こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
ポルトガルの西1000kmほどの大西洋上に浮かぶアゾレス諸島。
「大西洋の楽園」と称される9つの火山島からなり、それぞれの島で異なった風景が見られます。
今回紹介するのは、ダイナミックな自然美が魅力的なサン・ジョルジュ島(São Jorge)の中心都市・ヴェラス(Velas)。
他の島とを結ぶフェリーが発着する港があり、サン・ジョルジュ島の交通・観光の拠点として便利な町です。
こぢんまりとした可愛らしい町並みのヴェラシュ周辺すぐには、海や山の大自然が広がります。
今回の記事では、
ヴェラス中心街の見どころ
ヴェラスから足をのばしたい、サン・ジョルジュ島西部の見どころ
サン・ジョルジュ島の島内交通
の順に解説していきます。
ヴェラシュ中心街の見どころ
サン・ジョルジュ島の目の前に見えるピコ島(Pico)からのフェリーが発着する港を持つヴェラシュ。
島内では最大の人口を誇る町ではあるものの、その数たった6000人余り。
こぢんまりとした「漁村」と言った方が正しい雰囲気です。
ヴェラシュ観光マップ
青:見どころ
ヴェラシュ中心街
ヴェラシュの中心街は、半径500mほどの小さな範囲しかなく、徒歩で十分に観光することが可能。
港と町を区切るのは、海の門(Portão do Mar)と呼ばれる立派な門です。
1799年建造の比較的新しい門は、もともとヴェラシュの町を取り囲んでいた城塞の一部を改築して造られたもの。
残念ながら、城塞は現在ではほとんど残っていません。
海の門をくぐって100mほど進むと、町のシンボルであるヴェラシュのマトリス教会(Igreja Matriz de Velas)の美しい姿が目に入ります。
17世紀建造の教会は、サン・ジョルジュ島で最も古いものとされており、アゾレス諸島らしい白と黒のモノトーンな外観が特徴的です。
エンリケ航海王子に命じられたポルトガル人がサン・ジョルジュ島に到達したのは1460年(15世紀)のこと。
それなのに、ヴェラシュの町の建物の多くは18世紀以降に造られたものです。
その理由は、この小さな町をたびたび襲った自然災害にありました。
1580年に起こった大地震や、1641年の高潮、1757年に再び起こった大地震など、幾度にも及ぶ災害によって、大航海時代に築かれた元々のヴェラシュの町は破壊されてしまったのです。
島の周りが断崖絶壁の崖となっており、ほとんどの集落が海から離れた高台に位置するサン・ジョルジュ島において、良港を持ち海に面したヴェラシュの町は島の唯一の玄関口。
幾度もの災害を受けた住民の多くはヴェラシュの高台地区に移り住んでしまったため、海に面した中心街には人の姿はほとんどなく、静寂そのものでした。
ヴェラシュ中心街の天然プール
火山の噴火によってできたアゾレス諸島では、どの島の海岸線も黒くゴツゴツした岩に覆われており、白砂のビーチはとても珍しいです。
海を安全に楽しめるように岩場を整備した天然プール(Picsina Natural)がどこの島にも点在しており、サン・ジョルジュ島も例外ではありません。
どの天然プールも無料で入場自由なので、散策の途中にクールダウン&休憩していくのもおすすめです。
ピコ島を望む中心街の天然プール
ヴェラシュ中心街から徒歩3分ほどの場所にある天然プールは、目の前に広がる大西洋とピコ島の島影を眺めながらの絶景スイミングができる場所。
日本人的にはまるで露天風呂のように見えなくもありませんが、正真正銘の大西洋の冷たい海水です。
プールサイドには、島民のために整備されたデッキチェア(らしきもの)が並び、のんびりと過ごすことができます。
プレギサの天然プール
中心街から500mほど西側に位置するプレギサの天然プール(Piscinas Naturais da Preguiça)もおすすめ。
上で紹介した中心街の天然プールよりもワイルドな雰囲気で、大自然と一体化したような気分になれます。
ヴェラシュから行きたい!サン・ジョルジュ島西部の見どころ
サン・ジョルジュ島西部に位置するヴェラシュから、島西部の大自然スポットはすぐそこ。
公共交通手段は絶望的に発達していないため、レンタカー/レンタバイクでのアクセスが基本となりますが、期待を裏切らない絶景の連続にきっと感動するはずです。
サンジョルジュ島西部観光マップ
青:見どころ
モーロ・ダス・ヴェラシュ
ヴェラシュの中心街の奥にそびえる、切り立った岩山がモーロ・ダス・ヴェラシュ(Morro das Velas)。
「本当に自然に造られたもの?」と思ってしまうような不思議な形をした巨大な岩は、火山の噴火によって形成されたものだそう。
頂上には展望台があり、ヴェラシュのパノラマや島西部の広大な大地が一望できます。
ヴェラシュ展望台
ヴェラシュの町が最も美しく見えるのが、町から坂道を登った先の国道沿いにある展望台。
整備されているわけではなく、国道沿いの空き地のような場所ですが、ここからの眺めにはきっと息を呑むはず。
島の玄関口であるヴェラシュ港から中心街の町並み、その奥にそびえるモーロ・ダス・ヴェラシュまでを一望することができます。
ピコ・ダ・ヴェーリャ展望台
東西に細長いサン・ジョルジュ島の全景が見たいなら、ピコ・ダ・ヴェーリャ展望台(Miradouro do Pico da Velha)がおすすめ。
緑の島の大地と真っ青な大西洋のコントラストが素晴らしく、まるで絵画の世界のような絶景が広がります。
展望台周辺には農場や牧場が連なっていて、とてものんびりした雰囲気。
ここまでやってくる観光客はほとんどおらず、静まり返った雰囲気の中で心ゆくまで絶景が楽しめます。
ピコ・ダ・ヴェーリャ展望台は、アゾレス諸島の中で一度に最も多くの島を見ることができる場所として有名。
アゾレス諸島9島のうち5島(サン・ジョルジュ/テルセイラ/グラシオーザ/ピコ/ファイアル)を肉眼で見ることができます。
のぶよが訪問した日は雲一つない青空で、確かに5つ全ての島を見ることができました。その感動と言ったら…。
iPhone5のズームではさすがに写真に撮れなかったので(笑)、ぜひご自身の目で確かめてください!
ロザイシュ岬
サン・ジョルジュ島最西端に位置するロザイシュ岬(Ponta dos Rosais)にも足をのばしましょう。
岬の先に建つ灯台までアクセスも可能ですが、肝心の灯台は1980年に起こった地震の被害を受けて廃墟と化しており、立ち入り禁止となっているのでご注意を。
灯台の手前にあるヴィジア・ダ・バレイア展望台(Miradouro da Vigia da Baleia)からは、岬を含めた絶景を眺めることができます。
360°の絶景を眺めていると、心が澄み切っていくような感覚になります。
ポルトガル自体が「ヨーロッパの最果ての国」ではあるものの、この場所の最果て感は格別。
何と言っても、ここからさらに西にあるのは北米大陸なのですから。
ヴェラシュ~サン・ジョルジュ島各地の移動
サン・ジョルジュ島西部に位置するヴェラシュは、フェリーが発着する港を有する島の玄関口。
それだけでなく、島内各地への路線バスが発着する交通のハブでもあります。
ここでは、ヴェラシュを拠点としたサン・ジョルジュ島各地への島内交通を解説していきます。
サン・ジョルジュ島の玄関口!ヴェラシュ港
サン・ジョルジュ島の海の玄関口がヴェラシュ港。
すぐ近くに見えるファイアル島(Faial)~ピコ島(Pico)などの南側の二島からやってきた船が、北に位置するグラシオーザ島(Graciosa)、テルセイラ島(Terceira)の二島へと向かう際の中継地点となっています。
やっぱり便利!レンタカー/レンタルバイク
公共交通機関があまり発展していないサン・ジョルジュ島を周遊するなら、やっぱり車/バイクがあった方が便利。
サン・ジョルジュ島観光のハイライトとなる北海岸や、今回紹介した島の西部の見どころへのアクセスは、個人ではなかなか難しいためです。
ヴェラシュの中心街には、レンタカーやレンタルバイクのオフィスが数軒あり、その多くが個人経営のもの。
料金も比較的安めなので、運転ができる人にはかなりおすすめです。
サン・ジョルジュ島内路線バス
本数が少なく不便ではあるものの、一応路線バスもあるサン・ジョルジュ島。
基本的には島の子供たちが学校に通うためのスケジュールで運行されており、土曜・日曜は運休となります。
黄色:ヴェラシュ~カリェタ間北部経由
青:ヴェラシュ~カリェタ~トポ間南部経由
緑:ヴェラシュ~ロザイシュ間
サン・ジョルジュ島のバス会社はインターゼットのサイトすらありませんが、一応時刻表があるので貼っておきます。
変更となっている可能性もあるので、現地で最新のスケジュールを確認するのをお忘れなく。
ヴェラシュ~島西部へ
今回の記事で紹介した島西部へ路線バスでアクセスする場合は、ヴェラシュ~ロザイシュの町間を結ぶ1日2本の路線バスを利用します。(地図緑)
ロザイシュの町から各スポットへの公共交通機関はないため、ハイキングでアクセスする以外に方法がありません。
ヴェラシュ~島東部へ
島東部の中心地であるカリェタ(Calheta)~ヴェラシュ間は、平日のみ1日3往復の路線バスが走っています。(地図赤・黄色)
ヴェラシュからカリェタを経由しさらに先の最東端に位置するトポ(Topo)まで向かう便も1日1往復運行しています。(地図青)
しかしながら、朝にトポ→ヴェラシュ、夕方にヴェラシュ→トポという1日1往復のスケジュールなので、旅行者的にはとても利用しづらいのが現状です。
ヴェラシュ~島北部へ
有名なファジャン・ダ・カルデイラや絶景の中を泳げるシマン・ディアス天然プールなどサン・ジョルジュ島観光のハイライトとなる島北部。
個人でのアクセスは、ヴェラシュ~カリェタ間を島北部の町経由で結ぶ1日2往復のバスを利用します。(地図黄色)
おわりに
個人ではなかなかまわるのが難しいサン・ジョルジュ島ですが、だからこそアゾレス諸島の島々の中でも秘境感が強く感じられるのかもしれません。
こぢんまりとしたヴェラシュの町と、最果て感漂う島西部の見どころを紹介しましたが、島にはまだまだ感動の絶景が待っています。
ぜひ実際に訪れて、自分の五感で感じてほしい見どころばかり。
もはや誰の役に立つ情報なのか分かりませんが(笑)、地球の裏側にはこんな場所もあるんだよ~ということで、多くの人に知っていただければと思います。
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