこ!きのこ!
大小さまざまな異なる種類のおおぶりの森の幸たちが安く売られています。
他にも、この地域ならではの山菜や果物が並んでいることも。
特に、4月末~5月にかけて採取されるマンダックというセリ科の植物は、アルメニアの中でもここヴァヨツ・ゾール地方にしか出回らないものだそうです。▼


他のヴァヨツ・ゾール地方の町と同様に、イェゲグナゾールの町にもコウノトリの巣がいくつか見られます。
コウノトリはインドなど南の地域で越冬した後、春にアルメニア一帯に戻ってくるのだとか。▼

こんな感じで、中心街をぐるりとひと周りしても30分ほどみておけば十分。
イェゲグナゾール滞在中には何度も中心街に足を運ぶことになりますが、規模が小さくかなりシンプルな町並みなので、すぐにどこに何があるか把握できるはずです!
イェゲグナゾール拠点が便利!ヴァヨツ・ゾール地方の見どころ

イェゲグナゾール周辺の見どころを制覇したら、同じヴァヨツ・ゾール地方内に点在する町や見どころへと足をのばしましょう。
イェゲグナゾールはヴァヨツ・ゾール地方の中心都市として機能しているため、エリア内各地への交通網が比較的充実しており、個人でも公共交通手段を利用して色々と足をのばすことができるのです。
ここでは、イェゲグナゾール拠点でのアクセスが便利なヴァヨツ・ゾール地方の代表的な見どころを紹介していきます!
イェゲギス

イェゲグナゾール拠点の日帰りトリップ先として、のぶよが最もおすすめするのがイェゲギス(Yeghegis/Եղեգիս)。
イェゲグナゾールの北15kmほどの場所にひらけた渓谷地帯に位置する小さな村は、一度は無人の廃村となりふたたび住民が戻って来たという数奇な歴史を辿った地です。

イェゲギスは「アルメニアの聖域」と称されることもあるほどに、多くの中世修道院や教会が点在しているのがポイント。
村の周辺にはスムバタベルド城塞やツァハツ・カル修道院などの見ごたえ抜群のスポットも点在しており、個人での日帰りでもこれら全てをまわることができます。


イェゲグナゾール~イェゲギス間はマルシュルートカも走っており、日帰りトリップにぴったりなスケジュールである点も◎
かなりの秘境感&満足度が得られるエリアですが、個人で旅するハードルが低いこともおすすめする理由です。
・イェゲグナゾールからタクシー単純移動:片道30分/3000AMD(=¥1200)
※イェゲギスの見どころを周遊するチャーターの場合8000AMD(=¥3200)
・イェゲグナゾール~イェゲギス間マルシュ:片道35分/350AMD(=¥140)
オルベリアンのキャラバンサライ

イェゲグナゾールから北に30kmほど。
標高2410mのセリム峠の南側にぽつりとたたずむオルベリアンのキャラバンサライ(Orbelian caravanseray/Օրբելյան քարավանսարայ)は、アルメニアがシルクロード交易で栄えた時代を現在に伝える隊商宿の跡です。
オルベリアンのキャラバンサライが完成したのは1332年のこと。
当時アルメニア南部で絶大な権力を誇ったオルベリアン一族の命によって建設されたもので、イェゲグナゾールとセヴァン湖の間を移動する旅の行商人たちが寝泊まり&交易をする場所として繁栄しました。
かつては、アグラカゾールの石橋を通って山道を登り、難所であるセリム峠を越える前にこのキャラバンサライで宿を取るのが定番だったよう。
栄光の時代はとうの昔に過ぎ去り、人里離れたこの地に残されたキャラバンサライは、なんとも言えない哀愁を漂わせながらたたずんでいます。


オルベリアンのキャラバンサライより先には、人ひとり住まないセリム峠が待ち受けています。
セリム峠を越えて30kmほど北に行けば、そこは「アルメニアの真珠」と称されるセヴァン湖…
中世のシルクロード交易の浪漫の香りを感じながら旅するにはぴったりのオルベリアンのキャラバンサライ。
アクセスは絶望的に不便ではあるものの、イェゲグナゾール~セヴァン湖間を移動する場合は絶対に立ち寄りましょう。
・イェゲグナゾールからタクシーチャーター:片道1時間15分/6000AMD(=¥2400)
※そのままセリム峠を越えてセヴァン湖方面へ移動する場合2000AMD(=¥8000)
アレニ

イェゲグナゾールの西15kmほど、アルパ川が形成する渓谷沿いにひらけたアレニ(Areni/Արենի)は、おそらくここヴァヨツ・ゾール地方で最も有名な村。
アレニは、「アルメニアのワイン村」としてアルメニア国内はもちろん世界的にも名を馳せるほどの上質なワインの産地として知られており、村中どこもワインづくし。
近郊には6100年前の人類がワインを発酵させていた跡が残る洞窟もあり、アルメニアという国のワイン文化を五感で感じることができます。


アレニはイェゲグナゾールからのアクセスが比較的簡単で、個人でマルシュルートカを利用しての日帰りも可能。
しかし、この場所の魅力は素朴な雰囲気の村でのんびりと滞在しなければ到底味わえないので、ぜひとも最低一泊はするプランでの訪問がおすすめです!
・イェゲグナゾールからタクシー単純移動:片道30分/2000AMD(=¥800)
・イェゲグナゾール~アレニ間マルシュルートカ:片道30分/300AMD(=¥120)
ノラヴァンク修道院

アレニ村からさらに9kmほど山奥に行くと、荒涼とした荒野に突如として姿を現すノラヴァンク修道院(Noravank / Նորավանք)に到達します。
建造は1105年と今から900年以上も前のことで、「アルメニア全体を見渡してもここ以上に異世界感漂う修道院は珍しい」として、観光客にも大人気となっています。


ノラヴァンク修道院はイェゲグナゾールから単体で訪れるよりも、アレニ観光とセットで考える方がベター。
エレバンからの日帰りツアーも出ているほどに定番の見どころですが、個人的にはアレニ村に宿泊しながら個人でノラヴァンク修道院を訪れる方が、のんびりとこの場所の魅力を満喫できるような気がします。
・イェゲグナゾールからタクシー往復チャーター:片道1時間/6000AMD(=¥2400)
・イェゲグナゾール~アレニ間マルシュルートカ+徒歩:片道40分/300AMD(=¥120)+徒歩片道9km/片道2時間半
ジェルムック

イェゲグナゾールの東に位置するジェルムックの町は、古くから温泉保養地として人気を博してきた町。
標高2100m以上の高地に位置しており、空気の良さと水質の良さ、そして温泉水の効能が高く評価されています。


ジェルムックは、小さな中心街にも周辺にも見どころが豊富な町。
また、ソ連時代そのままのサナトリウム(温泉療養施設)に宿泊するという、ここだけの体験も外せません。
イェゲグナゾールからジェルムックの日帰りも(タクシーを使えば)不可能ではないですが、正直ジェルムックの魅力は保養地らしさを体感することにあるので、宿泊しないと意味がないと思います。
・イェゲグナゾールからタクシー単純移動:片道1時間/7000AMD(=¥2800)
・イェゲグナゾール~ジェルムック間マルシュ:片道1時間半/700AMD(=¥280)
イェゲグナゾールのグルメ情報&おすすめレストラン

イェゲグナゾールが位置するヴァヨツ・ゾール地方は、アルメニアの中でも温暖で良質な水が至るところに湧くことで知られるエリア。
大自然の恵みがぎゅっと詰まったハーブ類の美味しさに定評があり、多くの料理において多種多様なフレッシュハーブが使用されます。
この地域の名物料理はいくつかありますが、絶対に見逃せないのが壺チーズ。
山羊の乳に山のハーブを加えたものを素焼きの壺に入れて密封し、山の地中に数か月間埋めて発酵させると言う、独特の作り方が最大の特徴です。

山羊の乳ということで壺チーズのクセは結構強いのですが、ハーブの風味が良いアクセント。
手のひらサイズの可愛らしい壺チーズも売られているので、お土産にもぴったりです。
そんなわけで、イェゲグナゾールには他にもこの地域ならではの料理が食べられる場所がいくつか。
ここでは、イェゲグナゾール滞在中の食事に利用したい飲食店を紹介していきます!
①Aygi

イェゲグナゾール中心街にある飲食店の中で、おそらく最も規模が大きなお店がAygi。【マップ 赤①】
中心街のど真ん中を占める公園の敷地内で営業しており、広々とした開放的な飲食スペースが特徴的です。


内装的にかなり洗練されているため、結構お高めのお店なのかと思いきや、Aygiの価格帯は良心的。
メニューの選択肢はとても多いわけではないものの、食べたいものが必ず見つかるようなラインナップです。▼




Aygiの客層はほぼ100%が地元イェゲグナゾールの人々なのですが、その多くが注文すると言われるのがビーフストロガノフ。
このお店の一番の看板メニューだそうで、のぶよが宿泊した宿のオーナーいわく「イェゲグナゾールでしか食べられない味!」だそうです。
こうした名物料理系には目がないのぶよは、もちろんビーフストロガノフを注文してみました。▼

ビーフストロガノフとは、ご存じロシア発祥の牛肉のサワークリーム煮込みのこと。
本場ロシアでは玉ねぎやマッシュルームが入るのが一般的ですが、Aygiのビーフストロガノフは細切りにされた牛肉とじっくりとローストされた玉ねぎが入るのみ。
サワークリームも「煮込む」というよりも「絡める」といったくらいの量で、メインは牛肉を味わうことにあります。
そのお味は…信じられないほどの絶品でした。

ローストオニオンのとてつもない香ばしさとサワークリームの芳醇さが香る牛肉は、これ以上ないほどの柔らかな食感。
牛肉の臭みはいっさいなく、かなり新鮮な状態の良質な肉が使用されていることが舌で分かります。
付け合わせの自家製フライドポテトとの相性も抜群で、全体的にあっさりとした味わいで軽く食べられるのも◎
のぶよはロシアで本場のビーフストロガノフを食べたことがあるのですが、正直Aygiのビーフストロガノフの方が圧倒的に美味しかったです。
「イェゲグナゾール風ストロガノフ」として多くの人に食べてほしいAygiのビーフストロガノフ。
評判になるのも納得の美味しさなので、イェゲグナゾール滞在中にぜひとも味わってみてほしいです!
②Burgery by Old Bridge

「イェゲグナゾールで一番美味しいハンバーガー」と主張しているBurgery by Old Bridgeは、その自信に違わぬ絶品バーガーが食べられる小さなお店。【マップ 赤②】
「一番美味しい」もなにも、そもそもイェゲグナゾールにハンバーガー屋はここしかない点には触れないでおきましょう(笑)
店名になっている”Old Bridge”とは、イェゲグナゾールの町はずれにあるお洒落ワイナリーのこと。
地元産&オーガニックの食材にこだわった料理を提供するワイナリーが経営するハンバーガー店というわけです。


店の内装はまあ普通な感じで、メニューもイェゲグナゾールの平均的な飲食店の価格を考えるとかなり強気な価格。
しかし、注文したハンバーガーをひと口食べればその理由が分かります。
エレバンのお洒落ハンバーガー店にも負けないほどの、抜群の素材の良さが舌で感じられるのですから…▼


牛挽き肉100%のパティは、とにかく牛本来の旨味が120%凝縮された絶品。
レタスやトマトの野菜も新鮮そのもので、バンズもふわっふわ。チーズの芳醇な風味も素晴らしいです。
アルメニアのハンバーガーはケチャップやソースなどをべちゃっと入れることは少ないのですが、この店のソースの量はほんの気持ち入っている程度。
にもかかわらず、素材の絶妙な旨味が一つのハーモニーを形成しており、芸術的な味のバランスが感じられるのです。
イェゲグナゾール的にはやや贅沢な食事となるかもしれませんが、食す価値は多いにあり。
「イェゲグナゾール・オーガニック・バーガー」として、ご当地グルメ的なPRをしたら良いのに…と思います。
③中心街バスステーションの食堂

イェゲグナゾール~近郊の町や村を結ぶマルシュルートカが発着する中心街バスステーションの敷地には、一軒の小さな食堂があります。【マップ 赤③】
「食堂」と言えども、凝ったスープ料理や煮込み料理はなく、ファストフード系のメニューが中心。
しかし、このお店で提供される各種ファストフードはどれもご当地の食文化を色濃く反映したもので、一般のファストフード店とは少し異なる味わいが特徴的です。
まずは、ラフマジョ。
薄くのばした小麦粉生地に挽き肉や各種ハーブを塗り、オーブンでサッと焼いた料理です。▼


一般的には「ラフマジョ=生地はパリパリになるまで焼く」というのが鉄則。
しかしこのお店のラフマジョの生地はパリパリ食感ではなく、もっちりとした柔らかな食感なのです。
とはいえ焼き加減が甘いというわけではなく、表面の挽き肉の部分は香ばしくジューシー。
生地が分厚すぎるということもなく、ごく一般的なラフマジョ生地の薄さです。いったいどうやってこのもっちり食感を出しているのか…

▲そして、店のおじさんおすすめの豚肉のシャウルマも、ひと味違う一品。
なんと、肉と一緒に大量のキャベツのオイル和えが入っており、シャクシャクした食感が楽しめるのです。
アルメニアはもとより、他の旧ソ連諸国でもシャウルマを色々と食べてきましたが、キャベツが入っているのはおそらく初めて。
店のおじさんいわく「この辺ではどこもキャベツ入ってる!」とのことなので、イェゲグナゾールのご当地シャウルマのような感じなのかもしれません。
こんな感じで、一般的なファストフードとは異なる「イェゲグナゾール風」のアレコレが食べられる小さな食堂。
便利な立地にありますし、サクッと手軽に食事を済ませたいときにはぜひ訪問してみましょう!
④Yeghegnadzor Foodcourt

まだ数年前にオープンしたばかりだというYeghegnadzor Foodcourtは、イェゲグナゾールの地元の人にもそれ以外の町の人にも人気の大規模フードコート。【マップ 赤④】
中心外から東に1kmほどの場所に位置しており、アルメニア南北を移動する人たちにとて定番の休憩スポットとして機能しているため、いつ訪れても結構多くの人がいます。


アルメニアの定番飲食スタイルであるフードコートとは、出来合いの料理がずらりと並ぶ中から好きなものを好きなだけ取れるビュッフェスタイルの店のこと。
スープから前菜、揚げ物にピザにファストフードに…と、ありとあらゆる料理が揃っています。

おそらくイェゲグナゾールの全ての飲食店の中で、メニューの選択肢は最も豊富。
出来合いの料理ということもあり、味は可もなく不可もなく…といった感じですが、サクッと食事を済ませたいときには重宝します。


中心街から少し離れていることもあり、個人的には「わざわざ食事目的にフードコートに行かなくても…」といった感じですが、移動途中に立ち寄ったりするのならおすすめ。
エレバン~アルメニア南部を結ぶマルシュルートカ便は、必ずこのフードコートで20分ほど休憩タイムとなるため、立ち寄った際にはいろいろ食べてみるのも良いでしょう。
イェゲグナゾールの宿情報
イェゲグナゾールには大型ホテルやドミトリーのある格安ホステルは存在せず、一般家庭の一部を旅行者向けに開放したゲストハウスが基本となります。
どの宿も設備は似たり寄ったりではあるものの、モダンに改装されたお洒落ゲストハウスのような宿も出てきており、宿泊の選択肢は意外にも豊富なのが嬉しいです。
イェゲグナゾールの宿選びで最も重要なのが、立地。
町は最南部の幹線道路沿いから北に向けて広がっていますが、とにかく全てが坂道といっても過言ではないような丘陵地帯となっています。
郊外への移動や買い物、食事などに最も便利なのは中心街のバスステーション周辺。【マップ 茶色】
ここから北に行けば行くほどに、坂の上に位置していると考えておきましょう。
ここではのぶよが宿泊したゲストハウスを紹介します。
立地的にはかなりマイナス面がありましたが、宿自体はとても快適で素晴らしかったです!
【Spandaryan House】

・料金:4000AMD(=¥1600) )
・部屋タイプ:ツインルーム一人利用 ※バス&トイレ共用
・立地:2/10
イェゲグナゾール中心部から北に1.2kmほど、町の最果ての集落に位置しています。
中心外との距離的には大したことないのですが、とにかくいちいち坂を上り下りしなければならないのがマイナス。
宿のすぐ隣に小さな商店がありますが、それ以外には周辺に何もないため、食事や買い物で中心街に出るのがかなり面倒になります。
とはいえ、これくらいの価格帯のゲストハウスはほぼ全てこの最果て集落地域に位置しているため、どこも立地は似たり寄ったり。
毎日数回坂を上り下りする覚悟を決めておきましょう(笑)
・宿へのアクセス:10/10

宿の入口ゲートは常に開いており、「WELCOME」と書かれた謎の掲示が出迎えてくれるので、ここがゲストハウスであるとすぐにわかります。
オーナー家族が常にいるため、問題なくチェックインすることができます。
・スタッフ:9/10
オーナーは地元出身の気さくな感じの人で、近すぎず遠すぎずの絶妙な距離感で接してくれます。
建物には他にも家族が住んでいるのですが、そこまで顔を合わせる機会はありませんでした。
ゲストハウスとはいえプライベートがかなり守られているので、べたべたしすぎる感じが苦手な人にはおすすめです。
・清潔さ:9/10

部屋、共用部分、トイレ…と、どこをとっても完璧な清潔さでした。
シャワーのお湯も熱々で水圧も文句なし。
地方部ゲストハウスあるあるの排水溝の匂いも全くなく、ちゃんと掃除されていることがわかります。
欲を言えば、床びしょびしょ案件が避けられないトイレ&シャワーのカーテンだけ、もう少し改善してほしいところ…

部屋はベーシックなツインルームながら、シーツもタオルも清潔で、大きな窓があるのでとても明るく開放的。
キッチンもきちんと清掃されており、全体的にかなり気をつかってくれている印象です。
・設備:10/10


この宿で素晴らしい点が宿泊客用の設備。
オーナー家族が住む一階と宿泊客用の二階に分かれており、トイレもキッチンもそれぞれの階にあるため、誰に気を遣うこともなく自由に過ごすことができます。
キッチンは調理器具もしっかり揃っており、がっつり自炊派でも満足がゆくはず。
紅茶やコーヒーが自由に飲めるという点も嬉しいです。

そして驚いたのが、各部屋に備え付けの電気ヒーター。
寒い時期の滞在であっても、自分の意思で暖房を調整することができるのです。
アルメニア地方部において、各部屋に自由に使える暖房器具があるのは奇跡のようなもの。
基本的にはセントラルヒーティング(そんなに温かくない)や薪ストーブしかない場合が多く、冬場の滞在は結構厳しい場合が多いです。
その点、この宿は完璧。
冷房こそありませんが、こうした小さな気遣いに嬉しくなります。
・wi-fi:10/10
驚いたのが、インターネットが爆速だったこと。
部屋、外のテラス、共用エリア…など宿泊客用エリアではどこでも電波最大で繋がります。
・雰囲気:9/10

部屋も共用エリアも広々としており、全体的にゆったりとした居心地の良さが感じられる点がこうポイント。
調度品や家具こそソ連感がぷんぷん漂う古いものですが、それもまたレトロな魅力を醸し出しているのかもしれません。
特に良かったのが、宿泊客用フロアのすぐ外にある広々としたテラス。
ソファーやテーブルもたくさん設置されており、開放的な空気に包まれながらのんびりと過ごすことができます。
・総合:8.4/10
立地のマイナス面にさえ目を瞑れば、ものすごくパーフェクトな宿です。
とにかく居心地が良く、自由に気を遣うことなく過ごせるため、イェゲグナゾールにのんびりと滞在したい人には心からおすすめ。
居心地面や設備面では、これまでアルメニアで泊まった宿の中でもトップレベルかもしれません。
【イェゲグナゾールの宿の予約はこちらから!】
イェゲグナゾール~近郊の町への交通

イェゲグナゾールを拠点に近郊の見どころへアクセスする際に便利なのが、近郊マルシュルートカ。
イェゲグナゾールは地理的にも経済的にもヴァヨツ・ゾール地方の中心として機能しているため、近郊の小さな町や村とを結ぶマルシュルートカ路線が意外と豊富なのです。
ヴァヨツ・ゾール地方内の近郊マルシュルートカは、ほんの少しの例外はあるものの、基本的にイェゲグナゾール中心街のバスステーションの発着。【マップ 茶色】
とりあえず事前に中心街のバスステーションに行ってみて、目的の便のスケジュールを確認するのが良いでしょう。
ここでは、本記事内で紹介しているヴァヨツ・ゾール地方の見どころへのアクセスに利用できるマルシュルートカ路線の情報をどどっと解説していきます!
イェゲグナゾール~ヴェルナシェン
(→タナハト修道院/グラゾール大学ミュージアム/スピタカヴォル修道院/プロシャベルド城塞)

イェゲグナゾールの北5kmほど、ひと続きの集落のようになっているヴェルナシェン(Vernashen/Վերնաշեն)は、イェゲグナゾール北部の見どころへの玄関口となる村。
イェゲグナゾール→ヴェルナシェン方面は結構な上り坂となっているため、マルシュルートカを利用して時間と体力を節約するのがおすすめです。

イェゲグナゾール側の発着ポイントは中心街のバスステーション【マップ 茶色】から。
20分ほどかけてヴェルナシェン村の中心部に至ったマルシュルートカは、折り返して再びイェゲグナゾールへ戻る単純なルートを取ります。
午前中は1時間に1便/午後は1時間半に1便出ており、始発は朝8:00イェゲグナゾール発/最終は18:30ヴェルナシェン発だそう。
土日祝日は完全運休となり平日のみの運行なので、利用して移動する際は曜日に要注意です。
イェゲグナゾール~イェゲギス

イェゲグナゾールの北側に位置するイェゲギス周辺の見どころを訪れる場合、イェゲグナゾール~ヘルモン(Hermon/Հերմոն)という村を結ぶマルシュルートカを利用できます。
この区間は、1台のマルシュルートカがぐるぐると1日3往復しているだけの単純なルート。
2025年現在のスケジュールは以下の通りです。
①8:00イェゲグナゾール発→8:30イェゲギス通過→8:45ヘルモン着
①9:00ヘルモン発→9:15イェゲギス通過→9:45イェゲグナゾール着
②13:00イェゲグナゾール発→13:30イェゲギス通過→13:45ヘルモン着
②14:00ヘルモン発→14:15イェゲギス通過→14:45イェゲグナゾール着
③16:30イェゲグナゾール発→17:00イェゲギス通過→17:15ヘルモン着
③17:30ヘルモン発→17:45イェゲギス通過→18:15イェゲグナゾール着
注意したいのが、イェゲグナゾール側での発着ポイント。
②昼便(13:00)と③夕方便(16:30)はイェゲグナゾール中心街のバスステーション【マップ 茶色】からの出発ですが、①朝便(8:00)のみ幹線道路沿いバスステーション【マップ 黄色】からの発着です。
イェゲグナゾール~ヴァイク

イェゲグナゾールの10kmほど東に位置するヴァイク(Vayk)は、ジェルムック方面への道と南部シュニク地方への道が分岐する交通の要所。
イェゲグナゾール~ヴァイク間には平日1時間に1本/土曜2時間に1本の直行マルシュが走っており、簡単に移動することができます。
イェゲグナゾール側の発着ポイントは中心街のバスステーション。【マップ 茶色】
ヴァイク側の発着ポイントは中心部のメインストリート東端からとなります。
ヴァイクは、ジェルムックへのアクセスに便利な町。
ヴァイク~ジェルムック間を走るマルシュもあるそうなので、イェゲグナゾール→ヴァイク→ジェルムックと移動するのもアリです。
イェゲグナゾール~アレニ

イェゲグナゾール~アレニ間には、1日3往復のマルシュルートカが平日のみ運行しており、旅行者でも簡単に移動することができます。
・イェゲグナゾール発→8:00/12:30/16:00
・アレニ発→8:30/13:00/16:30
※アルメニア地方部のマルシュ時刻表は変更もしばしばあるので、必ず現地で自身での確認を
イェゲグナゾール側の発着ポイントは中心街のバスステーション。【マップ 茶色】
アレニ側の発着ポイントは村南部の集落にある広場となります。
イェゲグナゾール~ジェルムック
保養客に大人気のジェルムックまでは、イェゲグナゾールから直行のマルシュルートカが平日のみ1日1本走っています。
イェゲグナゾール14:00発/ジェルムック9:00発(※土日祝運休)という、旅行者的には不便なスケジュールで、イェゲグナゾール発着でのジェルムック日帰り往復は不可能。
とはいえ、ジェルムックは日帰りで訪れても何の意味もないので、このスケジュールで逆に良いのかもしれません。
イェゲグナゾール側の発着ポイントは中心街のバスステーション。【マップ 茶色】
ジェルムック側の発着ポイントはジェルムック中心街の広場です。
イェゲグナゾール~アルメニア他エリア間の移動
イェゲグナゾールは、アルメニアの南北を結ぶ唯一の幹線道路沿いに位置する町。
そのため、エレバンなどの北部とゴリスなどの南部を結ぶ交通の重要なハブとなっています。
イェゲグナゾールには鉄道は走っていないため、他の町からのアクセスはタクシーかマルシュルートカ(乗り合いミニバス)のいずれか。
エレバンなど北部とのアクセスは良い方ですが、シュニク地方方面(ゴリスやシシアンなど)へは直行のマルシュルートカがないため、個人での移動の難易度は少し上がってきます。
タクシー
各都市~イェゲグナゾール間の移動で最も便利なのがタクシー。
主な都市からのタクシー料金の相場は以下の通りです。
・エレバン~イェゲグナゾール:2時間/15000AMD(=¥6000)
・ゴリス~イェゲグナゾール:2時間/15000AMD(=¥6000)
・シシアン~イェゲグナゾール:1時間40分/13000AMD(=¥5200)
・セヴァン~イェゲグナゾール:2時間半/20000AMD(=¥8000)
タクシー利用であればアルメニア北部/南部のどこの都市からでも簡単にイェゲグナゾールにアクセスできるのは大きなメリット。
また、いっさいの公共交通手段が存在しないセヴァン湖方面との移動も、タクシーであれば可能です。
マルシュルートカ

イェゲグナゾール~アルメニア各都市の長距離移動に利用できるのがマルシュルートカ。
長距離マルシュルートカ便は、基本的に中心街から1kmほど南に離れた幹線道路沿いのバスステーション付近の発着となります。【マップ 黄色】
イェゲグナゾールへのアクセスが最も便利なのはエレバン方面ですが、南部のゴリスやシシアン方面からイェゲグナゾールへ移動するのも可能。
いっぽう、イェゲグナゾール→南部方面への移動はややハードルが高いので、個人的には先にゴリスやシシアンなど南部を周った後でイェゲグナゾールに移動する北上プランの方がおすすめです。
エレバン~イェゲグナゾール間マルシュルートカ
【エレバン→イェゲグナゾール方面】

エレバン~イェゲグナゾール間マルシュルートカのエレバン側の発着ポイントは、中心街南部にある労働広場(Labor Square/Աշխատանքի հրապարակ)の50mほど南の一角。
キリキア・バスステーションや鉄道駅前バスステーション発着ではない点に要注意です。▼
労働広場のマルュルートカ発着ポイントの最寄りは、エレバン地下鉄のGortsaranayin駅(Գործարանային)。
地下鉄駅の出口を出て、労働広場がある西方向に歩いて5分ほどの場所です。


▲労働広場のバス発着ポイントでは、イェゲグナゾール行きやヴァイク行きのマルシュルートカが常に待機しているので、運転手に行き先を確認して乗車すればOK。
事前に座席を予約したりする必要はなく、当日直接出発ポイントへ行けばOKです。
イェゲグナゾール側の到着ポイントは、幹線道路沿いバスステーションです。【マップ 黄色】

イェゲグナゾールからエレバンに向かう際も、555番のマルシュルートカが利用できます。
幹線道路沿いバスステーション【マップ 黄色】からの出発で、こちらも1時間~2時間に1本出ています。
もしくは、幹線道路沿いバスステーション前の道路上に停車しているシェアタクシーを利用するのもアリ。
7人乗りのワゴン車を個人が運転しているもので、乗客の人数が集まり次第の出発となりますが、だいたい30分に1台はエレバン行きが出ています。
シェアタクシーの料金は、マルシュルートカと同額の2000AMD(=¥800)。
特にこだわりがなければ、マルシュルートカの出発を待つよりもサクッと移動できて便利です。
ゴリス~イェゲグナゾール間マルシュルートカ

ゴリス~イェゲグナゾール間には、直行のマルシュルートカは存在しません。
そのため、エレバン~ゴリス間を1日2便走る607番マルシュルートカを途中乗車/下車するしか方法がありません。
607番マルシュルートカのエレバンでの発着ポイントは、地下鉄Sasuntsi Davit駅に直結している鉄道駅前バスステーション(南バスステーション)。
ゴリスでの発着ポイントは、中心街のコミタス通り(Komitas St.)の路上となります。
ゴリス→イェゲグナゾール方面であれば、ゴリスの発着ポイントから始発のマルシュに乗れるため、チケットを購入する際に「イェゲグナゾールで降りたい」と言えばOK。
料金は基本的にフル区間分である3000AMD(=¥1200)払わなければいけない場合が多いです。
ハードルが高めなのが、エレバン→イェゲグナゾール→ゴリス方面へ向かう607番マルシュに途中乗車する場合。
607番マルシュはほぼ座席予約必須と言えるほどに満席率が高く、イェゲグナゾールでゴリス行きに途中乗車しようとしても席がなく乗せてもらえない場合がほとんどであるためです。
というわけで、どうしてもこの区間をマルシュルートカで移動したい場合は、ゴリス→イェゲグナゾールと北上するルートで旅のプランニングをするのがおすすめです。
ゴリスにはバスステーションという概念は存在せず、各方面へのマルシュルートカが異なるポイントから発着するのが旅行者泣かせ。
ゴリス→エレバン方面の607番マルシュルートカのゴリス側の発着ポイントは、ゴリス中心街のコミタス通り(Komitas St.)の一角です。
シシアン~イェゲグナゾール間マルシュルートカ

シュニク地方第三の町であるシシアン~イェゲグナゾール間にも、直行のマルシュルートカは存在しません。
そのため、シシアン~エレバン間を走る602番マルシュルートカをイェゲグナゾールで途中乗車/下車することになります。
シシアン~エレバン間の602番マルシュルートカのエレバン側の発着地はキリキア・バスステーション。
シシアンの発着地は中心街の広場となります。
こちらの便も、ゴリス便と同様に事前予約ほぼ必須&満席率が高いという理由で、イェゲグナゾール→シシアン方面の移動はかなりハードルが高め。
シシアン→イェゲグナゾール方面の移動であれば、シシアンの始発ポイントで「イェゲグナゾールまで」と告げておけば普通に途中下車できます。
シシアン/ゴリスにかかわらず、イェゲグナゾールから南方向への移動はとにかく不便。
エレバンから直接南部エリアへ→南部エリアからイェゲグナゾール入り…という北上プランを強くおすすめします。
ゴリス/シシアンからイェゲグナゾルに移動する場合の降車ポイント

ゴリスやシシアンなど南部からイェゲグナゾールにマルシュルートカ移動する場合、すべての便はイェゲグナゾール中心街入口となる幹線道路沿いバスステーションの800mほど手前にあるYeghegnadzor Foodcourtで20分ほどの休憩を取ります。【マップ 赤④】
わざわざ20分の休憩時間を待って、再出発してたったの800m移動してバスステーションで途中下車する意味もないので、Yeghegnadzor Foodcourtに到着したらそのまま荷物を下ろして中心街へと向かうのが効率的です。
イェゲグナゾール観光のアドバイス・注意点

イェゲグナゾール観光においては、特別に準備することや注意することはありません。
このエリアの中心的な町として機能していることもあり、旅行者に必要なものは全て現地で揃います。
イェゲグナゾールを訪れる際に最も大切なのは、季節と日数のプランニング。
アルメニアの中では温暖な地域なのですが、降雨量が比較的多いため、雨天時の予備日を含めた柔軟なプランニングを心がけましょう。
イェゲグナゾール観光におすすめの季節
イェゲグナゾールへのアクセス&滞在自体は年間を通して可能です。
しかし、周辺の小さな村への道路が雪で閉ざされてしまう冬場(12月~2月)は、近郊の見どころへのアクセスができなくなってしまうため、観光には不向き。
3月~11月の雪のない時期に訪問するのが鉄則です。
イェゲグナゾールはアルメニアの中では標高が比較的低い(1100mほど)ため、エレバンと並んで(アルメニア的には)温暖な気候であることでも有名。
しかし夏場の灼熱さはエレバン以上だそうで、40℃越えする日も普通なのだそうです。
というわけで、イェゲグナゾール観光に最も適した季節は4月~6月の春か、9月~10月の秋。
春は降水量がかなり増えるため、安定した天気を狙うなら秋がベストかもしれません。
イェゲグナゾールと周辺エリアは、アルメニア髄一のワインの産地としても知られています。
秋の訪問であれば伝統のワイン造りに参加したり、できたてのワインを試飲したりと、グルメ面での楽しみも倍増するのが嬉しいです。
イェゲグナゾール観光に必要な日数
イェゲグナゾール観光に何日間必要となるかは、「どの交通手段で見どころを周るか」と「どこまで制覇するか」によって大きく異なります。
イェゲグナゾール周辺に点在する見どころの観光に必要な時間は、以下の通り。▼
・タナハト修道院+グラゾール大学ミュージアム:タクシー→2時間/個人→半日
・スピタカヴォル修道院+プロシャベルド城塞:タクシー→半日/個人→丸一日
・アグラカゾールの石橋:タクシー→1時間/個人→2時間
こんな感じなので、すべてタクシーをチャーターして周る場合は丸一日あればなんとかなるはず。
個人でマルシュルートカと徒歩で周る場合は、1日目にタナハト修道院+グラゾール大学ミュージアム→アグラカゾールの石橋と3ヶ所を制覇し、2日目にスピタカヴォル修道院+プロシャベルド城塞を周るというプランで合計丸二日間となります。
この「タクシー丸一日/マルシュ+徒歩丸二日」という日数を基本に、アレニやジェルムック、イェゲギスなどヴァヨツ・ゾール地方の各見どころへ足をのばす日数を足せばOK。
アレニやジェルムックに関しては日帰りよりも宿泊するプランの方が絶対に良いので、すべて個人で周るのであれば1週間ほどはみておきたいものです。
イェゲグナゾールのインフラ/施設
イェゲグナゾールには、旅行者に必要な施設がすべて揃っています。
銀行ATMや商店などは中心街に点在しており、困ることはまずありません。
イェゲグナゾールで以外と不便だと思ったのが、大型スーパーマーケットが存在しない点。
買い物は個人商店かコンビニのような小規模ストアで済ませる必要があります。
もちろん、小規模の店でもたいがいのものは揃うのですが、エレバンのスーパーのような豊富な食材とは無縁。
インスタント麺やスナック類の種類はとにかく限られているので、こだわりがあるのなら他の町から持参した方が良いかもしれません。
イェゲグナゾールの治安
イェゲグナゾールの治安は、アルメニア地方部の他都市と同様に全く問題ないと断言できるほど。
そもそも観光客の数が限られているということもあり、旅行者を狙ったぼったくりや詐欺などの話もいっさい聞きません。
ひとつだけ注意したいのが、タクシーを利用する場合。
運転手には英語はまず通じず、こちらが外国人であると分かるとふっかけてくる場合も多いためです。
また、イェゲグナゾールは隣国(トルコやアゼルバイジャン)との国境からは離れた場所にあるため、アルメニア南部の中では軍事的リスクは低めです。
おわりに
ヴァヨツ・ゾール地方の見どころを訪問する拠点にぴったりなイェゲグナゾールの滞在に必要な情報を、これでもか!とばかりの詳しさで解説しました。
イェゲグナゾールの中心街は見どころこそ乏しいですが、なぜか長居したくなってしまうような不思議な居心地の良さがあります。
周辺の見どころに足をのばしてガッツリと旅する日と、宿でのんびりしながらイェゲグナゾールらしい空気感にどっぷりと浸る日をうまく組み合われば、きっとこの小都市での滞在が思い出深いものとなるはず。
アルメニア地方部らしい良さを色濃く残した、ローカルでゆったりした雰囲気を存分に感じながら過ごしましょう!
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