こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
リスボンの北100kmほどの場所に点在する、世界遺産の中世修道院群。
アルコバサ修道院
トマールのキリスト教修道院
バターリャ修道院
の三つが登録されており、いずれも中世ポルトガルの人々の信仰心の深さが感じられる場所です。
今回紹介するのは、ゴシック様式の最高傑作と言われるバターリャ修道院。
ポルトガル語で「戦」を意味するバターリャ(Batalha)という名を冠した修道院は、その名の通りカスティーリャ王国(現在のスペイン)に対してポルトガル軍がこの地で勝利を収めたことに由来しています。
圧巻の外観はもちろん、内部の装飾も素晴らしいバターリャ修道院。
その見どころとアクセス、近郊の観光スポットを含めたまわり方を解説していきます。
バターリャ修道院の見どころ
バターリャ修道院の建設が始まったのは、1386年のこと。
強大な隣国、カスティーリャ王国に打ち勝った国王・ジョアン1世が、戦いの勝利を記念して建設を命じたもので、最終的に修道院がほぼ完成したのは大航海時代真っ只中の1517年のこと。
(後述の「未完の礼拝堂」部分のみ未完成)
建設開始から完成まで長い時間がかかり、その間に国王や建築家が何度も入れ替わったため、各時代の流行の建築様式が入り混じっているのが特徴です。
独特な黄色味がかったい石作りが特徴的なバターリャ修道院。
これは、ポルトガル南部・アルガルヴェ地方産の石灰岩を利用しているためで、もともとは白い岩だったものが時間とともに風化し、黄色がかった色に変色した結果だそう。
当時のポルトガル王国の栄光を象徴するかのような巨大な外観に圧倒されたら、聖堂脇にある入口から入場していきましょう。
圧巻の聖堂
バターリャ修道院の入口を入って初めに見学することとなる聖堂は、高さ32mの柱が並ぶ圧巻の空間。
修道院らしく装飾が少なめなシンプルさが特徴的です。
一番奥にはポルトガル最古のステンドグラス(15世紀初頭のもの)がはめ込まれた縦長の窓があります。
照明の数は限られており、ほぼステンドグラスを通して入ってくる自然光だけで照らされる空間は神聖そのもの。
厳かな雰囲気が全身で感じられます。
ポルトガルの黄金時代を築いた王たちが眠る、創始者の礼拝堂
聖堂に隣接した小部屋は、創始者の礼拝堂と呼ばれる場所。
バターリャ聖堂の建設を命じたジョアン1世の棺や、息子のエンリケ航海王子の棺などが置かれており、大航海時代の始まりを担った人物たちの霊廟となっています。
マヌエル様式が見られる王の回廊
ゴシック様式が主流のバターリャ大聖堂の中で、後のマヌエル1世時代に増築された部分には独自のマヌエル様式も見られます。
美しい中庭を取り囲む王の回廊はその最たるもの。
回廊天井部分のアーチや、精密な装飾が見られる窓を支える柱などが特徴的です。
王の回廊で見逃せないのが、中庭に突き出したような小さな空間に設置された噴水のようなもの。
こちらは洗盤と呼ばれるもので、実際に手や顔を洗う場所として利用されてきたもの。
どこまでもこだわりぬかれた装飾には、きっと目を見張ることでしょう。
美しく整備された中庭からは、周りを取り囲む回廊と聖堂部分の尖塔を一望することができます。
バターリャ修道院のハイライト!未完の礼拝堂
バターリャ修道院を象徴するのが、未完の礼拝堂と呼ばれる場所。
15世紀になって増築された部分で、もともとは創始者の礼拝堂に次ぐ第二の霊廟として建設がはじめられたものです。
高さ15mの礼拝堂入口の門の彫刻は、大航海時代の富をつぎ込んだマヌエル様式の傑作。
立体感が感じられる美しい彫刻を堪能したら、礼拝堂内へと入っていきましょう。
その名が表す通り、屋根がなく建設途中のままであるのが最大の特徴である未完の礼拝堂。
建設を命じたドゥアルテ1世とその妻の棺だけが置かれています。
16世紀に入ってもバターリャ修道院は完成することはありませんでした。
当時はポルトガルの大航海時代の栄光に翳りが見え始めたころ。
徐々に資金繰りは悪化し、当時の国王ジョアン3世は、リスボンのジェロニモス修道院の建設に力を注ぐためバターリャ修道院の建設を中止させます。
以後、未完の礼拝堂の建設が再開されることはなく、現在までその姿を残し続けているのです。
リスボンから日帰りもOK!バターリャのまわり方
バターリャのまわり方&バターリャ観光マップ
バターリャはとても小さな町で、観光名所もバターリャ修道院くらいしかないため、観光は全て徒歩で十分です。
他都市からのバスが発着するバス停は、修道院の東側200mほどの場所に位置しています。
青:バターリャ修道院
バターリャ修道院観光は共通チケットがお得!
バターリャ周辺には他にも見どころがたくさん。
トマールの中世修道院
アルコバサ修道院
など、他にも「中世キリスト教建造物群」として世界遺産に指定されている教会や修道院が点在しています。
これら三つの修道院をまわるなら、全てに入場可能な共通入場チケット購入がおすすめ。
購入から7日間有効で、料金は€15(=¥1784)です。
インフォメーション
バターリャ修道院
入場料:€6(=¥713)
営業時間:夏期 9:00~19:00/冬季 9:00~18:00
リスボンから日帰りor宿泊?バターリャと近郊のまわり方
バターリャの町にはそれこそ修道院くらいしか見どころがないので、ゆっくりと見学しても1時間~1時間半ほどあれば十分です。
リスボンから日帰り往復しても良いのですが、せっかくなら近郊の観光スポットや他の世界遺産の修道院をまわってみるのがおすすめ。
たくさんの見どころが点在するこのエリアのちょうど真ん中に位置しているバターリャ。
リスボンからの日帰りで、いくつかの見どころをセットで観光するなら、
バターリャ+アルコバサ+ナザレ
バターリャ+レイリア+ファティマ
バターリャ+オビドス(かなり難しい)
のいずれかが現実的だと思います。
バターリャ+アルコバサ+ナザレ+オビドスなどの欲張りプランは、オビドス行きのバスの本数が少なすぎるためにまず不可能。
オビドスとセットにするなら、ナザレやアルコバサが鉄則です。
バターリャ修道院・アルコバサ修道院・トマールのキリスト教修道院の三大修道院や聖地ファティマ、ナザレ、オビドスなどエリア内全ての見どころをまわりたい場合は、このエリア内のどこかの町に宿泊しながらのんびりまわるか、リスボン発の現地ツアーに参加するのが基本となります。
バターリャには修道院以外何もないため、宿泊先としては、
オビドスやアルコバサを観光したい→ナザレ
ファティマやトマール方面へ行きたい→レイリア
がおすすめです。
リスボンからの日帰りも可能なナザレですが、のんびりとした町の雰囲気を味わいながらのシーサイド・ステイもおすすめです。
夏場のハイシーズン以外はホテルもかなりリーズナブルで、ドミトリータイプのホステルもあるので節約派でも大丈夫!心ゆくまで素朴な白い町を堪能できます。
バターリャ修道院・ファティマ・トマールなどの観光拠点となるのが、レイリアの町。
丘の上の城塞のふもとに広がる可愛らしい町並みと、若いエネルギー溢れる雰囲気も魅力的で、ローカルレストランが点在しています。
節約派には嬉しいホステルがあるのもポイントです。
バターリャへの行き方&近郊の見どころへのアクセス
リスボン~バターリャのアクセス
リスボン~バターリャ間は、ポルトガルの長距離バス路線を独占するRede Expressos社のバスが運行しており、簡単にアクセス可能です。
ポルトガル北部・中部(ポルト/コインブラ)~バターリャのアクセス
ポルトガル北部のポルトや中部のコインブラ~バターリャ間には、直通バスが走っていません。
バターリャ近郊にあるレイリア(Leiria)という中都市でバスを乗り換えてのアクセスとなります。
いずれも、Rede Expressos社のバスなので、最新の時刻表は公式サイトでご確認を。
バターリャとセットでまわりたい!周辺の観光スポット
ファティマ
人工たった1000人ほどの小さな村、ファティマ(Fátima)は、「奇跡が起こった場所」としてポルトガルはもちろん世界中のキリスト教徒からの信仰を受ける聖地。
地理的にはバターリャから近いものの、直行バスはないため、レイリアで乗り換えてのアクセスとなります。
バターリャ~レイリア間:Rodotejo社
レイリア~ファティマ間:Rede Expressos社
と運行会社が異なる点にご注意を。
ナザレ
オビドスの西、大西洋に面したナザレ(Nazaré)は、素朴な漁村の雰囲気を残したリゾート地。
真っ白な路地が連なる町並みや大西洋の絶景はもちろん、名物シーフードも楽しめるおすすめの町です。
Rodotejo社が1日3本のバスを運行しており、レイリア~バターリャ~アルコバサ~ナザレの順に停車します。
アルコバサ
世界遺産の修道院があるアルコバサ(Alcobaça)も、見逃せない観光スポット。
先述のRodotejo社のバスが、レイリア~バターリャ~アルコバサを結ぶバスを1日3本運行しています。
オビドス
村全体が城壁に囲まれたオビドスは、世界遺産に指定されている小さな村。
白い壁に青と黄色が映える可愛らしい町並みが大人気の場所で、「谷間の真珠」と称されることもあるほどです。
リスボン近郊の中距離路線専門のRodoviaria do LISというバス路線が1日1本、ナザレ~アルコバサ~オビドス間の直行バスを運行しています。
本数が少なくて不便なので、オビドスへはナザレかアルコバサから訪れることをおすすめします。
個人ではまわりにくいポルトガル中部地域。点在する世界遺産の修道院や「谷間の真珠」オビドス、大西洋岸の白い町ナザレなどを日帰りでまわりたいなら、リスボン発着の現地ツアーが最も便利な方法です。
・人気の都市を1日で!オビドス、ナザレ、世界遺産バターリャ、聖地ファティマ1日観光ツアー<昼食付/日本語ガイド/リスボン発>by[みゅう]
おわりに
中世ポルトガルの栄光の時代が感じられるバターリャ修道院を紹介しました。
外観の圧巻さや内部の装飾の素晴らしさを通して、500年前のポルトガル栄光の時代を感じることができるおすすめのスポットです。
周辺の観光スポットとあわせて、ぜひ足をのばしてみてはいかがでしょうか。
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