こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
定番スポットから穴場スポットまで、いろいろなポルトガルの見どころを紹介している当ブログ。
今回紹介するのは、その中でも「穴場中の穴場」といった場所です。
その名も、漁師の道(Trilho dos pescadores)。
ガイドブックにはまず載っていませんし、日本人の99%が知らない場所だと思います。
個人でのアクセスには難ありのエリアですが、そこにある大自然の風景は本物。
アウトドア派の旅人には、「世界で最も美しいトレイルの一つ」なんて言われてリする場所でもあります。
今回の記事では
漁師の道エリアの基本情報
漁師の道沿いの見どころ
漁師の道の各町への公共交通手段
について解説していきます。
ポルトガルの地方部をレンタカー等でまわろうと考えている人や、絶景のトレイルを自分の足で歩きたいアウトドアな人には、ぜひプランに入れていただきたいエリアです。
ポルトガルの「漁師の道」とは?
ポルトガル南部に位置するアレンテージョ地方(Alentejo)とアルガルヴェ地方(Algarve)の二つの地域にまたがる大西洋沿いの広い範囲は、「コシュタ・ヴィセンティーナ(Costa Vicentina)」と呼ばれる、国立公園に指定されているエリア。
「ヴィセントゥの海岸」が意味する名の通り、ユーラシア大陸最南西端のサン・ヴィセントゥ岬(São Vicente)まで、100km以上に渡ってダイナミックな海岸線が続きます。
この国立公園内にあるウォーキングトレイルを総称してロタ・ヴィセンティーナ(Rota Vicentina=ヴィセントゥの道)と呼び、そのうち最も海沿いにあるものが猟師の道(Trilho dos Pescadores)と呼ばれるトレイル。
ほとんど知られていない極上のビーチや、忘れ去られたような漁村、海鳥たちの鳴き声が響き渡る断崖絶壁の風景を求めるアウトドア派の人々にとっては、聖地のような場所です。
春~秋にかけては多くの人々が終点のサン・ヴィセントゥ岬を目指すウォーキングを目当てにやってきます。
漁師の道観光マップ
漁師の道観光(トレッキング/車)の必要日数
漁師の道沿いの町を結ぶ公共交通手段はかなり限られているため、100kmに渡って続くこのエリアを個人で観光するのは簡単ではありません。
オデセイシュやアルジェズル、サグレシュなどコース上の町へはバス路線が出ていますが、いずれの町も観光のハイライトとなる海岸線からは少々離れた内陸部に位置しており、町~海岸線を結ぶバスなどはほとんどありません。
したがって、漁師の道を観光する方法は
レンタカー/レンタバイク(1日)
トレッキング(4日~)
のいずれかとなります。
リスボンで車を借りて、最南西端のサン・ヴィセント岬まで海岸線沿いをドライブしながら、点在するビーチや町に立ち寄るのが最も快適&効率の良い観光方法です。
日程と体力に余裕がある場合は、公共交通手段とトレッキングを組み合わせたプランニングをするのもおすすめです。
漁師の道観光のスタート/ゴール地点
漁師の道観光のスタート地点は2か所。
ポルト・コーヴォ(Porto Covo):リスボンの南120km
ヴィラ・ノヴァ・ドゥ・ミルフォンテス(Villa Nova de Milfontes):リスボンの南150km
のいずれかです。
トレイルの正式なスタート地点はポルト・コーヴォとなっていますが、そういうのはあまり気にしないタイプののぶよはヴィラ・ノヴァ・ドゥ・ミルフォンテスからのスタートにしました(笑)
いずれの町へも、リスボンからの直行バス(Rede expressos社)の便があるので、簡単にアクセス可能です。
ここからは、「漁師の道を自分の足で歩く」ということを前提に4日間のモデルプランを解説していきます。
車でサクっと見てまわるだけの場合は、急ぎ足なら以下の見どころは1日あれば制覇できます。
反対に、いくつかのビーチでのんびりしたり、ゆっくりと町を観光しながらまわるなら、途中で宿泊を入れつつのんびりドライブするのもおすすめですよ。
1日目:ヴィラ・ノヴァ・ドゥ・ミルフォンテス~ザンブジェイラ周辺
のぶよの場合はヴィラ・ノヴァ・ドゥ・ミルフォンテスをスタート地点にしました。
正式スタート地点であるポルト・コーヴォを起点にする場合は、+16km/4時間を見ておきましょう。
ヴィラ・ノヴァ・ドゥ・ミルフォンテス
ミラ川の河口に開けたヴィラ・ノヴァ・ドゥ・ミルフォンテス(Vila Nova de Milfontes)は、アレンテージョ地方の海上防衛の要所として15世紀に築かれた歴史を持つ町。
聖クレメント要塞(Forte de São Clemente)を中心に広がる中心街と、ミラ川の対岸に点在するリバービーチが美しい場所です。
町はとても小さいですが、宿泊施設や食堂、スーパーマーケットなどの滞在に必要なものは全て揃っているので、トレッキングの出発地点としてはかなり便利です。
アルモグラヴェ・ビーチ
「アレンテージョ地方で最も美しいビーチ」として名高いアルモグラヴェ・ビーチ(Praia de Almograve)は、スタート地点のヴィラ・ノヴァ・ドゥ・ミルフォンテスから13kmほど南にあります。
波はかなり高めですが、それがかえってサーファーの間で評判となりました。
アルモグラヴェ・ビーチでぜひおすすめしたいのが、絶好のロケーションにある海カフェ。
かつてこの場所に建っていた古い民家を改装した名もなき海カフェ(ポルトガルでは「スナックバー」と呼びます)は、センスの良い開放的なテラスが魅力的。
海水浴客やサーファーも多いものの、海を見ながらちょっと一杯しにやってきた近所の人の姿も多く見かけました。
ダイナミックな大西洋の波をただ眺めているだけでなんだか癒される場所。
トレッキングの休憩にも、ドライブの一休みにもおすすめです。
ザンブジェイラ
ヴィラ・ノヴァ・ドゥ・ミルフォンテスからトレッキングをしてきたなら、おすすめの宿泊地がザンブジェイラ(Zambujeira do Mar)。
高い崖の上に広がる町と崖の下のこぢんまりとしたビーチがある、このエリアの典型的な地形の町です。
とても小さな町ですが、漁師の道を歩く人のための宿泊施設などがいくつか点在しているので、滞在に困ることはありません。
2日目:ザンブジェイラ~オデセイシュ周辺
2日目は、ザンブジェイラがスタート地点。
南に20kmほどの場所に位置するオデセイシュ(Odeceixe)という町を目指します。
ザンブジェイラからは、ダイナミックな海岸線の断崖絶壁の上を歩いていきます。
オデセイシュ・ビーチ
2日目の観光ハイライトとなるのが、オデセイシュの町から3kmほど西に位置するオデセイシュ・ビーチ(Praia de Odeceixe)。
川と海が交わる地点に位置しており、海のビーチも川のビーチも楽しむことができます。
このエリアでは珍しく波が穏やかで遠浅のビーチなので、ポルトガル人の家族連れにも人気があるのがポイント。
トレッキングで疲れた体を休ませるには絶好の場所です。
リベイラ・ドゥ・セイシュ展望台
オデセイシュ・ビーチから内陸方面へ1kmほど入った場所にあるのが、リベイラ・ドゥ・セイシュ展望台(Miradouro da Ribeira de Seixe)。
オデセイシュ・ビーチにそそぐセイシュ川のパノラマが望める絶景ポイントです。
実はこのセイシュ川、アレンテージョ地方とアルガルヴェ地方を隔てているもの。
漁師の道のトレイルは、ポルトガル本土最南端のアルガルヴェ地方へと続いていきます。
3日目:オデセイシュ~アルジェズル周辺
オデセイシュから先は、もうアルガルヴェ地方。
リゾート地としてのイメージが強いアルガルヴェ地方ですが、漁師の道沿いの町はあくまで素朴なまま。
特にアルジェズル周辺は、絶景ビーチや可愛らしい漁村が点在している、漁師の道観光のハイライトとなるエリアです。
町の規模もまあまあ大きく、真っ白な可愛らしい町並みも一見るの価値ありなアルジェズル。
ホステルもあるので、ぜひ宿泊してみてはいかがでしょうか。
アモレイラ・ビーチ
アルジェズルの西8kmほどの場所にあるアモレイラ・ビーチ(Praia da Amoreira)は、すぐそばにある可愛らしい漁村とのコントラストが素敵な場所。
荒涼とした大地に突如現れるカラフルな町と、比較的穏やかな波のビーチがある風景は、のんびりとランチをとるのにぴったりです。
アリファナ・ビーチ
アモレイラ・ビーチの南8kmほどの場所に位置するのが、サーファーたちに愛されるアリファナ・ビーチ(Praia da Arrifana)。
上質の波があることで評判のビーチです。
海岸を見渡す丘の上に残るのは、アリファナ要塞跡。
大西洋を180°一望できる場所に建ち、海洋大国・ポルトガルの海上防衛を長い間担ってきた存在です。
アルジェズル
このエリアの中心的な町であるアルジェズル(Aljezur)は、海岸線からは少々離れているものの、他の町への長距離バスが停車する交通の要所。
小高い丘に挟まれた谷のような独特な地形に広がる町は、真っ白な壁とオレンジの屋根の家々が連なる典型的なアルガルヴェ地方の町といった雰囲気です。
味わいのある真っ白な路地や、いくつかある教会をまわってみましょう。
1時間ほどあれば一周できてしまうほどの規模です。
アルジェズルは、漁師の道南部の観光・宿泊の中心となる町。
ゲストハウスや個人の貸し部屋も多くあり、格安で滞在できるホステルもあるので、滞在に困ることはありません。
アルガルヴェ地方西部の観光の中心であるラゴス(Lagos)と路線バスで結ばれていることもあり、漁師の道沿いの町の中では最も観光客の姿を多く見かける町でもあります。
(とはいってもその数はかなり少ないですが)
古き良きアルガルヴェ地方の田舎町の雰囲気漂うアルジェズル。
南海岸の名だたるリゾート地とは全く違う素朴な雰囲気を、存分に味わいましょう。
4日目:アルジェズル~サグレシュ周辺
正式には、漁師の道はアルジェズルで終わることになっているのですが、ここまで来たら、ユーラシア大陸最南西端のサン・ヴィセントゥ岬まで歩き切りたいもの。
これまでも断崖絶壁の海岸線が続いてきましたが、このエリアの海岸線はさらにダイナミックさが増し、荒涼とした風景になってくるのが特徴的。
「地の果て」に向かって進んでいるという実感が、だんだんとわいてくるはずです。
ボルデイラ・ビーチ
のぶよ的に、漁師の道沿いで最も美しいビーチだと思うのが、こちらのボルデイラ・ビーチ(Praia da Bordeira)。
というか、ポルトガル全体でもBEST3に入る美しさだと思います。
弧を描くような砂浜の美しさと、その奥に続く断崖絶壁の海岸線の眺めはもちろん、水質も抜群です。
ただし、大西洋のビーチの例に漏れず、水温は低めで波は高いので、海水浴の際は十分に気を付けてくださいね。
アマド・ビーチ
ボルデイラ・ビーチから南に3.5kmほどの場所にあるアマド・ビーチ(Praia do Amado)も見逃せません。
サーファーにも海水浴客にも人気のビーチで、このエリアではかなり多くの人で賑わうビーチの一つです。
どこまでも澄み切った大西洋の青色を目に焼き付けたなら、いよいよゴール地点のサン・ヴィセント岬へと歩いていきましょう。
サン・ヴィセントゥ岬
ポルトガルで、というかユーラシア大陸で最南西端に位置するサン・ヴィセントゥ岬(Cabo de São Vicente)は、アルガルヴェ地方を訪れたならぜひ足をのばしたいスポット。
最果て感しか漂っていない荒涼とした大地には、ただ灯台がぽつりと建っているだけ。
吹き付ける強い風と、目の前に広がる一面の大西洋の風景に、地の果てにやってきたことを実感させられるでしょう。
サン・ヴィセントゥ岬はサグレシュ(Sagres)という町の郊外に位置しており、路線バスで移動することが可能。(距離にして5kmほどなので歩くこともできます)
サグレシュからはラゴスまでの路線バスが出ているので、簡単に移動することができます。
漁師の道を公共交通手段で観光!路線バス情報
「レンタカーは利用したくないけど、4日間歩き続けるなんてできない!でも漁師の道へ行きたい!」
という人もいるでしょう。
先述の通り、この地域は公共交通機関が発展していないため、個人でバスを利用してまわるのは至難の業。
それでも挑戦しようという人のために、漁師の道沿いの町を結ぶバス情報をシェアします。
Rede Expressosのリスボン~ラゴス便
リスボンからアルガルヴェ地方西部の中心・ラゴス(Lagos)の間は、漁師の道沿いの各町を結ぶバスが1日1本走っています。
リスボン16:00発→ラゴス20:10着
ラゴス9:00発→リスボン13:15着
漁師の町沿いの各町の到着/出発時間は以下の通りです。
注意したいのが、アルジェズル~サグレシュ(サン・ヴィセントゥ岬)間は走っていないこと。
アルジェズルに停車した後は、内陸部を通って東に位置するラゴスへと向かいます。
(次の項で解説しています)
1日1本しか便がないためなかなか利用しづらいのが、この区間のバスの現状です。
また、各町は海岸線すぐそばではなく少々内陸に位置することも多いので、中心街~海沿いまでは結局徒歩でアクセスすることとなります。
しかしながら、自分の足で歩く区間と、バスを利用して移動する区間を組み合わせることで、体力的&時間的に余裕をもたせることができるかもしれません。
アルジェズル~サグレシュのアクセスは難あり
個人で公共交通手段を利用して漁師の道を観光する際に問題となるのが、アルジェズル~サグレシュ間の交通手段が存在しない点。
緑:ラゴス~アルジェズル~オデセイシュ間EVA Transportes社便(1日5本)
赤:ラゴス~サン・ヴィセントゥ岬間EVA Transportes社便(1日1~2本)
上の路線図を見れば一目瞭然なのですが、アルジェズル~サグレシュ間の45kmほどの区間にはバスがないため、一度ラゴスを経由してバスを乗り継がなければなりません。
この区間で最もポピュラーな移動手段はヒッチハイクなのですが(というか、ポルトガル地方部の地元の人の主要交通手段はヒッチハイクです)、不安な人はラゴス経由にしておくべきでしょう。
漁師の道へのツアーは多くなく、ラゴスからアルジェズル、周辺のビーチを訪れるものに限られます。
移動手段を気にせずに大自然を感じることができるのが大きな魅力です。
おわりに
日本語では(英語ですら)ほとんど情報がない、ポルトガルの超穴場スポット・漁師の道観光について解説してきました。
観光地化もほとんど進んでおらず、ポルトガル地方部らしいのんびりとした空気を感じながらのトレッキングはきっと良い思い出となるはずです。
車でサクっとまわるのもいいですが、せっかくここまで来たなら少しはトレイルを歩いてみるのもいいかも。
汗をかいたなら極上ビーチでクールダウンだってできます。
どこまでも続く断崖絶壁の風景と、大西洋の荒々しい波を感じに、最果ての地を目指して旅してみてはいかがでしょうか。
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