こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
リスボンと聞いて多くの人がイメージする、レトロな路面電車(トラム)。
特に有名なのが、市内の主な観光エリアを結ぶトラム28番です。
狭い坂道をゆっくりと走っていく路面電車がある風景は、リスボンという町を語るのに欠かせないもの。
リスボン観光で必ず乗りたい!と考えている人も多いのではないでしょうか。
今回の記事は、トラム28番に始発から終点まで乗車して、沿線のエリアや見どころを解説したもの。
リスボン中心街の主要観光エリアの位置関係がなんとなくイメージできるのはもちろん、車窓から眺める風景にもリスボンらしさが感じられるはずです。
各エリアの詳細な観光スポットやモデルコースを解説した記事へのリンクも貼っているので、プランニングの参考にしてください。
トラム28番の路線図・ルート
緑:地下鉄緑線駅
青:トラム28番沿線の主な見どころ
トラム28番は、リスボン中心部のバイシャ地区北側にあるマルティン・モニシュ駅前から、西部のカンポ・ドゥ・オウリック市場周辺を結ぶ路線。
アルファマ地区
バイシャ地区
シアド地区
など、リスボン観光の主要エリアを東西に結ぶ唯一の交通手段でもあります。
リスボンの中華街!マルティン・モニシュ~インテンデンテ
トラム28番の東の始発点となるのが、地下鉄緑線のマルティン・モニシュ駅(Martin Moniz)前の広場。
常に混雑するトラム28番ですが、ここからなら必ず乗車できます。
終点までずっと乗るなら座席の確保を、グラサ地区やアルファマ地区で途中下車するなら出入り口の近くを押さえましょう。
リスボン観光・滞在の中心となるバイシャ地区からも徒歩5分ほどと簡単にアクセスできるマルティン・モニシュ駅周辺は、アルファマの丘とインテンデンテの丘に挟まれた谷のような地形が特徴的。
リスボンを代表する移民街であり、特に中国系の人々が多く生活しているため、美味しい中華料理のお店が点在している「リスボンのチャイナタウン」といった雰囲気のエリアです。
路地裏には雰囲気の良い坂道もたくさんあるので、トラム乗車前の散策もおすすめ。
ガタゴトとレトロな音を出しながらのんびり走るトラム。
マルティン・モニシュの一駅北に位置する地下鉄緑線インテンデンテ駅(Intendente)付近に停車します。
インテンデンテ駅周辺は、かつては治安が悪いことで有名だったのですが、リスボン市の再開発により生まれ変わったエリア。
駅前の広場には美しいアズレージョ(タイルアート)が施された建物が並び、おしゃれなカフェがいくつも営業している開放的な雰囲気です。
一歩路地を入って坂を登ると、まだまだ古い家々が残っているのもこの地区の特徴。
治安は悪くないのですが、どうしても退廃的な雰囲気があるのは否めません。
リスボンっ子に人気のハイソな絶景エリア!グラサ
インテンデンテ駅前に停車したトラムは右に曲がり、グラサ地区へと続く急な坂道を上っていきます。
リスボン中心街で最も高い場所に位置するグラサ地区(Graça)は、レトロでありながらも整備された美しい町並みが特徴的で、「リスボン市民が住みたいエリア」として人気です。
観光客は比較的少ない穴場エリアでもあり、トラムの車窓からはカフェでのんびりとくつろぐ地元の人々の姿が見られます。
グラサ地区で絶対に見逃せないのが、リスボンで一番の絶景を誇る展望台。
丘の頂上にあるということもあり、リスボン旧市街とテージョ川の全てが見渡せるビューポイントがいくつかあるのです。
展望台近くで途中下車して観光し、そのままアルファマ方面へと坂を下っていくのもおすすめです。
グラサ地区の整然とした街並みを通り過ぎたトラム28番は、アルファマ地区へとゆるやかに坂道を下っていきます。
サウダードゥ(郷愁)漂うリスボンの下町!アルファマ
続いてのエリアは、狭い路地が縦横無尽に連なるアルファマ地区(Alfama)。
「リスボンの下町」の雰囲気漂うエリアで、ポルトガル民謡のファドの発祥の地としても知られています。
ポルトガルギターを持った演奏者の姿が見られることも。
トラムは狭い路地を右に左に、アルファマの丘の斜面を縫うように進んでいきます。
アルファマ地区にもいくつかの展望台があり、丘の斜面に広がる町並みがより近くに見られます。
ただ散策しているだけでも楽しいアルファマ地区。
狭い路地から上を見上げると、洗濯物がはためいているというポルトガルらしい光景があちらこちらで見られます。
見どころも多くあるので、ぜひ途中下車しての散策がおすすめです。
ようやく丘の中腹にあるアルファマ中心部まで下ってきました。
この辺りまで来ると観光客の姿がどっと増え、賑やかな雰囲気になってきます。
アルファマ地区の入口に堂々と立つリスボン大聖堂の前を通るときは、絶好のシャッターチャンス。
ここからトラム28番は、リスボンの真ん中に位置するバイシャ地区へと進んでいきます。
リスボンの観光・商業の中心!バイシャ
「七つの丘の町」・リスボンで唯一、坂がないエリアであるバイシャ地区(Baixa)。
ポルトガル語で「低地」を表す地区名が表す通りの地形が災いし、1755年のリスボン大地震&津波によって大きな被害を受けたエリアです。
トラム車窓からも見えるこちらの大きなアーチの向こうが、バイシャ地区の象徴であるコメルシオ広場。
アーチ屋上の展望台から眺める絶景には息を呑むはず。
バイシャ地区を横断するように走るトラム28番は、再びゆるやかな坂を上って西に位置するシアド地区へと走っていきます。
リスボンで最もシックなエリア!シアド
バイシャ地区からゆるやかな坂道を上った先にあるのが、「リスボンで最もシックなエリア」と称されるシアド地区(Chiado)。
中心となるカモンイス広場周辺の町並みはとても美しく整備された統一感のあるものです。
センスの良いブティックなども点在しており、リスボンのリッチな人々が足しげく通う場所でもあるシアド地区。
カモンイス広場北側に広がる狭い路地や小さな広場を散策してみると、その上品な雰囲気を全身で感じることができます。
カモンイス広場に停車したトラムは、シアド地区をさらに西へと走っていきます。
絶対に見逃せないのが、急坂を上り下りするビカのケーブルカー。
ノスタルジックな坂道をゆっくりと進むケーブルカーは、坂の町・リスボンを象徴する存在。
坂の下に見えるテージョ川の青色も相まって、絶好の撮影スポットとして人気です。
ビカのケーブルカーの少し西に位置するのが、サンタ・カタリーナ展望台。
リスボンっ子の間では、夕日の名所として名高い場所です。
サンタ・カタリーナ展望台入口を通り過ぎたトラムは、さらに西へと走っていきます。
シアド地区最西端に位置するサン・ベント広場に停車したら、途中下車して散策してみるのもおすすめ。
サンベント広場から北にのびるサン・ベント通り周辺は、カラフルな家々が建ち並ぶ美しい町並みが広がるエリア。
アーティストが多く集まることでも知られ、ストリートアートに彩られた町には雑貨屋や工房が点在しています。
観光客の数はかなり少なく、ローカル感が強く感じられるのもポイント。
散策がとても楽しいエリアです。
サン・ベント広場を出発したトラム28番。
いよいよ終点へ向かって走っていきます。
大聖堂と人気の市場!エストレラ
トラム28番の西の始発点となるのが、エストレラ地区(Estrela)。
観光客はほとんどやってこない住宅街エリアです。
エストレラ地区のシンボルが、堂々と建つエストレラ大聖堂。
聖堂前は美しい公園になっていて、地元の人の姿が多く見られます。
トラム28番終点近くにあるカンポ・ドゥ・オウリック市場(Mercado de Campo de Ourique)は、おしゃれにリノベーションされたフードコートを持つ、リスボンっ子に人気の場所。
カウンタースタイルのレストランが中心ですが、雑貨やワインを売っている店もいくつかあるので、お土産探しに立ち寄ってみるのもいいかもしれません。
小一時間のトラム28番の旅もこれにて終了。
リスボンの主な観光エリアをほぼ横断したことになるので、降りる頃にはもうリスボン通になっているかも。
路面電車28番利用時の注意点&アドバイス
ポルトガルらしいのんびりリズムでガタゴトと走るレトロなトラム28番。
リスボン観光に来たなら、絶対に一度は乗車したいものです。
ここからは、トラム28番利用&沿線観光を考えている人へ、在住者視点でのアドバイスや注意点をさせていただきます。
混雑は覚悟しておく
リスボン観光のハイライトとも言えるトラム28番は、世界的に有名になった結果、ものすごく混雑する乗り物となりました。
特に春~秋にかけてのハイシーズンの昼過ぎの混雑は尋常ではなく、途中乗車はほぼ不可能となります。
必ず始発地点から乗車する
もはや移動手段というよりも一つのアトラクションのようになってしまったトラム28番。
混雑するため途中乗車はほぼ不可能なので、必ず始発地点から乗車するようにしましょう。
東側:地下鉄緑線マルティン・モニシュ駅前
西側:カンポ・ドゥ・オウリック市場南側
が、それぞれトラム28番の始発/終点なのですが、アクセスが良いのは断然マルティン・モニシュ駅前。
西側のカンポ・ドゥ・オウリックまで行ってしまうと、他の交通手段が路線バスくらいしかないため、中心街へ戻るのが一苦労となります。
シアド地区のカモンイス広場周辺には地下鉄が通っているので、下車地としては便利でしょう。
観光とトラム利用は切り離して考える
トラム28番を移動手段として考えるのは絶対にNGです。
先述の通り途中での乗車はかなり難しく、また一度乗ってしまうと降りるのにも一苦労なため。
マルティン・モニシュ駅(始発)からグラサ地区 / アルファマ地区への移動くらいなら、移動手段としても何とか利用できるかもしれませんが、それ以外の場所での乗下車には不向きです。
「トラム28番に乗って車窓からの風景を眺める」ことを目的として、始発から乗り続けるのが基本となります。
途中乗車不可の場合のプランBも考えておく
それでもトラム28番を使ってリスボンを移動しながら観光しようと考えている人は、混雑で乗車できなかった場合のプランBも考えておくべきでしょう。
アルファマ地区~シアド地区など、トラム28番以外に直行の交通手段がない区間では、みんな同じ考えでトラムを利用しようと考えるので、停留所には長蛇の列(しかもみんな乗れないので全く進まない)ができます。
「混雑でトラムに乗れなかった場合は、地下鉄+徒歩で移動する」等、事前にプランニングしておいて、代替の交通手段&アクセスも確保しておくべきでしょう。
Viva Viagemカード/一日券は必須
リスボン市内のトラムの一回券(乗車時に運転手に現金で支払い)の料金は、€3(=¥360)と高め。
たった1回トラムを利用するだけでも、リスボン市内交通全てに利用可能なViva Viagemカードを購入した方がお得です。
Viva Viagemカードはリスボン市内の各地下鉄駅の自動券売機で購入可能で、カード自体の料金は€0.50(=¥60)。
そこに自分が希望する金額をチャージして、交通機関利用の際にタッチして利用するZappingという機能を利用すれば、トラムの1回の利用は€1.35(=¥160)となります。
カード代+1回分の運賃を合わせても、乗車時に直接支払うよりも安くなるという不思議なシステム。
いったい誰が乗車時に直接支払うのでしょう(笑)
他にも、1日に複数回交通機関を利用するなら、Bilhete diárioという一日券(€6.40=¥760)を購入するのも手。
地下鉄・トラム・ケーブルカーなど、市内全ての交通手段の24時間フリーパスです。
スリに注意
ヨーロッパの首都の中ではかなり治安が良いリスボンですが、もちろん悪いことを企む輩だっています。
観光客でごった返すトラム28番の車内なんて、スリにとっては格好の仕事場。
写真撮影に夢中になっていて、バッグが開けっ放しになっていた…なんてことのないように、身の回りの物には注意を払いましょう。
リスボンは「七つの丘の町」と呼ばれるように坂道が連なる独特の地形。
ホテル選びのエリアがとても重要です。
リスボン旧市街にも、ビーチエリアにもアクセスが便利なカイス・ド・ソドレ地区。
小さなポルトガル料理レストランやファドハウスが点在するバイロ・アルト地区もすぐそばにあり、哀愁に満ちたポルトガルらしい夜を過ごすのもおすすめです!
おわりに
リスボンに来たなら絶対に一度は乗りたいトラム28番ののんびり旅を紹介しました。
あまりにも混雑するため、交通手段としての利用勝手は良くありませんが、ガタゴトと走るレトロなトラムの車窓から眺めるリスボンの風景は、観光のハイライトとも言えます。
混雑を避けるなら、とにかく朝早い時間がおすすめ。
トラムでのんびり車窓観光から始まるリスボンの一日なんて、なかなか素敵だと思います。
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