こんにちは!アルメニアに5ヶ月滞在した世界半周中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)
この5ヶ月間、毎日のように食べたアルメニア料理。
その集大成となる記事を書く日がやってきました。
「アルメニア料理」と聞いて、なにか具体的な料理名がイメージできる人や、どのような食文化なのか説明できる人はかなり少ないのではないでしょうか。
のぶよもアルメニアに来る前は、「アルメニアの料理?なにそれ?」と何一つイメージがありませんでした。
実際にアルメニアに滞在した5ヶ月間、食事面においては毎日が驚きと満足感の連続。
アルメニアで食べるものはとにかくどれも美味しく、素材の味を最大限に引き出す調理法をベースにした美食文化が根付いていることを舌で感じたからです。
今回の記事は、アルメニアの食文化の特徴や定番料理を紹介するもの。
5ヶ月間で食べたアレコレをすべて載せたら、合計56品/文字数36000字とものすごいボリュームの記事になりました(笑)
日本ではまったく知られていない「コーカサスの美食大国」の食文化に、少しでも興味を持ってもらえれば嬉しいです!
アルメニア料理って?独自の食文化の6つのヒミツ
日本人にとって、アルメニアはほとんど馴染みのない国。
その食文化に関しても、まったく知識がない人が大半だと思います。
「なんだか辛いものが多そう…」
「スパイスたっぷりのエスニックな風味なのでは?」
「こってりしていて重たそう…」
こういったイメージをもたれることが多いのですが、それは最近話題のジョージア料理のイメージかもしれません。
アルメニアの食文化は、お隣のジョージアとは対照的。
アルメニアを訪れる旅行者の多くはジョージアからアルメニアに入るのが定番ですが、ちょっと国境を越えただけなのにここまで味付けや調理法がガラリと変わることに驚くはずです。
ここでは、アルメニアの食文化の特徴を6つのポイントで解説していきます。
どれものぶよが実際に感じたもので独断に満ちていますが、実際にアルメニアに行った人なら「なるほど…確かに…」と思ってもらえるはず!
アルメニアの食文化①:さまざまな食文化のミックス
アルメニアは、コーカサス地方に位置する内陸国。
シルクロード交易の拠点として栄えた歴史があり、周辺の大国による支配も長かったため、東西南北の食文化が見事に融合しているのが特徴的です。
食文化とは、その土地の歴史の結晶。
アルメニア料理がさまざまな国や地域の影響を受けているのは、長い歴史の中で支配者が次々に入れ替わったことが最大の要因だと思います。
すぐ北隣のジョージア料理とアルメニア料理が大きく異なっている理由の一つが、オスマン帝国(現在のトルコ)による支配を受けなかったことかもしれません。
長期間に渡ってペルシア帝国(現在のイラン)の支配下にあったためか、アルメニア料理で最も強く感じられるのはペルシア料理や中東諸国の料理などの影響です。
とはいえ、歴史的に「西アルメニア地域」と呼ばれていたトルコ東部エリアの食文化の影響も見逃せません。
1915年のアルメニア人大虐殺の際に逃れて来た人々によって、旧オスマン帝国(現在のトルコ)の食文化もアルメニア本国にもたらされました。
近代ではロシア帝国やソ連支配時代も経験したため、ロシア由来の料理も定着し、アルメニアの食文化はさらにバラエティー豊かなものに。
こうした地理的・歴史的な要因が複雑に混ざり合った食文化の結晶、それがアルメニア料理なのです。
アルメニアの食文化②:あっさりした味つけ
アルメニア料理で最大の特徴と言えるのが、総じて味つけがあっさりしたものが多いこと。
塩辛い料理はあまり好まれず、スパイスをほとんど使わない調理法は、西アジア地域ではとても珍しいもの。
また、お隣のジョージア料理と大きく異なっているのが、アルメニア料理ではニンニクがあまり使われない点。
「ニンニクの匂いが苦手」というアルメニア人もかなり多かったことには驚きました。
長く厳しい冬場に関しては、油多め&ニンニクを入れてスタミナをつける習慣もあるようですが、基本的にアルメニア料理はあっさり風味。
5ヶ月間毎日のようにアルメニア料理を食べていたのにまったく飽きることがなかったのは、これが理由だったのかも?と思っています。
アルメニアの食文化③:長期保存が可能な材料を多用
アルメニアは、気候にも土壌にもあまり恵まれていない国。
冬場の冷え込みは恐ろしいことになりますし、痩せた土地が多いため、作物の栽培には適していないのです。
そんな厳しい条件の土地でアルメニア人が生み出した知恵が、保存食を活用することでした。
・豆類
・小麦粉
・ドライフルーツ
・麦類
・ピクルスなどの酢漬け
現在でこそ物流や冷凍技術が発達したため、一年を通して新鮮な食材が手に入るようになりました。
いっぽう伝統的には、夏~秋の間に収穫した穀物や野菜を乾燥・加工して日持ちさせ、冬の間の保存食として食べる文化が根付いていました。
現在でもこの保存食文化の名残が見られるのが、気候が厳しいことで知られるアルメニア北部地域。
この地域の郷土料理には、小麦粉や豆類を用いた質素なものがとても多いです。
アルメニアの食文化④:ハーブ文化
アルメニアに来て驚いたことの一つが、ハーブ類を多用すること。
ディル、コリアンダー、イタリアンパセリ、紫バジル あたりが定番で、いずれも乾燥させたものではなく、フレッシュなハーブが用いられます。
アルメニアでのハーブの使用法は、料理の仕上げにのせるだけとシンプル。
ハーブを炒めたり煮込んだりすることはあまりありません。
シャウルマやホロヴァツなど、手軽なファストフードにも大量のフレッシュハーブが入るのが定番。
彩りも美しく、爽やかな口当たりとシャキシャキ感は、肉との相性もピッタリです。
アルメニアの食文化⑤:スパイスをあまり使わない→日本でも再現しやすい
「②あっさりした味つけ」の項で触れましたが、アルメニア料理ではハーブこそ大量に用いますが、スパイスが用いられることはあまり多くありません。
煮込み料理でも肉の下味をつける際も、基本的な味付けは塩コショウとハーブ、パプリカパウダーくらい。
じっくりと素材の味を引き出す調理法のものが多く、素材の良さが最重要となります。
お隣のジョージアがかなりのスパイス文化であることを考えると、なぜなのか不思議に思いますよね。
特別なスパイスや調味料が必要ないアルメニア料理の材料は、日本でも簡単に手に入るものばかり。
つまり、日本にいながらアルメニアの味を再現することができるというわけです。
本当にシンプルな材料ばかりなのに、味も美味しくて見た目も美しいアルメニア料理。
日本にアルメニア料理店があるのかどうかわかりませんが、もしかしたら今後人気になるかも?(どこかで店だそうかな…)
アルメニアの食文化⑥:(たぶん)ユーラシア大陸No.1のBBQ文化
アルメニアの食文化を語るうえで忘れてはいけないのが、徹底した肉食文化であること。
ベジタリアンやヴィーガンの人は、まずアルメニアでは生きていけません。
それくらい、肉が入っていない料理を見つけるのは至難の業です。
これまで60ヶ国ほどを訪れましたが、のぶよ的にはアルメニア人の肉の調理法の上手さはダントツでNo.1。
お隣のトルコでも肉料理が美味しいと思いましたが、今考えてみると正直勝負になっていません。
それくらいにアルメニアの肉料理はレベルが高いです。
アルメニア語で「バーベキュー」を意味する言葉が「ホロヴァツ」。
全国津々浦々、どんなにド田舎の町へ行こうとも、立派な炭焼きグリルを備えたホロヴァツ屋が必ずある国、それがアルメニアです。
アルメニア人にとっては、「肉=炭火で焼くもの」という認識。
手間も時間もかかる調理法ですが、炭火で焼かれた肉のギュッと詰まった旨味やジューシーさは、周辺国では絶対に味わえないものです。
アルメニアの地方部を旅していると、歴史ある修道院の敷地内や河川敷、絶景の展望台など、とにかくどこでもウォッカをあおりながら炭火で肉を焼くアルメニア人たちに出会うことでしょう。
ちょっと目が合うと、「これ食え!どうだ、うまいだろ!ウォッカも飲むか?」と果てしない宴会に巻き込まれることになるのですが(笑)、それもまたアルメニアでしかできない貴重な体験だと思います。
コメント
こんにちは、いつも楽しく拝見しています。といいますか、現在、インターネット規制がとても厳しい国に住んでいて日本でおなじみのありとあらゆるサイトやSNSがブロックされているのですが、のぶよさんのブログはなぜか(!)さくさく見られ、もはや読み物みたいなかんじで拝見してて全ページ制覇できそうな勢いです。
そして、私はアルメニアに2度ほど行ったことがあり、今まで行った国の中でもアルメニアがとても好きなのですが(1度目はジョージアとのセット旅行の予定だったのが、アルメニアの人の魅力にどっぷりはまり、一泊だけお世話になる予定だった民家にずるずる何日もお世話になり抜け出せなくなった)、のぶよさんもアルメニアを推されてて、アルメニアのページにもかなりの熱を感じ、嬉しくなりました。近々3回目のアルメニア旅行を予定してますが、参考にさせていただきます。
そしてエレバンの最強シャウルマリスト、気になります。
今後の更新も楽しみにさせていただきます。