こんにちは!アルメニア南部をのんびりと開拓中、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
とうとう…とうとう到達することができました…
長年夢見ていた、アルメニア南部最大の観光ハイライトであり圧倒的聖地である場所に…
それが、タテヴ修道院(Tatev Monastery/Տաթևի վանք)。
深い山々を一望する場所に凛と佇む、1200年前から続く祈りの場です。▼

タテヴ修道院は、アルメニア全国でもトップレベルの絶景修道院としてポピュラーな場所。
実際に行けば、他の追随を許さないほどの誇りや厳かさが漂っているのが肌で感じられます。
圧倒的な異世界の風景ばかりが話題となるタテヴ修道院ですが、その歴史の重厚さや建築の素晴らしさも特筆すべきもの。
かつては自治権が与えられ、まるで独立した都市国家のごとく機能していたほどに黄金時代を謳歌した場所であり、栄光の時代の残り香は旅行者であっても感じることができます。


そんな抜群の知名度とは裏腹に、タテヴ修道院を訪問する旅行者は意外と少なめ。
ただでさえ地理的に不便なアルメニア南部エリアのさらに山奥に建っているというロケーションが災いし、交通インフラの乏しさも相まって、なかなかここまで実際に足をのばす人は多くないのです。
しかし、タテヴ修道院、ほんっとにほんっっっとうに素晴らしかったです。
確かにアクセスには難ありですが、「アルメニアに来たなら絶対に行っておくべき!」と声を大にして主張したいくらいに。正直、他の見どころとは格が違います。

そんなわけで今回の記事は、アルメニア南部エリア旅行のハイライトであるタテヴ修道院の観光情報を徹底解説するもの。
いつものように、歴史から見どころの詳細な解説、アクセス情報や周辺の村での滞在情報まで…
タテヴ修道院訪問に必要な情報はすべて詰まっています。
「タテヴ修道院、有名だし行ってみたいけど、日程的に厳しいかも…」と迷っている人へ…他の予定を削ってでも行きましょう!むしろタテヴに行かずにアルメニアを去ったら一生後悔します。
のぶよがここまで「とにかく何が何でも絶対に行くべき!!!」とものすごい圧でおすすめする場所は、アルメニア広しと言えども数か所だけ。
この記事が、タテヴ修道院を訪れる日本人の数を少しでも増やすお役に立てればなによりです!
タテヴ修道院の歴史

アルメニアの修道院や教会を訪れる際に共通していることですが、その場所の歴史をざっくりとでも知っておくのはマスト。
何も知らずに訪れても「絶景修道院!RPGの風景!写真ぱしゃぱしゃぁ~」で終わってしまうので。
タテヴ修道院の歴史はアルメニア全国に点在する修道院の中でもかなり古い方で、中世アルメニア王国の黄金時代よりも前の9世紀に遡ります。
その後、二度に渡る黄金時代と衰退を経験し、再び聖地としての機能を取り戻したという稀有な歴史がタテヴ修道院の特徴です。
かつては強力な自治権を有し、「タテヴ都市国家」さながらの半独立状態にあったほどに、華やかな黄金時代を謳歌したタテヴ修道院。
栄光と衰退の歴史が絶妙に入り混じる独特の雰囲気を存分に味わうために、この場所の歴史を知っておきましょう!
①9世紀:タテヴ修道院のはじまり

現在タテヴ修道院が建つ場所には、古代より人類が居住していたことが分かっています。
古代アルメニア王国が世界初のキリスト教国となった301年を契機に、元々この場所にあった精霊信仰用の祠が小さな教会に置き換えられたことが、聖地としての始まりでした。
しかし時代は移り変わり、古代アルメニア王国は崩壊。
その後はササン朝ペルシア帝国(現在のイラン)やアラブ人などの異民族による支配を450年余りに渡って受け、キリスト教文化は衰退していました。

そんな流れが大きく変化したのが9世紀(1200年前)のこと。
アニ(現在のトルコ東部)を首都として中世アルメニア王国が成立したことでアルメニア地域全体で再びキリスト教文化が花開くこととなったのです。
9世紀当時のアルメニア南部地域は、シュニク総主教と呼ばれるキリスト教指導者の元で、ある程度の自治が行われていました。
このシュニク総主教の命によってかつての小さな教会に併設される形で848年に建造されたのが、現在のタテヴ修道院で最古の建物となる、啓蒙者グレゴリウス教会です。

その後906年には現在にも残る聖ポゴス・聖ペテロ教会が完成し、中世アルメニアのキリスト教黄金時代へと突入していきます。
タテヴ修道院の名前の由来
「タテヴ」は、アルメニア語で「翼を授けよ」という意味。
いったいどうしてこんな格好良い名を冠しているのかというと、ある伝説に基づいています。
時は9世紀、啓蒙者グレゴリウス教会の完成目前のこと。
建設作業をしていた男が、ドーム天井部分で仕上げをしている際に、足を踏み外して転落してしまいます。
教会の裏は深い谷間。男は奈落の底へと落下しながら「タ・テヴ」(私に翼を授けよ)と叫んだのだそう。
その数分後、谷底に吸い込まれていったはずの男の姿はどういうわけか教会の前にありました。
この奇跡的な伝説が話題となり、この場所自体が「タテヴ」と呼ばれるように。
タテヴ修道院の名前の由来には他にもいくつかエピソードがありますが、どれも流れは「谷底におちそうになって翼を求めた」といった似たようなものです。
②11世紀:第一次黄金時代

中世アルメニア王国の黄金時代を反映したかのように、タテヴ修道院も徐々に聖地としての規模を拡大していきます。
11世紀初頭(1000年前)には1000人を超える修道僧がこの場所に集まって生活していたことが判明しており、アルメニア南部地域における最大規模のキリスト教修道院として黄金時代にありました。

当時のタテヴ修道院の繁栄を象徴するかのように、その敷地内にも新たな建造物が次々に増築されます。
聖ポゴス・聖ペテロ教会に併設されたアーチ式のホールが1043年に完成し、1087年には敷地の北側の城壁に併設された聖母教会が完成しました。
③12世紀~13世紀半ば:異民族襲来による衰退期

12世紀に入ると、アルメニア南部地域は中央アジア出身の遊牧国家であるセルジューク朝の侵攻をたびたび受けるように。
タテヴ修道院も攻撃の標的となり、啓蒙者グレゴリウス教会など敷地内の歴史ある建物が大きなダメージを受けました。
1170年に起こったセルジューク朝の侵攻においては、タテヴ修道院内に保管されていた書類や美術品が1万点以上も焼失するという甚大な被害も受けています。

13世紀に入りセルジューク朝が弱体化したのもつかの間。
今度は遥か東方からモンゴル帝国が襲来し、アルメニア地域は壊滅的な被害を受けます。
タテヴ修道院も当初はモンゴル軍による攻撃対象となったのですが、当時アルメニア南部地域で権力を持っていたオルベリアン一族がモンゴル軍と密約を交わしたことにより、どうにか危機を回避。
この密約によってタテヴ修道院はモンゴル軍に対する税を免除されることとなり、これが14世紀からの第二次黄金時代の布石となります。
④14世紀~15世紀:第二次黄金時代

モンゴル軍の脅威が完全に去った1286年、オルベリアン一族はタテヴ修道院の支配権を完全に取り戻すことに成功しました。
1295年には、セルジューク朝によって半壊した状態だった啓蒙者グレゴリウス教会の再建も完了。
続く14世紀のタテヴ修道院は、オルベリアン一族の庇護下で二回目の黄金時代を迎えることとなりました。
14世紀当時のタテヴ修道院はとにかく絶大な権力を有していたそう。
敷地内には神学を学ぶための大学が設置され、税制や制度面で優遇される自治権まで保証されていたそうです。

その結果、多くの修道僧がタテヴ修道院に集まることに。
シュニク地方のみならず、アルメニア全体におけるキリスト教文化の中心地として、当時のタテヴ修道院は機能していました。
当時のタテヴ修道院の権力下にあったのは、その敷地内だけではありません。
現在のタテヴ村から離れた場所に位置するヒン・ホット村やハリゾール村なども修道院の管轄下に置かれていたそうで、当時建設された教会などの建物が現在でも残されています。
⑤14世紀末~18世紀:衰退

タテヴ修道院の第二次黄金時代を終焉させたのが、中央アジアから襲来したティムール朝でした。
1381年~1387年の間にたびたびアルメニア地域に侵攻したティムール朝は、アルメニア全土で破壊の限りを尽くします。
タテヴ修道院も大きな被害を受け、権力下にあった地域の多くを失ってしまい、歴史の表舞台からその姿を消すことになります。
その後も、タテヴ修道院及びアルメニアにとっては苦難の時代が続きます。
18世紀末にはサファーヴィー朝ペルシア(現在のイラン)の侵攻を受け、19世紀初頭にはペルシアに入れ替わって支配者となったロシア帝国によって、タテヴ修道院の自治特権が廃止されてしまいました。
20世紀にアルメニア地域の支配権がソ連政府に移ると、宗教の禁止政策とともにタテヴ修道院は聖地としての機能を完全に失ってしまいます。
⑥2010年代:タテヴ再開発プロジェクト

二回目の黄金時代から700年近くも衰退の歴史を歩み、もはや人々に忘れ去られてしまったタテヴ修道院。
この場所が再び息を吹き返すこととなったのが、ソ連が崩壊しアルメニアが独立を達成してから20年後の2010年のことでした。
タテヴ修道院の悠久の歴史と文化的重要性を再認識し、かつてのキリスト教社会をこの場所に復活させることを目的に、アルメニア政府主導の「タテヴ再生プロジエクト」が開始されたのです。

再生プロジェクトの目玉となったのが、タテヴ修道院と麓のハリゾール村を結ぶケーブルカー「ウィングス・オブ・タテヴ」。
「世界最長の複線ケーブルカー」としてギネスブックにも認定されており、タテヴ修道院のアクセスの不便さの解消と観光客誘致の起爆剤として設置されたものです。
他にも、傷んだ建物の修復や観光インフラの整備、修道僧用の生活インフラの整備も同時に進行。
現在のタテヴ修道院は、再び祈りの場としての機能を取り戻し、多くの観光客が訪れる場所となりつつあります。
タテヴ修道院の見どころ
タテヴ修道院の敷地は、3つの教会と、それらを取り囲む城壁と一体化したタテヴ大学跡の建物で構成されています。
各教会はどれも歴史深いもので、中世アルメニア王国の建築技術の高さが見て感じられるほどに素晴らしいもの。
さまざまな角度から眺めて、歴史を肌で感じましょう。
タテヴ修道院観光マップ
オレンジ:ウイングス・オブ・タテヴ乗り場
赤:おすすめレストラン
紫:おすすめゲストハウス
黄色:ゴリス~カパン間マルシュルートカ途中乗下車ポイント
①聖ポゴス・聖ペテロ教会

タテヴ修道院の敷地の中央に位置する最も規模が大きな建造物が、聖ポゴス・聖ペテロ教会(Surb Paul and Peters chuech/Սուրբ Պողոս-Պետրոս եկեղեցի)。
建造は906年と、修道院内の三つの教会のうち二番目に古いものです。
ドーム屋根部分に施された傘のようなギザギザした装飾は、10世紀当時の中世アルメニア王国興隆期における定番の様式。
同じ時代に建設されたアルメニア教会のほとんどが、このスタイルとなっています。
聖ポゴス・聖ペテロ教会の入口部分には、1043年に増築されたアーチ式のホールが堂々とたたずみ、圧倒的な存在感を示します。▼


教会の内部は、外観と同様にかなり大規模なものですが、装飾などはいっさいなく無骨な印象。
元々は内壁にフレスコ画が施されていたそうですが、12世紀のセルジューク朝による侵攻時に焼失してしまったのだそうです。▼

この時はイースター目前ということもあり、内部ではちょうどミサが行われ多くの人々が礼拝に訪れていました。
男性修道僧たち数人が太い声で歌う聖歌が1100年前の建物内部に響き渡り、もはや中世アルメニア王国時代にタイムスリップしてしまったかのような感覚に…


▲教会の右側にある小部屋には、聖グリゴール・タテヴァツィという人物が眠る棺があります。
聖グリゴール・タテヴァツィとは、14世紀後半にここタテヴ修道院を拠点とした哲学者。
当時はティムール朝による侵攻&タテヴ修道院第二次黄金時代終焉の目前で、当時敷地内にあったタテヴ大学でアルメニア文化の啓蒙活動の中心的な役割を担っていた人物です。
②啓蒙者グレゴリウス教会

聖ポゴス・聖ペテロ教会に併設される形でたたずむ小さな教会が、啓蒙者グレゴリウス教会(Surb Grigor church/Սուրբ Գրիգոր Լուսավորիչ եկեղեցի)。
シンプルで小規模な外観ですが、この教会こそがタテヴ修道院で最も長い歴史を持つ建造物です。
啓蒙者グレゴリウス教会の完成は848年のこと。
まさにこの小さな教会から、現在にまで続く聖地としてのタテヴ修道院が始まったのです。


教会の名前となっている「啓蒙者グレゴリウス」とは、301年にアルメニアが世界初のキリスト教国となった際に重要な役割を果たした聖人のこと。
現在でも彼の名を冠する教会は、アルメニア全国に点在しています。
異民族による攻撃や地震による被害を受けては、再建されることを繰り返してきた啓蒙者グレゴリウス教会。
外観&内部ともに見ごたえ抜群とは言えないものの、その長い歴史が石壁に染み込んでいるかのようです。

③聖母教会

タテヴ修道院を取り囲む城壁にくっついたような状態で立っているのが、三番目の教会である聖母教会(Surb Astvatsatsin church/Սուրբ Աստվածածին եկեղեցի)。
完成はタテヴ修道院の第一次黄金時代である1087年のことです。
現在でこそ城壁に併設されたような姿となっていますが、城壁が完成したのは14世紀のこと。
つまり先に聖母教会が建てられ、その数百年後に聖母教会に隣接する形で城壁が付け加えられたことになります。


聖母教会の敷地は二層構造のようになっており、下層は霊廟に、上層が教会スペース。
教会自体はとても質素な雰囲気で、内部も地味な印象を与えます。▼

教会スペースがある上層からはタテヴ修道院の敷地の大部分とその周囲の山々を一望する絶景が。
遥か昔から続く聖地の威厳を感じさせる風景に、思わず息を呑みます。▼

④ガヴァザン

修道院の敷地の東側の一角には、「ガヴァザン」(Gavazan/Գավազան)と呼ばれる柱が立っています。
知らなければこの柱がいったい何なのか知らずに通り過ぎてしまいますが、実はこの柱は中世アルメニア王国の建築技術の素晴らしさを現在に伝えるものすごいもの。
設置されたのは10世紀のことだと解明されており、千年以上前から変わらずに同じ場所に立ち続けているというのですから…
異民族の侵攻によりタテヴ修道院の教会が焼き討ちに遭ったり、たびたび発生した大地震によって建物が大きな被害を受けても、このガヴァザンだけはなぜか無傷のままに立ち続けていたのです。


そして何よりもすごいのが、ガヴァザンはひとりでに揺れるように設計されている点。
日本の耐震構造建築をイメージするのが最も近いですが、あえて柱が揺れるように設計することで、地震の際に揺れを分散させて倒壊しないように考えられているのだとか。
ガヴァザンが建てられた理由も、まさに地震に関連するもの。
大地震の前兆となる小さな余震の際に小刻みに揺れるようになっているため、それを見た修道僧たちが本震に備えることができたのだそうです。
⑤タテヴ大学跡

修道院の敷地の東側~南側を取り囲む城壁の内部には、タテヴ大学跡が残っています。
タテヴ大学とは、14世紀~15世紀にかけてのタテヴ修道院第二次黄金時代に創設された学びの場のこと。
周辺地域を含めた自治権が認められたタテヴ修道院において、周辺エリアにおける文化の中心として機能していた施設の跡です。


タテヴ大学の建物は大小さまざまなものが組み合わさっており、内部は狭い通路が迷路のように入り組んでいます。
のちの時代には修道僧の生活スペースとしても機能していたそうで、歴史を感じさせる小部屋がいくつも設置されています。

タテヴ大学跡の建物は修道院の城壁も兼ねているため、いくつかの小部屋からは周囲の山々や深い谷間を一望する絶景が。
こんな場所で学業に専念できるなんて、なんとも羨ましいことです…


現在、タテヴ大学跡の建物全体を、当時の修道僧や学生の生活を伝えるミュージアムにするプロジェクトが進められています。
そのため、2025年現在の建物内部はどこも「改装途中」といった感じで、詳細な展示や説明はまだ導入されていなかったのが残念。
近い将来にはきっと、数百年前の大学の様子を体験できる素敵な施設となるはずです。
⑥精油場

タテヴ修道院の敷地のすぐ外側には、なにやら歴史を感じさせる建造物がたたずんでいます。
これは、中世の精油場(Oil Mil)の跡地。
植物の種やオリーブを搾り、油を抽出するための施設でした。
アルメニアにはこうした精油場の跡がいくつも残っていますが、ここタテヴのものは国内最大級だそう。
展示されているオリジナルの道具の保存状態も素晴らしいです。

当時は電気や電動の搾り器なんてものはもちろんないので、油を搾る作業はとても大変なものでした。
大きな石のお盆のようなスペースにオリーブやひまわりの種を入れ、数人がかりで円形の石を動かしてぐるぐると周ることで、巨大な石臼のような要領で油を搾っていたのだとか。


精油場は、2010年代のタテヴ再生プロジェクトによって新たに設置されたミュージアム施設の一つ。
入場は無料で、自由に内部を見学することができます。
⑦タテヴ修道院ビューポイント

タテヴ修道院の敷地で歴史の浪漫を存分に感じた後は、いよいよ観光のハイライトとなる絶景に感動するとき。
修道院とその奥に広がるヴォロタン渓谷を一望する、タテヴ修道院ビューポイントへと向かいましょう。【マップ 青】

修道院~ビューポイント間は、幹線道路沿いを600m/15分ほど歩くだけ。
歩道はなく、大型トラックもしばしば通る道なので、十分に注意して歩くようにしましょう。
特にビューポイントの標識などはなく、あくまでも非公式なものですが、実際に行けば少しひらけた駐車場のような場所があるのですぐにわかるはず。
なにより、目の前に広がる風景の素晴らしさ的に、「ここがビューポイントだ!」と瞬時に理解できるはずです。


ここからの眺めは、タテヴ修道院の観光ポスターやSNSにもよく登場する定番of定番のもの。
ぽっかりと口を開けた緑の渓谷に凛と佇む中世の修道院の風景は、あまりにも非現実的であまりにも異世界感に満ち溢れたものです。
実際に訪れると、「苦労してはるばるここまで来て良かった…」と心から感動するはず。
アルメニア全国でもトップレベルの絶景を、心ゆくまで堪能しましょう!
タテヴ修道院のお膝元!タテヴ村に滞在する

タテヴ修道院を有するタテヴ村は、修道院から目と鼻の先に位置する小さな集落。
アルメニア髄一の有名修道院のお膝元とあって、さぞかし観光マネーでウハウハしている村なのかと思いきや…まったくもって観光ボケしていない素朴な雰囲気がとても素敵な村でした。


どうやらタテヴ修道院を訪れる観光客は、修道院自体とビューポイントをさくっと観光して、ウイングス・オブ・タテヴでびゅーんと去っていってしまうよう。
修道院からたったの200mほどしか離れていないタテヴ村に足を踏み入れる観光客は本当に限られているようで、ここが超有名スポットを有する村だとは信じられないほどの素朴さです。


タテヴ村には、特に観光スポットがあるわけではありません。
観光客マネーもほとんど落ちないようで、なんとも言えない限界感すら感じられるほどです。
しかし、この「手つかずのアルメニア地方部の村」といった雰囲気は、とても貴重なもの。
村には家族経営のゲストハウスがいくつか点在しており、宿泊する場合はここが拠点となります。
タテヴ村のおすすめレストラン

タテヴ修道院の周辺には、数軒の家族経営の飲食店が並んでいます。
店によって通年営業のところと夏季のみ営業のところがあるようで、のぶよが訪問した4月半ばに営業していたのは数軒だけでした。
ここでは、タテヴ村での食事におすすめしたいお店を2軒紹介します!
①Tatev info cafe

タテヴ村で自家製の絶品料理を食べたい人に心からおすすめしたいのが、Tatev info cafe。【マップ 赤】
普通の民家を一部改装して飲食店として営業している「民家カフェ」のようなお店です。


元々は一般的な民家だったとあって、Tatev info cafeの内部はかなり狭め。
リビングだった部分が飲食スペースとなっており、最大でも10人ほどしか入れないくらいの小さなスペースです。
外のテラスにもいくつか席がありますが、夏場以外は寒いので厳しいかもしれません。


このお店は村出身のおばさんと娘が二人三脚で切り盛りしているもので、素材は全てタテヴ村周辺で採れるものにこだわっているのだそう。
冷凍食品などをいっさい使わず、すべて一から手作りの自家製というのも嬉しいです。
Tatev info cafeのメニューがこちら。
価格帯はアルメニア地方部の平均価格の1割増しくらいで、かなり良心的だと思います。▼


小さな店のわりに結構豊富なメニューで、何を注文しようか迷ったのですが、店の娘さんが「アルメニア南部の名物よ!」とイチオシしてくれた料理を注文することに。
それが、「ジャガイモのドルマ」です。▼

「ドルマ(トルマとも)」とは、アルメニアの伝統料理とされる、ぶどうの葉に挽き肉や米を詰めて煮込んだもの。
そのじゃがいも版がこちらです。
生のじゃがいもの中心をくり抜き、ハーブで味付けした牛挽き肉をたっぷりと詰めて、蒸し焼きのようにして調理されたものです。


ほっくほくのじゃがいもと、新鮮さが舌で感じられるジューシーな牛挽き肉のコンビネーションが、もはや優勝。
ミントとトマトの風味が効いた牛挽き肉からは肉汁が溢れ出て、可愛らしい器の底に溜まっており、この肉汁スープもものすごく美味です。
素材の良さと味付けの抜群な上手さが素人でも分かるほどに、レベルが高くてびっくり。
「他の料理もきっと間違いなく美味しいはず…!」と思い、翌日も再訪することにしました。

Tatev info cafeには実は裏庭に面したテラス席があり、村周辺の美しい山々の風景を眺めながらの食事も楽しめるのです。
本日食べるのは、生地から自家製だというペリメニ。
ロシアの水餃子のことで、アルメニアを含む旧ソ連圏全体で愛される料理です。
弾力のあるもっちもち生地と、ジューシーさが極んだ牛挽き肉のペリメニは、頬が落ちるほどの絶品。
チキンブイヨンで茹でられているようで、ほど良い塩加減と旨味がたまりません。


どの料理も自家製で、新鮮な素材が使用され、抜群に上手な味付けで提供してくれるTatev info cafe。
自然豊かな村の味を堪能したい人には心からおすすめです!
②Tatev Foodcourt

できるだけ安く食事を済ませたい人におすすめなのが、Tatev Foodcourt。【マップ 赤】
タテヴ修道院ビューポイントから100mほど道路沿いを歩いた場所にある、新しい飲食施設です。
「フードコート」とは、アルメニア全国どこにでもある手軽なスタイルの飲食店。
出来合いの伝統料理がずらりと並び、好きなものを好きなだけ注文することができます。


観光地にあるとは思えないほどに、ごく一般的なフードコートの価格である点も◎
店内の飲食スペースで食べても良いですし、テイクアウトして宿で食べたり外で食べたりすることも可能です。

料理は出来合いのものばかりなので、作り立てを提供する店には味では及びませんが、割安価格で食事したい人にはぴったり。
タテヴ村中心部からは若干距離がありますが(片道15分ほど)、ビューポイント鑑賞の帰りなどであれば立ち寄りやすいと思います。
タテヴ村のおすすめ宿

タテヴ修道院を100%満喫したい場合や、タテヴ~ゴリス間の「伝説の道」と呼ばれるトレッキングに挑戦したい場合は、修道院の目と鼻の先にあるタテヴ村に宿泊することになります。
村はとても小さいですが、十軒ほどのゲストハウスが点在しており、どこも手ごろな価格。
高級ホテルのようなサービスは望めませんが、アルメニア地方部の家庭にホームステイしているような感覚で滞在することができます。
ここでは、のぶよが実際に宿泊したゲストハウスの宿泊レポートをば。
【Aida Guesthouse】

・部屋タイプ:ツインルーム1人利用 ※バス・トイレ共用
・料金:5000AMD(=¥2000) ※朝食込み
・立地:7/10
タテヴ村の北側に位置する、一般の民家の一部を旅行者向けに開放したゲストハウス。
修道院までは徒歩15分ほどですが、修道院→タテヴ村方向はまあまあな上り坂となっている点に注意です。
宿から徒歩1分もかからない場所に小さな商店があり、必要なものはすべてそこで揃います。
・宿へのアクセス:9/10

表には看板などは出ていないため、ちょっと分かりにくいのが難点。
住所を頼りに、上の写真の扉を開けて勝手に中に入り、母屋にいる家族に声をかければOKです。
・スタッフ:8/10
オーナー家族はとても柔らかな態度ですが、そこまでがっつり絡んでくるわけではありません。
アットホーム感を求めている人にはやや微妙かもしれませんが、プライベート空間を重視する人には逆におすすめかも。
家族が住む母屋と、宿泊客用の棟は完全に分かれているので、そこまで顔を合わせる頻度は多くありません。
・清潔さ:7/10
部屋、共用エリア、トイレと、まあ合格点といった感じ。
そこまでピッカピカに毎日掃除されているというわけではなくベーシックな設備ですが、まあアルメニア地方部では平均的な水準だと思います。


ゲスト用のトイレ兼シャワーは一か所のみで、排水溝の匂いがまあまああったのがマイナス。
部屋には大きな窓が設置されており、明るくて悪くない雰囲気です。
・設備:6/10

シャワーのお湯も問題なく、暖房もあるので、寒い時期でも問題なく宿泊できると思います。
個人的にマイナスだったのが、宿泊棟にキッチン設備がない点。
お湯ひとつ沸かすのに、母屋の家族に頼んでいちいち持ってきてもらう…といった感じで、かなり気を遣います。
なので、自炊したい人にはこの宿は向きません。
電気ポット一つあるだけでも改善されるのになあ…と思ってばかりいました。
・wi-fi:6/10
Wi-Fiは問題なく動作しますが、ルーターが母屋にしかないため、宿泊棟では概して電波が弱めなのがマイナス。
こうしてブログを各程度ならさほど問題はないですが、動画視聴や作業は難しいかもしれません。
・雰囲気:8/10

宿泊棟は比較的新しく増設されたようで、モダンな造りで意外と快適に滞在できました。
アットホームなホームステイ感覚の宿というよりは、あくまでも民家の一部分に滞在しているといった感じで、オーナー家族とは完全に動線が分けられています。
そのため、そこまで温かみなどは感じられないのですが、まあ数泊するくらいならこんなもんかなあと。
宿泊棟の外にはちょっとしたテラスがあり、そこからの眺めは最高。
朝食も基本的にこのテラスでとることになり、アルメニア地方部の小さな村の美しさを存分に感じることができます。
・総合:8.7/10
タテヴ村のゲストハウスの中でも最安値レベルの宿ですが、特に問題なく快適に滞在できました。
一つ要望を言うなら、電気ケトル!!本当に、これ一つあるだけで宿泊客の満足度が大きく変わってくると思います。
宿泊料金に含まれている朝食も予想以上に良かったですし、予算を抑えながらタテヴ村に宿泊したい人にはおすすめです。
【タテヴの宿の予約はこちらから!】
タテヴ修道院へのアクセス・行き方
アルメニアを代表する見どころであるタテヴ修道院ですが、そのアクセスは便利とは言えません。
タテヴ修道院へのアクセス拠点となるのは、ゴリスの町。
ゴリスからであれば、アクセス手段にはいくつかの選択肢が考えられますし、ゴリス発着で日帰り観光することも可能です。
逆に、多くの旅行者が滞在拠点とする首都のエレバンからの日帰りはなかなかに無謀。
移動時間だけで往復10時間という苦行のような一日となってしまいます。
ここでは、タテヴ修道院へのアクセス方法を5つ紹介します。
旅のスタイルや日程に合わせたものを選びましょう!
①エレバン/ゴリスからタクシーチャーター
最も簡単なのは、タクシーをチャーターしてしまうこと。
拠点となるゴリスでの往復タクシーチャーターが基本ですが、エレバンからチャーターすることも可能です(おすすめはしませんが)。
・エレバン→タテヴ片道:35000AMD(=¥14000)
・エレバン~タテヴ往復チャーター:50000AMD(=¥20000)
・ゴリス→タテヴ片道:5000AMD(=¥2000)
・ゴリス~タテヴ往復:8000AMD(=¥3200)
タテヴ村には客待ちのタクシーが数台あるので、わざわざ往復でチャーターする必要もないように思います。
せっかくタクシーをチャーターするなら、途中の見どころにも立ち寄ってもらうプランがおすすめ。
特にゴリス~タテブ間にはデビルズ・ブリッジなどの見どころが点在しており、個人ではかなり行きにくいため、このエリアを効率的に観光したい場合はタクシーの利用価値が高いです。
②エレバンから現地ツアー
1日で効率的にタテヴ修道院と周辺の見どころをまわりたいなら、現地ツアーに参加してしまうのも一つの選択肢。
タテヴ修道院を訪問するツアーは99%エレバン発着で、朝7時出発/夜10時帰着といったハードスケジュールのものばかり。
近郊のゴリス発着のツアーは基本的にありません。
「どうしてもエレバンから日帰りでタテヴに行きたい!」という人には便利かもしれませんが、個人的には正直おすすめしません。
というのも、移動時間だけで片道5時間/往復10時間となり、ただの苦行となってしまうスケジュールなので。
タテヴ修道院を1時間見学するために、わざわざ往復10時間移動&高いツアー代金を払うよりも、エレバン近郊の修道院数か所をサクッと周るお手頃な日帰りツアーに参加した方が満足度は高いと思います。
③ゴリス/カパンからマルシュルートカ

ゴリスから個人でタテヴ修道院へと移動したい場合は、マルシュルートカの利用が可能。
ゴリス~タテヴを直接結ぶマルシュは存在せず、タテヴのさらに南に位置するカパン行きの1日1往復の便を途中下車することになります。
ゴリス側の発着ポイントは、中心街の観光案内所の50mほど西にある駐車スペースの一角。▼
カパン側の発着ポイントはカパン中心街です。

ゴリス~カパン間マルシュルートカのスケジュールは平日/土日にかかわらず固定で、ゴリス発14:30/カパン発9:00。
ゴリス~タテヴ間は約1時間ほど/カパン~タテヴ間も約1時間ほどなので、タテヴからこの便に途中乗車したい場合は時間を逆算して待機すればOKです。
ゴリス/カパンを出発したマルシュルートカがタテヴ村に差し掛かるのは、いずれも出発時刻から1時間後くらい(ゴリス→カパン方面:タテヴ通過15:30頃 / カパン→ゴリス方面:タテヴ通過10:00頃)。
タテヴからゴリスやカパンへとマルシュルートカを利用して移動したい場合は、行きたい方面へのマルシュルートカのタテヴ通過時刻の10分前くらいに、タテヴ中心部の交差点付近【マップ 黄色】で待機するようにしましょう。▼

④ハリゾールからケーブルカー

タテヴへのアクセス手段&観光ハイライトとして大人気なのが、「ウィングス・オブ・タテヴ」(Wings of Tatev)と呼ばれるケーブルカー。
タテヴ村から10kmほど手前/ゴリスの町から20kmほどの場所に位置するハリゾール(Halidzor/Հալիձոր)という村からタテヴ村までを15分ほどで結ぶ、最新式のケーブルカーです。
ウイングス・オブ・タテヴを利用すれば、タテヴ周辺の深い山々を一望するパノラマが楽しめます。
タテヴ側のケーブルカー発着ポイント【マップ オレンジ】は修道院まですぐそばの場所にあるので、サクッと移動&観光できる点も魅力的かもしれません。
「アルメニアの観光ハイライト!」として観光局が全力でPRしているのも納得なウイングス・オブ・タテヴなのですが、いくつか難点が。
・料金がべらぼうに高い(片道6500AMD=¥2600)
・ハリゾール村までの公共交通手段が不便(ゴリスからタクシー利用=3500AMD=¥1400 or ゴリス~カパン間マルシュルートカを途中乗下車)
・悪天候時や強風時は予告なしに運休
・月曜日は運休
こんな感じ。たったの15分の乗車で6500AMDというのはかなり強気な価格だと思いますし、ケーブルカー料金以外にもゴリス~ハリゾール間のタクシー料金も考えなければなりません。


また、天候によって運休しやすいのも旅行者にとっては悩みどころ。
いざハリゾール村へ行ったら運休していてタテヴまで行くことすらできない…なんて状況に陥りかねません。
そんなわけで、万人向きの移動手段とは言えないものの、「せっかくなら乗りたい!」という人にはおすすめ。
個人的にはタテヴ村→ハリゾール村方面の下り区間を利用する方が、万が一の運休時に別の移動手段を確保しやすいので良いかなと思います。
もしくは、ウイングス・オブ・タテヴが発着するハリゾール村に宿泊し、タテヴまではケーブルカーで往復日帰りするというプランも可能。
その場合、ゴリス~ハリゾール間の移動はタクシーでも良いですし、節約したい場合は往復をゴリス~カパン間のマルシュルートカ利用も可能です。
①14:30ゴリスでカパン行きのマルシュに乗車
②15:00頃ハリゾール到着→ケーブルカーでタテヴへひとっ飛び
③タテヴ観光→ケーブルカーでハリゾールまでひとっ飛び→宿泊先へ
④翌朝10:30頃ハリゾールを通過するカパン発ゴリス行きマルシュに途中乗車
⑤11:00頃ゴリス帰着
▲このプランであれば、ケーブルカーもタテヴ修道院も楽しめ、交通手段はマルシュルートカで出費を抑えることも可能なので、どうしてもケーブルカーに乗りたい!という人には結構おすすめかも。
ハリゾール村にはいくつか手頃なゲストハウスがあり、周辺にも見どころがあるので、ハリゾール観光とセットでプランニングできる点もメリットだと思います。
⑤タテヴ~ゴリス3日間トレッキング

体力と日程に余裕がある人に心からおすすめしたいのが、ゴリス~タテヴ間を徒歩で3日間かけて移動するプラン。
「レジェンド・トレイル=伝説の道」として観光PRが進められているトレッキングコースで、距離およそ30km/高低差900mほどの道のりです。
「3日間のトレッキング」と聞くと身構えてしまいますが、キャンプ用品などの装備はいっさい必要ありません。
各日の宿泊拠点となる村にはゲストハウスがあり、食事を提供してもらうことも可能であるため、最低限の持ち物だけで気軽にトレッキングができるのです。
コースの途中にはデビルズ・ブリッジやヒン・ホットなど、個人では行きにくいながらも見ごたえ抜群のスポットが点在しているのもポイント。
個人的にはタテヴ→ゴリス方面で歩く方が下りが多くなるのでおすすめです!
ゴリス~タテヴ間の3日間トレックの記事は、現在執筆中です!
タテヴ修道院観光の注意点・アドバイス

タテヴ修道院はアルメニアの中でも最も知名度が高い修道院の一つ。
しかし、個人で訪れた人による情報はなぜかあまりにも少なく、プランニングの際に困ってしまうこともあります。
ここでは実際にタテヴ修道院を訪問し、タテヴ村に2日間滞在した経験から、タテヴ修道院観光&滞在時のアドバイスを解説していきます!
タテヴ修道院観光におすすめの時期

タテヴ修道院の観光自体は一年中可能です。
タテヴ村のゲストハウスも年間を通して営業しているところがいくつかありますし、飲食店も通年営業しているものが多いです。
しかし、12月~2月の冬場はかなりの極寒となるので、基本的には避けるべき。
雪景色のタテヴ修道院も美しいでしょうが、正直尋常ではない寒さ&悪天候の日が続きます。
タテヴ修道院は標高の高い場所に位置しているため、夏場でもそこまで灼熱となることはないので、7月や8月でも比較的快適に観光できるはず。
しかし、観光客の数はけた違いに多くなるため、秘境感や聖地感がやや薄れてしまうかもしれません。
総合的に、タテヴ修道院観光におすすめなのは初夏にあたる5月と秋のはじまりにあたる9月。
いずれも気候が安定した日が多いので、悪天候によって旅程が狂いにくいのもプラスです。
反対に、4月と11月はとにかく天候が不安定なのでできれば避けるべき。
のぶよは4月中旬にアルメニア南部に滞在しながらタテヴ訪問にふさわしい快晴の日を待ち続けていましたが、あまりの悪天候の連続に発狂しそうになりました(笑)
タテヴ修道院観光におすすめの時間帯

タテヴ修道院はそのアクセスの難しさのため、エレバン近郊の見どころに比べると観光客の数は比較的少なめ。
とはいえ、アルメニア全国でも最も有名な見どころであるため、団体ツアー客なども多く訪れます。
観光客が多く訪れる時間帯は、10:30~15:00くらい。
特にエレバンから大型バスで日帰りでやって来る団体観光客がタテヴに到着する昼の12時~午後2時頃は多くの人で賑わいます。
つまり、観光客で溢れる光景を避けたいなら、朝一番か午後遅い時間帯がおすすめ。
太陽光の角度の関係で、午後の方が修道院とその周囲の山々全体に光が当たって綺麗に見えるので、写真撮影目的なら午前中よりも午後遅めの時間帯がおすすめです。
タテヴ修道院観光に必要な時間
タテヴ修道院の敷地はそれほど大きなものではありません。
敷地内にある教会などをゆっくりと見学しても、45分~1時間ほどみておけば十分なほどです。
タテヴ修道院から観光ハイライトとなるビューポイントまでは、片道徒歩20分ほどかかるため、往復移動&ビューポイント見学の時間を含めてもう1時間は欲しいところ。
つまり、合計で1時間半~2時間みておけば、修道院自体もビューポイントも堪能できます。
タテヴ修道院観光時の服装
アルメニアの宗教施設はあまりドレスコードに厳しくない場所が多い印象で、タテヴ修道院も服装の規定はかなり緩め。
半ズボンで敷地内を見学している男性や、髪を隠していない女性…
外国人/アルメニア人問わずかなりたくさん見かけました。
とはいえ、こうした宗教施設では、表示されていようがなかろうが服装の規定を守るのがマナー。
(日本でわざわざ「靴を脱いでください」と書かれていなくても暗黙の了解で脱ぐのと同じようなもの)
・男性:長ズボン/肩が隠れるシャツ/踵がある靴
・女性:男性の規定 + 髪を隠す布
「みんな守っていないから良いや」ではなく、他文化へに対する最低限のリスペクトとして守るのがスマートだと思います。
タテヴ修道院観光の持ち物

タテヴ修道院があるタテヴ村はかなりの僻地に位置してはいるものの、インフラ面は意外と整っています。
商店や小さなレストランも年間を通して営業していますし、個人経営のゲストハウスも多く点在しています。
しかしながら、大きなスーパーなどは存在せず、村に数軒ある商店の品揃えには限りがあります。
一泊や二泊であれば特に問題ないレベルですが、何か特別に必要なものがあるのなら、ゴリスなど大きな町から持参するようにしましょう。
タテヴ修道院観光は日帰り?宿泊?

タテヴ修道院観光のプランニングをする際に、多くの人が日帰りか宿泊かを悩むことでしょう。
実際、9割以上の旅行者はゴリスを拠点に日帰りでタテヴ修道院を観光していきます。
もちろん、修道院自体は1時間半~2時間ほどで見学できるので、ゴリスからは十分に日帰り圏内。
中には遠路はるばるエレバンから日帰りで観光しにくる団体客も珍しくありません。
しかし、個人的にはタテヴ村に一泊はするのがおすすめ。
観光客がほぼいない朝や夕方のタテヴ修道院を堪能できますし、何よりアルメニア地方部を絵に描いたようなタテヴ村での滞在は素晴らしい思い出となるためです。
また、修道院だけでなくタテヴへの道沿いに点在する見どころを訪れたい場合も、タテヴ村での宿泊がマスト。
タテヴ修道院自体ももちろん素晴らしいのですが、この知られざる見どころの数々が実はタテヴ周辺エリアにおける観光ハイライトだったりします。
おわりに
タテヴ修道院の観光に関する情報を、これでもか!とばかりに細かく解説してきました。
正直、日本語でちゃんとした情報が書かれたものは他にないですし、アクセス情報などここまで詳細に書かれたものは英語記事でも存在しません(なのでバスの情報とか収集するの超大変だった…)。
そもそも旅行者の数が限られているアルメニアと言う国の、超絶僻地にある修道院の観光情報を、いったいどうしてのぶよはこんなに詳しく書いているのかというと、もうとにかく多くの人に実際に行ってもらって感動してほしいからです。
これまでアルメニア全国津々浦々で、修道院や城塞やレトロな街や…とさまざまな見どころへ足をのばしてきましたが、正直タテヴ修道院は別格。
「アルメニアに来たのにタテヴ修道院に行かない=日本に来たのにラーメンも寿司も食べない」というくらいに、何が何でも絶対に行くべき場所だと思います。
地理的な条件やアクセス手段の不便さから、個人で訪れるのはややハードルが高いのは事実。
しかし、苦労してわざわざ行く価値はあります。想像を軽く超えるような感動を、この深い山奥の聖地は確実に与えてくれるので。
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