こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
ポルトガルの最北端に位置するペネダ・ジュレス国立公園(Parque Nacional Peneda-Gerês)は、スペインとの国境地にまたがる山岳地帯。
ダイナミックな山の大自然と、時が止まったような雰囲気の小さな村が点在しているエリアで、「ポルトガル=海の国」というイメージが変わる場所です。
点在する自然スポットを訪れるのが観光のメインとなりますが、歴史的なスポットが点在しているのもペネダ・ジェレス国立公園のポイント。
地域の人から聖地として崇められる美しい教会や、ポルトガルの他の地域では見られない独特の墓など、人間が作り出した伝統文化が色濃く感じられるのです。
今回の記事では、ポルトガルの中でもかなりの秘境感が漂うペネダ・ジェレス国立公園の見どころを解説していきます。
ペネダ・ジェレス国立公園の観光スポット
7万ヘクタール以上の広大な敷地を持つペネダ・ジェレス国立公園は、ポルトガルで唯一「国立公園」に指定されている場所で、その自然を保護するために様々な対策が行われています。
ポルトガル国内の他の自然エリアは「自然公園(Parque Natural)」と呼ばれ、国立公園よりも保護は緩やかです。
のぶよがペネダ・ジェレス国立公園を訪れた最大の目的が、大自然の絶景をまわるハイキングをすることだったのですが、あいにく滞在中は常に大雨という運の無さ。
そのため、国立公園内の村や教会など文化的な見どころを車でまわることをメインにしました。
今回紹介している場所以外にも大自然スポットはたくさんあるので、ぜひ晴れた日を狙って訪れてみてくださいね!
ペネダの聖地
ペネダ・ジェレス国立公園北側に位置するセニョーラ・ダ・ペネダ村(Senhora da Peneda)は、「奇跡が起こった場所」として有名な場所。
ポルトガルには有名な「奇跡が起こった場所」であるファティマという村がありますが、この山深い地にも似たような伝説が根付いています。
ペネダの奇跡
1220年の8月5日、ヤギ飼いの子供の前に白い鳩の姿をした聖母が突如現れ、この場所に礼拝堂を造ることを村人に命じるように伝えました。
さっそく家に帰った子供は両親にこの事実を伝えますが、信じてもらえません。
その翌日、この子供が同じ場所に戻ると聖母は人間の姿となって再び現れて、近くの村に住む病気の少女を連れてくるように指示します。
子供に連れられてこの場所にやってきた少女の病はたちまち癒えて、健康を取り戻しました。
この奇跡の噂はキリスト教が生活の中心であった中世の時代には瞬く間に広がり、山奥の小さな村は多くの巡礼者がやってくる聖地となりました。
現在村の中心にあるのは、18世紀建造の教会を中心としたペネダの聖地(Santuario de Nossa Senhora da Peneda)
ポルトガル北部で多く見られる、独特の階段状の入口を持つ建築様式が特徴的で、背後にそびえたつ岩山とともにとても厳かな雰囲気です。
教会の前は広場になっていますが、ここは巡礼に訪れる人にために整備された場所。
村の中心は教会がある高台の下に位置しています。
深い山々に囲まれた山村という雰囲気の小さな村は、聖地らしい静寂に包まれていました。
ティボ展望台
セニョーラ・ダ・ペネダ村から南へと走った幹線道路沿いにあるのが、ティボ展望台(Miradouro de Tibo)。
ペネダ・ジェレス国立公園を代表する風景の一つなのですが、雨が降ったりやんだりの天気だったため少し靄がかかっていました。
晴れた日なら、山々の間に点在する小さな村の絶景が見られることでしょう。
ティボ展望台付近は、カシェナ(Cachena)というスペインのガリシア地方とポルトガル固有種の牛達の群れが生息しています。
カシェナはサリシア地方からポルトガル北部にかけての標高が高い山岳地帯にしか生息していない牛で、その希少価値がある肉は絶品であることでも有名です。
ペネダ・ジェレス国立公園の村では、このカシェナの肉を使った名物料理を提供しているレストランもあるので、旅の楽しみの一つにしておくのも良いかも。
(レストラン情報は後述しています!)
ソアジョ
ペネダ・ジェレス国立公園観光の拠点となる村の一つがソアジョ(Soajo)。
エリアの西側に位置しており、ポルト方面からやって来る場合は国立公園の入口となる村でもあります。
ソアジョの町並み
ソアジョは16世紀初めに造られた歴史ある村。
人口3000人ほどの小さな村ですが、その中心街の建物は全てが石造り。
まるでポルトガルではないような雰囲気です。
ポルトガルの地方部の村というと、白壁を基調に青や黄色の差し色が施された家々が連なる風景が定番ですが、ソアジョ村の中心街は完全にスペインやフランスの地方部の村のような雰囲気です。
天気が悪いこともあってか、人の姿はほとんどなく、重厚な石造りの建物が並ぶ路地は静寂そのものでした。
ペネダ・ジェレス国立公園観光の拠点となる村とは言っても、そこはポルトガル最北端の秘境。
ここまでやってくる観光客はそれほど多くはないようで、村は伝統を守ることができているように感じました。
ソアジョの石棺(Espigueiros do Soajo)
ソアジョ村で有名なのが、村はずれにあるソアジョの石棺(Espigueiros do Soajo)。
十数個の巨大な石の棺が高台に置かれていて、とてもミステリアスな雰囲気です。
これらの石の棺は飾りではなく、実際に使用されたもの。
その起源などは分かっていませんが、確認できるうち石棺に刻まれた最も古い日付は1782年のものだそうです。
驚くべきなのが、これらの石棺のうちいくつかは現在でも実際に使用されているということ。
遺体を土に埋めるのではなく石棺の中に直接納めるのがソアジョ村の伝統だそうで、旧家の人々が亡くなると、代々受け継がれた石棺の中に埋葬するしきたりなのだそうです。
ペネダ・ジェレス国立公園の深い山々を望む絶好のロケーションにあるソアジョの石棺。
長い間受け継がれてきた村人の伝統が大自然に混ざり合って、とても神秘的な風景に見えました。
ペネダ・ジェレス国立公園名物料理をいただく
こんなポルトガルの奥地までやってきたなら、地元の名物グルメを味わいたいもの。
ソアジョ村には数軒のレストランがありますが、どれも家族経営のアットホームな雰囲気です。
のぶよが利用したのはRESTAURANTE Videiraというお店。
石造りの外観も素敵ですが、内装も伝統的な雰囲気で素敵でした。
ペネダ・ジェレス国立公園に来たなら絶対に食べたいのが、先述のカシェナというこの地域固有種の牛肉を使用した料理。
ステーキや煮込みなど色々な調理法があるカシェナですが、このお店のおすすめはポシュタ・ダ・カシェナ(Posta da Cachena)という煮込み料理ということなので注文してみました。
到着したポシュタ・ダ・カシェナがこちら。まず、そのボリュームに驚きです。
大量のフライドポテト(手切り)や野菜のソテーが添えられて、ご飯とパンまで無料でついてきました。
伝統的な陶器の器で提供されるのも嬉しいポイントですね。
じっくりと煮こまれたカシェナの肉は、トロットロでした。
牛肉の常識が変わるレベル。
ポルトガル北部らしく、肉の味付けは比較的しっかりついています。
付け合わせのポテトとの相性も抜群!
お肉の美味しさはもちろんですが、付け合わせの野菜の甘味にもびっくりしました。
人参やキャベツをニンニクとオリーブオイルで炒めた何てことはないものなのですが、素材の旨味が存分に感じられる絶品でした。
お店を切り盛りしているおばさんも、ポルトガル語しか通じないものの、とても気さくな人でした。
ペネダ・ジェレス国立公園観光の合間に、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
タイチの滝
天気が悪かったため、ペネダ・ジェレス国立公園の自然スポット観光はほぼ諦めていたのですが、ランチ後に雨が止んだので、最も有名なところを訪れました。
それが、タイチの滝(Cascata Tahiti)です。
ペネダ・ジェレス国立公園南部に位置する美しい滝で、先述のレストランのおばさんおすすめスポットということで足をのばしてみました。
写真ではわかりにくいのですが、実はこのタイチ滝は数段に滝壺が分かれていて、結構な高さがあります。
遊歩道などは全くなく、岩場を歩くことになるので散策の際は注意してくださいね。
曇っていてもわかるほどに美しい色をした滝の水は、もちろん飲用可能。
晴れている日なら、エメラルドグリーンに輝く神秘的な滝壺が見られるそうですよ!
ペネダ・ジェレス国立公園のまわり方・アクセス
ペネダ・ジェレス国立公園観光マップ
赤:おすすめレストラン
ペネダ・ジェレス国立公園への行き方・アクセス
ポルトガル最北端に位置するペネダ・ジェレス国立公園は、公共交通手段でのアクセスがとても不便な場所。
北部の中心都市・ポルトからアクセスする場合は直行バスはないため、ブラガ(Braga)という町で乗り換える必要があります。
ブラガからは国立公園南部のジェレス(Gêres)という町まで路線バスが出ていますが、それ以外のエリアにアクセスできるバスは1日1本のみ等とにかく不便なので現実的ではありません。
レンタカー等を借りてまわるのが理想です。
車の運転以外でペネダ・ジェレス国立公園へ行くなら、現地ツアーに参加する方法があります。
誰も知らないポルトガルの秘境を訪れるなら、現地ツアー参加が基本。
ガイド付きでのハイキングが組み込まれている物から、専用車で楽々移動できるものまで、好みに合わせた観光ができます。
おわりに
ポルトガル最北部の秘境、ペネダ・ジェレス国立公園の見どころについて解説していきました。
先述の通り、天気に恵まれなかったために自然スポットはほとんど諦めることになってしまいましたが、次回の楽しみにとっておきたいと思います。
日本人はほとんど知らないのはもちろんのこと、ポルトガル人の中でもなかなか訪れる人がいない場所ではありますが、それだけ手つかずの大自然や伝統が残る村のピュアな魅力に触れられるということ。
ポルトから足をのばして大自然の中に身を置いてみたい人には、とてもおすすめの場所です!
コメント
一瞬「Bom Jesus do monte」と空目しました!
シンメトリーの階段はポルトガル北部の特徴なんですね。
ポルトガルを訪れたのはもう随分と昔の話なんですが
もう少し頑張って奥まで行けば
こんな素敵な国立公園やソアジョ村のような貴重な景色が待っていたのかと思うと今更ながら残念無念。
訪ねたいところが増えるばかりで、窓開けて叫びだしそうです!!www
清水ソウコ様
コメントいただきありがとうございます(返事が遅れて申し訳ありません)!
ポルトガルには住んでいたので、普通の旅行者はまず訪れないような場所にも多く行きました。
公共交通機関にはかなり難ありな地域もあり、個人で訪れるのはなかなか難しいものがありますが、知られていない隠れた見どころなどを少しでも多くの人に知っていただくことができていれば良いのですが…。
現在の状況では、なかなか行きたいところを見つけても実行に移すのが難しいですよね。
窓開けて叫ぶくらいしか、フラストレーションを発散することは難しいのかもしれません(笑)