こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
ポルトガルの東の果て、スペインとの国境に接するサン・マメーデ山脈自然公園は、広大な山脈で感じられる大自然と、点在する可愛らしい町や村が魅力の場所。
中でも近年観光客の間で大きな注目を集めているのが、マルヴァン(Marvão)という小さな村です。
都市部から隔絶されたこの静かな村は、古くから文学者が愛した場所。
近年、米・N.Y. TIMES紙の「死ぬ前に行くべき1000の場所」に選出されたことで一躍有名になりました。
人口3000人ほどの小さな村・マルヴァンが世界の注目を浴びた一番の理由は、「天空の白い町」と称される独特の立地と町並みの美しさでした。
断崖絶壁の岩山の上に築かれたマルヴァン城を中心とした村には、真っ白な壁の家々が建ち並び、現在でも昔ながらの生活を送る村人たちが静かに暮らしている場所。
「マルヴァンを訪れると、大地の広さを実感する」と言われるように、村を取り囲むマメーデ山脈の360°のパノラマが村中どこででも見られることも人気の理由です。
今回の記事では、ポルトガルに来たならぜひ訪れたいマルヴァンの見どころと、個人でのアクセス方法を解説していきます。
マルヴァンのポサーダ(邸宅を改装したホテル)情報
リスボン発の現地ツアー情報
なども掲載しているので、参考にしてください!
マルヴァンの見どころ
マルヴァンはとても小さな村で、のんびりまわっても2時間もあれば十分に観光できる規模。
観光名所こそマルヴァン城くらいですが、村の魅力を感じるためにはその素朴で美しい町並みを散策するのが一番です。
マルヴァン観光マップ
青:見どころ
紫:ポサーダ(邸宅ホテル)
マルヴァンの町並み
岩山の頂上に位置し、周りを城壁に囲まれたマルヴァンの村。
城壁に二つ設置された門のいずれかをくぐり、村の中へ一歩足を踏み入れると、どこまでも真っ白な家々が建ち並ぶ美しい風景にため息がもれます。
中世の雰囲気をそのままに残した村の路地は、雰囲気たっぷり。
人影はほとんどなく、静寂(とニワトリの鳴き声)だけが辺りを支配しています。
岩山の頂上に造られたマルヴァンですが、その地形はポルトガルの他の村同様に起伏が激しいもの。
ポルトガルではどこの町も丘の斜面を利用して造られているのが特徴で、首都のリスボンやポルトなどの大都市でも同様。
平地を探す方が難しいほどです。
これはお隣のスペインではあまり見られない、ポルトガルの町づくりの特徴と言えるかもしれません。
まるでおとぎ話の国の中に迷い込んだかのような可愛らしい町並みがどこまでも続く村の風景。
中世そのものの雰囲気です。
午前中だからか、とにかく人が少ないのも特筆すべき点。
観光客らしき人は一組の個人旅行者を見かけただけで、あとは地元の人の姿がちらほら見られるくらい。
「欧米では有名な村」と聞いていたのですが、信じられないほどに静かで、村本来の素朴な雰囲気が感じられます。
カトリックの信仰が篤いポルトガル地方部でよく見られるのが、肌を隠すように黒いローブを着た女性の姿。
リスボンではあまり見かけることがなくなりましたが、マルヴァンがあるアレンテージョ地方ではいまだに伝統が息づいているのです。
真っ白な村の中をゆっくりと歩く、黒いローブを着たご婦人。
まるで映画のワンシーンを見ているような、不思議な感覚になります。
聖心教会
マルヴァンの中心に位置するのが、聖心教会(Igreja do Espírito Santo)。
村の家々と同様に、真っ白な可愛らしい外観が特徴的です。
教会前は広場になっており、ATMや食料品店、役場など、村の生活に必要なものが全て集まっています。
マルヴァンがあるアレンテージョ地方では、町や村の大小にかかわらず必ず設置されている、ペロウリーニョ(Pelourinho)と呼ばれる石柱。
町や村役場の前の広場に立てられていることが多いです。
ペロウリーニョはただの飾りではありません。
罪を犯した村人の手首を縛って、括り付けてさらし者にするための柱として利用されたものです。
ペロウリーニョの上部には、罪人の手首を縛った縄を括り付けるための鉤が見えます。
こんな小さな村でも、悪いことをする人はいたのでしょうか。
マルヴァン城壁
「天空の白い村」・マルヴァンを360°取り囲む城壁の一部には自由に立ち入りが可能。
城壁上からは、真っ白な美しい村と、周辺の広大な大地を一望することができます。
マルヴァンがある地域は、セーラ・ドゥ・サン。マメーデ(=サン・マメーデ山脈)という自然公園に指定されている場所。
日本で「山脈」や「自然公園」と言うと、どこまでもびっしりと木々が生い茂る鬱蒼とした風景をイメージするでしょう。
一方で、年間を通して降水量が少ないポルトガルでは、日本のように緑深い山々ではなく、荒涼とした風景に木々が点在しているのが一般的な「自然」の風景なのです。
山脈というよりもゆるやかな丘陵地帯といった感じなので、切り立った岩山の頂上にあるマルヴァンからは、遥か遠くまで広がる大地の絶景を一望できます。
城壁の一部には、岩肌がそのままに残されている部分も。
こんな岩山の頂上を切り開いて村を作った人々に尊敬の念を覚えます。
マルヴァンはスペインとの国境からもほど近い村。
城壁の東側から眺める風景は、手前がポルトガル、奥がスペインのものです。
マルヴァン城
城壁沿いを北に進んでいくと、堂々とした佇まいのマルヴァン城(Castelo de Marvão)に到着します。
村で一番高い場所にあるマルヴァン城が作られたのは、8世紀のこと。
イブン・マルワーンIbn Marwânというイスラム教徒の実力者により建設が進められ、その名は「マルヴァン」という村の名前の由来となったほどです。
現在残る城塞は、中世にイスラム教徒が撃退され、マルヴァンがポルトガル領となったレコンキスタ後の13世紀に再建されたものです。
その後、長きにわたって隣国スペインとの国境防衛の役割を担ったマルヴァン城。
岩山と一体化したような不思議な外観も特徴的ですが、城塞上から眺める村の風景もとても美しいです。
サンティアゴ教会
マルヴァン城と目と鼻の先にあるのが、サンティアゴ教会(Igreja de Santiago)。
村の家々と同じ建築様式で立てられており、白亜の外壁と、つぎはぎのように見える石の装飾が可愛らしいです。
教会前からマルヴァン城入口にかけては、崖に沿って美しい庭園が整備されています。
こちらの庭園はマルヴァンの村の人々が、観光客の目を楽しませるために交代で管理にあたっているそう。
ポルトガル地方部らしい温かなホスピタリティーが感じられますね。
かつてのお城や貴族の邸宅を改装したポサーダ(Pousada)というホテルに宿泊するのもポルトガル旅行の楽しみの一つ。
マルヴァンにもポサーダが一軒あり、非日常の空間で村の生活を感じながらの快適な滞在ができます。
物価が安めなポルトガルでは、ポサーダの宿泊料金も比較的リーズナブルなのが特徴。併設のレストランでは郷土料理がいただけます。
ポルトガル他都市~マルヴァンへのアクセス
山の中にあるマルヴァンのアクセスは、便利とは言えません。
リスボンから1日1便の直行バスが運行されてはいるものの、移動時間が長くなってしまうため、日帰りは避けた方が無難。
マルヴァンがあるサン・マメーデ山脈自然公園観光の拠点となるポルタレグレ(Portalegre)に宿をとり、周辺の観光スポットや町とセットでまわるのがおすすめです。
リスボン~マルヴァン間のバス
リスボン~マルヴァン間は、Rede expressos社の長距離バスでのアクセスとなります。
1日1往復のみ直行バスが運行されており、
7:30リスボン発→11:50マルヴァン着
15:50マルヴァン発→20:15リスボン着
というスケジュールのみ。
つまりリスボンからの日帰り観光プランの場合は1日がかりとなります。
移動時間が往復で9時間と長すぎるため、のぶよ的にはリスボンからマルヴァンに日帰りするのは全くおすすめしません。
リスボンでの発着地はセットゥ・リオシュ(Sete Rios)バスターミナル。
リスボン市内中心部から地下鉄でアクセス可能です。
交通の便に難ありなマルヴァンと周辺エリア。点在する見どころをリスボンから日帰りで効率良くまわるなら、現地ツアー参加も一つの手です。
マルヴァン観光はもちろん、周辺の小さな町を訪問したり、名物料理のランチを味わったりと魅力がたくさん。
個人でこのエリアを周るとどうしても数日必要となるので、時間に限りがある場合はおすすめです!
ポルタレグレ~マルヴァン間のバス
マルヴァンのふもとに位置するポルタレグレ(Portalegre)は、斜面に広がる素朴な町並みが美しい町。
サン・マメーデ山脈自然公園観光の玄関口となるのはもちろん、エヴォラやエルヴァスなどアレンテージョ地方の他の町への路線バスが発着する、このエリアの交通の中心となる場所です。
ポルタレグレ~マルヴァン間を走るバスは2種類。
Rede Expressos社:1日1往復(先述のリスボン~マルヴァン間のバスがポルタレグレに停車)
Rodalentejo社:8903番/8012番バスがポルタレグレ~マルヴァン間を1日2往復(平日のみ)
いずれも本数は多くないので、事前のプランニングは必須です。
ポルタレグレには小規模なホテルやペンション、格安のホステルもあり、宿泊地としてはかなり優秀な場所。
サン・マメーデ山脈自然公園内の美しい村を訪れる
世界遺産の博物館都市・エヴォラ、要塞都市・エルヴァスに足をのばす
など、マルヴァンだけではないこのエリアの見どころを、この町を拠点に周遊することも可能です。
おわりに
ポルトガルの「天空の白い村」・マルヴァンの見どころやアクセス方法などを解説しました。
リスボンから少々距離はあり、アクセスも便利ではありませんが、のぶよ的には本当に行って良かった場所の一つです。
真っ白な村の風景や、城壁から望む絶景ももちろん素晴らしいのですが、一番はポルトガル地方部らしい素朴な雰囲気が残っていたこと。
観光地化された「中世の村」にはない、地元の人の生活感が感じられたのがすごく好みでした。
日本人の間ではあまり有名ではないマルヴァンですが、欧米圏での知名度は抜群。
人気スポットとして観光地化が進んでしまう前に、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
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