こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
リスボンの北100kmほどの場所には、ポルトガル地方部らしい素朴な町が点在しています。
オエステ地方(Oeste)とエストレマドゥーラ地方(Estremadoura)にまたがるこのエリア。
代表的な観光スポットが、中世の趣を現代に残す世界遺産の三大修道院でしょう。
それ以外にも、奇跡が起こった場所・ファティマや「谷間の真珠」と称されるオビドス、大西洋目の前に広がる絶景と白い町並みが魅力のナザレなど、趣を異にする観光スポットがギュッと詰まっているのが特徴です。
リスボンからデイトリップも可能なものの、観光客にはあまり知られていないこのエリア。
手軽に訪れられる穴場スポットを探している人にはとにかくおすすめです。
しかしながら、ポルトガルあるあるの複雑&不便な交通システムを踏襲している典型的な地方部に位置しているため、個人でまわるにはやや難易度が高めなのがネック。
そこで今回は、これらの観光スポットのまわり方を徹底解説していきます。
各スポットの紹介
各スポットのまわり方・交通手段
リスボン基点のモデルプラン
の三部に分かれているので、リスボン滞在中にこの地域を訪れようとする人にはきっと役に立つはず!
素朴なポルトガル地方部の魅力と中世そのままの雰囲気を感じにいきましょう!
エストレマドゥーラ地方の町&観光スポット
まずは、このエリアにどんな町や観光スポットがあるのか紹介していきます。
大西洋目の前の美しい町から丘の上に佇む中世の修道院まで、それぞれの場所に個性豊かな魅力があるのがポイント。
各スポットの詳細な見どころについては、別記事へのリンクを貼っているのでそちらを参考にしてください。
エストレマドゥーラ地方観光地図
ナザレ
もともとは小さな漁村だったナザレ(Nazaré)は、大西洋すぐそばのロケーションが注目され、リゾート地として注目を浴びつつある町。
しかしながら、白壁の家々が連なる町の雰囲気は、ポルトガルの港町そのものの素朴な雰囲気です。
町を二分する崖の上から眺める絶景や、名物のシーフードグルメも見逃せません。
オビドス
このエリアで最も観光客に人気の場所が、「谷間の真珠」と称されるオビドス(Óbidos)。
丘の頂上に広がる、360°を城壁に囲まれた独特の地形の村には、中世そのままの町並みが広がっています。
観光客にも大人気のため、リスボンからのアクセスは他の町よりもかなり良いのもポイント。
気軽にデイトリップで訪れることができます。
アルコバサ
この地域の三大修道院の一つであり、世界遺産にも指定されている修道院があるのがアルコバサ(Alcobaça)。
ポルトガル人なら誰もが知っている実話「ペドロとイネスの悲恋物語」の舞台の一つとなった場所というだけあって、外国人よりもポルトガル人観光客に人気の場所です。
中世の雰囲気をそのままに残す修道院も、その周りに広がる可愛らしい町並みも魅力的な穴場の町です。
バターリャ
ゲームの世界のラスボスの居城のような外観が特徴のバターリャ修道院(Convento de Batalha)も、世界遺産に指定されている三大修道院の一つ。
圧倒的な存在感のゴシック様式の建物にはきっと息を呑むはず。
天井が設置されないまま放置された未完の礼拝堂は、観光のハイライト。
大航海時代のポルトガルの裕福さを物語るような内部の装飾も見逃せません。
レイリア
このエリアの中心都市として活気づくレイリア(Leiria)の町は、丘の上の城塞のふもとに広がる可愛らしい中心街を持つ町。
エリアのほぼ中心に位置しており、このエリアの交通のハブとして利用できるので、宿泊して観光の拠点とするのに最適な町です。
学生の町として有名なレイリアでは、若いエネルギーが感じられるのも魅力。
有名な見どころこそありませんが、リーズナブルな食堂やバーなどが点在する中心街には滞在に必要なものが全て揃っています。
ファティマ
およそ100年ほど前に、地元の羊飼いの息子たちが聖母マリアに出会ったことから始まった「ファティマの奇跡」。
信仰深い人が多いポルトガル人が聖地として崇めるファティマ(Fátima)は、今日でも聖地として多くの人がやってくる祈りの町です。
リスボンからの巡礼者用に多くのバスが走っていて、アクセスしやすいのもポイントです。
トマール
このエリアの最も東に位置するトマール(Tomar)は、中世初期に建設された圧巻の修道院のふもとに広がる美しい町。
世界遺産に指定されているこの修道院は、400年間にわたって建設が行われたため、中世ポルトガルの建築様式の変わりようが一つの場所で見られるという稀有な存在です。
大航海時代の幕開けを担ったエンリケ航海王子が整備したトマールの中心街の整然とした路地や、水と緑にあふれた開放的な雰囲気も大きな魅力。
ぜひ足をのばしてほしい、おすすめの町の一つです。
エストレマドゥーラ地方のまわり方&交通手段
地図で見るだけでは、簡単に周遊できそうなエストレマドゥーラ地方~オエステ地方の観光スポット。
実際のところはそこまで一筋縄ではいかないのが現状です。
全ての町を順番に結ぶ交通手段は存在せず、町によってはリスボンから直接のアクセスが便利だったり、他の町とセットで訪れるのが便利だったりとバラバラ。
ここでは、このエリアの見どころを個人でまわるための交通手段について解説していきます。
三つのエリアに分ける!
エストレマドゥーラ地方~オエステ地方の見どころや町の観光プランを立てる際には、三つのエリアに分けて考えるのがポイント。
というのも、それぞれのエリアでどこを起点にした交通網が発達しているか異なるためです。
各エリア間の交通手段
水色:Rede Expressos社長距離バス路線
緑:Rápida Verdeバス路線(リスボン~オビドス)
黄色:Rodoviaria de oeste社バス(ナザレ~アルコバサ~オビドス)
赤:RodoTejo社バス(ナザレ~アルコバサ~バターリャ~レイリア)
紫:RodoTejo社バス(バターリャ~レイリア)
青:RodoTejo社バス(レイリア~ファティマ~トマール)
図にしたところでかなりややこしいのですが、こちらがこの地域の主な交通手段の路線図です。
交通網の発達具合からこれらの地域を三つに分けると
ナザレ、アルコバサ、オビドス
レイリア、バターリャ、ファティマ
トマール
となります。
リスボンから日帰りで観光する場合は、一つのエリアで1日と考えておきましょう。
どうしてもエリアをまたいで日帰りで周遊したい場合は、現地ツアーに参加するしか方法がありません。
エリア西側:ナザレ、アルコバサ、オビドス
西側に位置する三つの町の間は、Rodoviaria do oeste社が30分~1時間に1本の頻度(平日)でバスを運行しています。(画像内黄色)
しかしながら、地理的に少し外れた場所にあるオビドスまで行くバスは少なく、
ナザレ→オビドス方面:1日6本
オビドス→ナザレ方面:1日3本
となっているのでご注意を。
ナザレ→アルコバサ→オビドスの順で訪れるのがおすすめです。
また、土日はかなり減便する路線なので、平日以外に日帰りでこの三つの町を個人でまわるのはほぼ不可能となります。
オビドスには、リスボンからの直行便であるRápida Verde(Rodoviaria do oeste社運行)という中距離バス路線が停車するため、リスボンからのアクセスはかなり便利です。(画像内緑色)
ナザレ~リスボン間のアクセスは、Rede Expressos社が1日8本のバスを運行しています。(画像内水色)
エリア北側:レイリア、バターリャ、ファティマ
レイリアを拠点にしたアクセスが便利なのが、バターリャとファティマ。
レイリアからそれぞれの町へは30分~1時間に1本ほどの頻度でバスが走っています。
バターリャ~レイリア間:Rodotejo社(画像内紫色)
レイリア~ファティマ間:Rede Expressos社(画像内水色)
と運行会社が異なるのでご注意を。
レイリア~バターリャ~アルコバサ~ナザレと移動する際に便利なのが、Rodotejo社運行の路線。(画像内赤)
ただし、本数は平日でも1日3本と少ないのでご注意を。
土日に減便となるのは言うまでもありません。
エリア東側:トマール
トマールは、リスボン~ポルト間の鉄道路線沿いにある町。
30分に1本ほどと頻繁に列車が走っているので、リスボン~ポルト(orコインブラ)間の移動途中に立ち寄るのがベストです。
エリア内の町で、トマールから直接アクセスできる唯一の町はファティマですが、トマール~ファティマ間のバスは1日1~2本と少なく、アクセスにやや難があります。
このため、他の町とは別で考えた方が効率的に周遊することができるでしょう。
リスボンからの交通手段&発着ターミナル
エリア内の交通手段についてなんとなく理解したら、次はリスボン(とコインブラやポルトなど北方面)からのアクセスについても理解しておきましょう。
基本的には、どこの町にもRede Expressos社の長距離バス路線の設定がありますが、小さい町への便数はかなり少なめです。
反対に、ナザレ、レイリアなどある程度の規模の町には不便を感じないほどの便数(1日8本ほど)があるので安心。
また、巡礼地として需要があるリスボン~ファティマ路線に関しては、かなり多くの長距離バスが走っています。
リスボンからのアクセスで長距離バスが利用しにくいのが、オビドスとトマール。
リスボン~オビドス:中距離バスRápida Verde
リスボン~トマール:鉄道
の利用が断然便利です。
トマールのアクセスなら!鉄道
リスボン~ポルト間を結ぶポルトガル鉄道(CP)の多くの列車は、途中でトマールを経由します。
リスボンの発着駅はサンタ・アポローニア駅(Santa Apolónia)。
かなりの頻度で列車が出ています。
サンタ・アポローニア駅はリスボン地下鉄青線と直結しているため、リスボン市内他エリアからのアクセスも便利です。
また、トマール~コインブラ・ポルトなど中部・北部方面の町へも同じ鉄道路線でアクセスが可能です。
リスボン~オビドス間の移動ならRápida Verde!
リスボン~オビドス間にはRede Expressos社の路線はなく、中距離専門のRodoviaria do oeste社が運航するRápida Verdeという路線を利用することとなります
Rodoviria do oeste社のバスが出発するのは、リスボン新市街にあるカンポ・グランデ(Campo Grande)バスターミナルから。
カンポ・グランデにはリスボン地下鉄緑線・黄線が乗り入れているので、中心街からのアクセスも悪くはありません。
リスボン~その他の町の移動ならRede Expressos社バス
上で紹介した以外の町(ナザレ、アルコバサ、バターリャ、レイリア、ファティマ)へは、ポルトガルの長距離バス路線を独占するRede Expressos社の路線があります。
本数が多くて便利な路線は
リスボン~ファティマ:30分に1本
リスボン~ナザレ~レイリア:1日8本
の二路線ですが、アルコバサやバターリャなどへも直行便が出ています。
リスボンでの発着は全て、新市街にあるセットゥ・リオシュバスターミナル(Sete Rios)。
地下鉄青線のJardim Zoológico駅と直結しているので、市内中心部からのアクセスも便利です。
ポルトやコインブラ方面のアクセスは、少々限られてしまうのが現状。
ファティマ~コインブラ~ポルト:30分に1本
ナザレ~レイリア~コインブラ:30分~1時間に1本
これ以外の町(アルコバサやオビドスなど)~中部・北部の路線は、レイリアで乗り換えとなることが多いです。
バターリャ修道院・ファティマ・トマールなどの観光拠点となるのが、レイリアの町。
丘の上の城塞のふもとに広がる可愛らしい町並みと、若いエネルギー溢れる雰囲気も魅力的で、ローカルレストランが点在しています。
節約派には嬉しいホステルがあるのもポイントです。
エストレマドゥーラ地方周遊観光のプランニングのコツ
ここまでで、この地域を観光する基本知識はバッチリだと思います。
とにかく交通網に難ありなエリアなので、個人で周遊する場合のプランニングには少しコツがあります。
日帰りの場合は三つのエリアのうち一つを選択
リスボンから日帰りでこの地域を訪れる場合、先述の三つのエリアのうちどれか一つを選択する必要があります。
ナザレ+アルコバサ+オビドス
レイリア+ファティマ+バターリャ
トマール(頑張れば+ファティマ)
三つのエリア間のバスは本数が少なく、日帰りで移動するのは至難の業。
トマール+バターリャ+アルコバサの三大修道院を巡る場合などは、必ず宿泊が伴うこととなります。
のぶよ的には、どうしても丸一日しかとれないなら、ナザレ+アルコバサ+オビドスがおすすめ。
海、修道院、中世の村とバラエティーに富んだ三つの町の魅力を存分に味わえるためです。
土日は避けた計画を!
何度も書いていますが、このエリア内の路線バスは土日にはもの凄く減便となります。
そもそも1日6本ほどしかなく便利とは言えないのに、1日1便になったりする路線もあるほど。
スケジュール上、このエリアの観光がどうしても土日になってしまう場合は、無理に周遊しようとせず、リスボンから一つの町を単純往復するのがおすすめ。
エリア内の町を結ぶRodoTejo社、Rodoviaria de oeste社のバスは土日はかなり減便されるものの、長距離バスのRede expressos社やポルトガル鉄道、オビドスへのRápida Verdeはほぼ平日と変わらないスケジュールです。
1泊2日の場合はトマールを除く
1泊2日の日程がとれるなら、このエリアの見どころのほとんどを周遊観光することができます。
しかしながら最も東に位置するトマールまで足をのばす場合は話が別。
バスの本数が少ないため+1日しなければならず、全部で2泊3日の日程が必要となります。
先述の通り、トマールはリスボン~ポルト(orコインブラ)間の移動途中に立ち寄るのが最も効率的。
エリア内の他の町とは別でプランニングするのがベストだと思います。
個人ではまわりにくいポルトガル中部地域。点在する世界遺産の修道院や「谷間の真珠」オビドス、大西洋岸の白い町ナザレなどを日帰りでまわりたいなら、リスボン発着の現地ツアーが最も便利な方法です。
・人気の都市を1日で!オビドス、ナザレ、世界遺産バターリャ、聖地ファティマ1日観光ツアー<昼食付/日本語ガイド/リスボン発>by[みゅう]
リスボン発1泊2日モデルプラン
というわけで、リスボン発時計回りでこの地域を周遊する場合のモデルプランがこちら。
1泊2日の場合で考えていますが、日帰りの場合は1日目か2日目のどちらか一つが実行可能と考えてOKです。
- 8:00リスボン出発
- 9:00オビドス着・観光(2時間)
・Rodoviaria de oeste社のバスでアルコバサへ(1時間)
- 12:00アルコバサ観光(2時間)
・Rodoviaria de oeste社のバスでナザレへ(20分) - 14:30ナザレ着
・シーフードランチ(1時間)&観光(2時間)
・Rede expressos社のバスでレイリアへ(40分)
- 18:30レイリア着
・宿泊先へ
- 8:00レイリア観光(2時間)
・観光後、RodoTejo社のバスでバターリャへ(30分) - 10:30バターリャ修道院観光(1時間半)
・観光後、レイリアへ戻る(30分) - 12:30レイリアでランチ(1時間)
・Rede expressos社のバスでファティマへ(30分) - 14:00ファティマ観光(1時間半)
・観光後、Rede expressos社のバスでリスボンへ(ポルト/コインブラ方面も可) - 17:00リスボン到着
このプランなら、トマール以外のエリア内全ての見どころを制覇することができます。
このプランにトマールを追加する場合は、
2日目のファティマ観光後にバスで移動してトマールに宿泊、翌日(3日目)に観光
このプラン通りにリスボンにいったん戻り、ポルトやコインブラへと移動する予定の日に立ち寄って観光
のいずれかとなります。
ややアクセスが不便なトマールですが、世界遺産の修道院はかなり見ごたえあり。
エンリケ航海王子が設計した中心街も美しく、一泊しても十分に楽しめることができる町です。
水と緑に囲まれたトマールは、整然とした美しい町並みも魅力的。ポルトガル地方部らしいローカル感が漂っており、温かな人々との出会いがあるかもしれません。
格安で宿泊できるホステルもあるので、節約派でもOKなのが嬉しいところです。
おわりに
日本ではまだまだマイナーなこの地域を「個人で周遊観光する」という視点から、各町を結ぶ交通手段を徹底的に解説してきました。
日本語での情報があまりない地域なので、これから訪れようとする人のお役に立てたなら嬉しいです。
交通の不便さは否めないので、日帰りだと取捨選択するか現地ツアーに参加するかしかないのがネックですが、日程に余裕があるなら個人でも十分にまわることが可能。
メジャーな観光スポットだけでは味わえない、素朴な中世ポルトガルの雰囲気を存分に楽しみたいなら、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
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