こんにちは!アルメニアに5ヶ月滞在した、世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
アルメニアという国を訪れた旅行者がまず最初に抱く印象は「この国の交通網…いったいどうなっているの?」だと思います。
これまで色々な国を訪れてきましたが、アルメニアの公共交通システムはかなり難易度が高め。
テクノロジーの発達がめざましい2020年代になっても、感動的なほどにアナログなシステムがまかり通っているのです。
今回の記事は、アルメニアを個人で移動&観光する人向けにアルメニアの国内交通(長距離移動手段)についてまとめたもの。
アルメニアの国内交通マスターになるための5つのステップのうち、2~4までの3ステップを解説しています ▼
- STEP1エレバンの市内交通を理解する! 別記事
- STEP2
- STEP3
- STEP4
- STEP5エレバンに7ヶ所あるバスステーションを知る! 別記事
関連記事も含めて読めば、アルメニアの国内移動に関してもう怖いものなし!といった内容になっています。
アルメニアの国内移動手段は3種類
アルメニアで国内移動をする際にまず知っておきたいのが、長距離移動の手段が3種類あること。
国土が小さいアルメニアでは、飛行機での国内移動はまったくもって一般的ではありません。
(エレバン~南部の地方都市への旅客便もあるにはあるそうですが、旅行者が利用する可能性は限りなくゼロかと。)
ここでは、アルメニア国内の3種類の長距離移動手段についてザックリと紹介していきます。
①鉄道
アルメニアの国内移動手段の一つ目が、鉄道。
電車に乗ってどこへでも行けるのが普通である日本と比べると、アルメニアの鉄道網はかなり限られています。
2022年現在、旅客向けに走っているのはたったの3路線のみで、本数も限られています。
・エレバン~ギュムリ間
・エレバン~セヴァン間(夏季限定の運行)
・エレバン~トビリシ(ジョージア)間
とはいえ、上記の区間を移動する場合には利用価値あり。
座席スペースにもある程度ゆとりがあり、大きな荷物があっても問題なく利用できる点がメリットです。
②タクシー
アルメニアではいまだに流しのタクシーが主流ですが、エレバンをはじめとする都市部ではYandex等の配車アプリも普及しています。
配車アプリを利用すれば、ぼったくり等の被害を防ぐことができるのはもちろん、目的地にちゃんと向かっているか一目瞭然なので安心ですよね。
とはいえ、これは都市部での話でアルメニア地方部では話が別。
アプリの範囲外なので、客待ちのタクシーや流しのタクシーを利用することとなります。
知っておくべきなのが、アルメニアの流しのタクシーには料金の相場があること。
・初乗り600AMD(=¥144)
・以後1kmごとに100AMD(=¥24)ずつ加算
といったシステムです。が…
メーターを使わない(壊れて使えない)ようなタクシーも多く、ほとんどの場合は乗車前に提示される言い値が基本となるのが現状。
外国人が相場通りの料金で流しのタクシーを利用するのは難しく、ある程度上乗せした金額を提示されることがほとんどです。(あまりに法外な値段の場合は交渉するか、別のタクシーを探すべき)
タクシーを数時間~1日チャーターする場合にもいちおう相場があり、同区間を走るマルシュルートカ(公共ミニバス)の10倍の値段が片道分の相場です。
・エレバン~ギュムリ(片道):マルシュ1500AMD→タクシー15000AMD
・エレバン~ヴァナゾル(往復)マルシュ1600AMD→タクシー16000AMD
こちらはあくまでも目安の金額。
運転手によって上下しますし、途中の見どころに立ち寄ってもらう場合などはもちろん料金が上がってきます。
③マルシュルートカ(公共ミニバス)
アルメニアをはじめ、旧ソ連地域で人々の足となっているのが「マルシュルートカ」と呼ばれる乗り合いのミニバス。
運賃は激安&多くの便が運行されているので、アルメニア国内を個人で移動する旅行者にとっては最も身近な交通手段です。
ほとんどの場合は、予約なしで当日の乗車が可能。
利用方法は近隣諸国と似たようなものですが、アルメニアならではの注意点もあるので事前に知っておくのがおすすめです!
アルメニアのバス路線をチェック!便利なアプリ/サイト
アルメニアでマルシュルートカ(乗り合いのミニバス)を利用する際の最大の難関が、まったくもってオーガナイズされていないカオスなシステム。
なんとアルメニアの市内交通/長距離交通はいずれも、GoogleMapの行き先案内に非対応。
初めてこの国を訪れた旅行者は、いったいどうやって自分が利用する路線を調べれば良いのか見当もつかないはずです。
とはいえ、時代は2020年代。
カオスすぎる交通システムのアルメニアにも、いちおうテクノロジーの進歩が見られます。
ここでは、アルメニアでの移動に役立つアプリとサイトを紹介します。
・Yandex Maps:市内交通向けの地図アプリ
・t-armenia:長距離マルシュルートカ専用サイト
Yandex Maps:市内交通向け(エレバン/ギュムリ)
エレバンやギュムリなど都市部の市内交通に限っては、 Yandex Mapsというサイト/アプリが便利。
「ロシア版Google Map」といったところで、エレバン市内交通の路線網や時刻表に完璧に対応しています。
路線図も時刻表もかなり正確なYandex Maps。エレバン滞在前にダウンロードしておくのがおすすめです。
t-armenia:長距離交通向け
Yandex Mapsがカバーしきれていないアルメニア国内の長距離交通を調べるなら、t-armeniaというサイトが便利。
こちらはブラウザ版のみで、アプリ等はありません。
出発地や目的地、日時を入力すれば、条件にあったミニバス路線が一覧表示されます。
英語版のページもあって使い勝手も良いのですが、こちらも100%正確とは言えず、だいたい7割~8割くらいの正確さ。
メインのバス路線以外の情報は絶望的に信頼度が下がり、近郊路線には対応していない場合も多いです。
ある程度のプランニングの参考にはなりますが、最終的には自分でバスステーションに出向いて確認することになるでしょう。
アルメニアのミニバス(マルシュルートカ)利用時の注意点・アドバイス10選
アルメニアのミニバスの利用方法は、近隣諸国と似たようなもの。
この国を旅する人はある程度旅慣れている人ばかりだと思うので、何回か利用すればすぐに慣れると思います。
とはいえ、アルメニアのバス利用時にはアルメニアならではの注意点もあります。
ここでは、現地で困らないためにもアルメニアの長距離ミニバス(マルシュルートカ)利用時のアドバイスや注意点を10個解説します。
①平日/土日でもスケジュールは変わらない(ことが多い)
国によっては、平日と土日祝日ではバスのスケジュールが変更となる場合もよくあります。
対するアルメニアでは、曜日に関わらずバスのスケジュールは変わらないのが基本。
曜日を気にせず移動できるので、旅行者的には嬉しい点です。
とはいえ、地元民しか利用しないような超ローカル路線では話が別。
土日は乗客がほとんどいないために減便&運休となることもあるので、現地での確認はお忘れなく!
②行き先表記はアルメニア語のみ
アルメニアのバスの行き先表示は、99%アルメニア語表記のみです。
もはや文字自体が異なるので、アルメニア文字が読めないとかなり苦労するはず。
(路線番号が表示されているバスもあれば、そうでないバスもたくさんあります)
こればかりは頑張って文字を覚えるか、そこら辺にいる人に尋ねるかしかありません。
③ネット予約/クレジットカード支払いは不可
そもそも路線図や時刻表自体がネット対応しきれていないアルメニアの長距離ミニバス。
「ネットで座席を予約してクレジットカードで決済」などのシステムはいっさい存在しません。
そもそも、バスステーションでチケットを購入するような便でも、支払いは現金のみでクレジットカードの利用は不可能。
大きな額のお札(5000AMD以上)は使用できない場合もしばしばあるので、できる限り細かい額を用意しておくのがスムーズです。
④大型バスや夜行バスは存在しない
アルメニアの陸路交通手段は、マルシュルートカと呼ばれる16人~20人乗りのミニバスのみで、よくある大型バスは存在しません。
また、アルメニアは国土が小さいため夜行バスもなし。
午後4時を過ぎると便数がグッと減ってしまう場合が多いので、できるだけ早い時間に移動するプランを組むのが鉄則です。
⑤途中乗下車でもフルの運賃を支払うのが基本
アルメニア独自の交通文化の一つが、ある区間を走るミニバスを途中で乗車/下車した場合は、原則としてその区間のフル運賃を支払う必要がある点。
決してぼったくり等ではなく、そういうシステムなのです。
とはいえ、運転手によっては「○○AMDで良いよ」と割り引いた値段を言ってくれる人もいます。
こればかりは完全なる優しさでサービスのようなものですし、「この区間しか乗ってないから値引きして!」などと交渉するのは控えるべき。
どこで乗り降りしようとも運賃は変わらないのが基本だと覚えておきましょう。
⑥荷物代は無料
アルメニアのミニバス乗車時には、決められた運賃以上のお金を支払う必要はいっさいなし。
国によっては「大きな荷物1個につきいくらの追加料金」などと言われる場合もありますが、アルメニアにおいては荷物代のシステムは基本的にありません。
⑦荷物置き場は限られている
荷物代こそかからないアルメニアですが、そもそも荷物を置くためのスペースが限られている点に要注意。
アルメニアのミニバスは周辺国のミニバスと比べても小さめで、最後部の荷物置き場がほとんどないものもあります。
バックパックであれば、どうにかして詰め込むなり抱えた状態で座るなりできるでしょうが、スーツケースは絶対に入りません。
スーツケースでアルメニアを旅する人などまずいないと思いますが(笑)、もしどうしてもスーツケースを持って移動する場合はミニバスは無理。
タクシーでの移動しか選択肢がありません。
⑧チケットの有無の謎
アルメニアの長距離ミニバス路線のいくつかは、バスステーションの建物内のチケットオフィスであらかじめチケットを購入しておかなければならないことも。
主にエレバン最大のバスステーションであるキリキア・バスステーション発着の長距離便がそうなのですが、場合によっては乗車後に運転手に直接支払うことも。
本当に謎のシステムでしかありません…
チケットを購入する便の場合、座席が指定されていることがほとんど。
とはいえ、利用している地元の人々はかなり適当な座席に着いているのが普通なので、あくまでも乗車人数を把握するためのものだと思います。
⑨自分の足で調べるのが鉄則
アルメニアの交通系アプリの項でも触れましたが、この国の交通システムにおいて「絶対」はありません。
アプリ上で表示されていたバスの発車時刻になってもバスが来ず、「その路線は2年前に廃止になったよ」なんて言われることも数回ありました。
アルメニアでは、こうした移動系の情報は地元の人々の間で口伝えで共有されるもの。
各都市のバスステーションへ行けば、すべてのバス路線を把握している「生き字引」のような人がいるのもアルメニアあるある。(職員でもなんでもなく、その辺で昼間から飲んでるおじさんだったりする)
日本人的感覚からすると不便でしかないのですが、これもこの国の文化の一つ。
移動する場合は前日にバスステーションへ足を運んで、スケジュール等を確認するのが鉄則です!
⑩エレバンのバスステーションは鬼
多くの旅行者がアルメニア旅行・滞在における拠点とするのが、首都のエレバン。
アルメニア津々浦々へのバスが発着しており、「ここから行けない場所などない」と思うほどに路線網は充実しています。
しかしながら、エレバン発着の長距離バスはとにかく旅行者泣かせ。
エレバン市内にはバスステーションが7つも存在し、どの方面のどの町に行くかによって事細かに発着地が分かれているためです。
もはや慣れるしかないのですが、いちおうザックリとした「○○行きは○○バスステーション発」という定義のようなものは存在します。
5ヶ月間のアルメニア滞在で知り得た限りのエレバンのバスステーション情報&長距離ミニバス路線網については別記事で共有しているので、アルメニアを個人で旅する人はぜひチェックを!
おわりに
アルメニア旅行の際に知っておきたい、国内移動手段に関して解説しました。
アルメニアの交通網は日本やヨーロッパのようにオーガナイズされてはおらず、かなりアナログである点は否めません。
特に、ミニバス路線は旅行者の強敵で、慣れるまではかなり苦労するでしょう。
とはいえ、一度コツをつかんでしまえばこれほど便利で格安な移動手段はありません。
地元の人々に交じってゴトゴトと走るバスに揺られる経験に、きっと旅情が膨らむはずです!
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