こんにちは!フランス、カナダで日本語教育およびフランス語教育に携わっていたのぶよです。
国際化が進む現代社会。
インターネットの普及や交通網の発達によって、どんどん距離が縮まってきていることは、誰もが実感しているのではないでしょうか。
日本国内に目を向けてみましょう。東京オリンピックを控え、右肩上がりの訪日外国人観光客の数。
のぶよは長期間日本に住んでいないので、個人的には実際にどんな状況なのかあまりイメージが湧きにくいのですが、日本を出国した5年前に比べて、外国人観光客や日本在住の外国人が増加しているという話はよく耳にします。
そんな中で、日本で生活しながら外国語を勉強したい人の数も増えてきているはず。
国際共通語になりつつある英語はもちろんのこと、世界経済の中で勢いを増す中国語、話者数の多いスペイン語や根強い人気があるフランス語など、興味がある言語を勉強してみたいと考えている人も多いのでは。
しかし、いざ語学学習を始めようとして、多くの人が疑問に直面します。
・何から勉強したらいいのかわからない
・読み、書き、会話の何に重点をおいて勉強するのがいいのか
・とりあえず語学勉強のためには現地に行くのが一番なのか
・語学に関する資格はとりあえず取っておくべきか
…などなど。
この始めの一歩を踏み間違えると、語学習得はのちのちかなりハードになりますし、必要以上の時間がかかってしまいます。
4ヶ国語話者ののぶよからすると、外国語を話せるようになることは簡単とまではいきませんが、思っているほどハードルが高くないんです。
今回の記事は、「語学講師が語る」シリーズ第一弾!
これから新しい言語を勉強しようとしている人に向けて、最短で効率的に語学を習得するための3つのポイントをお教えします。
これから外国語を勉強しようとしている人の参考になれば。
ポイント1 自分がその言語を使って何がしたいか考えよう!
語学学習に最も大切ともいえるのが、「その言語を使って何がしたいのか」をまず初めに考えること。
・英語を使って世界一周がしたい!
・中国語を使ってビジネスがしたい!
・フランス語を使って、料理を学んで自分のレストランを開業したい!
趣味のためなどの小さな目標ではなく、できるだけ大きな目標を持ちましょう。その言語を習得することで、自分の人生が大きく変わってしまうほどの大きな目標を。
大切なのは、「その言語を学ぶこと」を目標にしないこと。
言語はただのコミュニケーション手段でしかありません。「その言語を使ってコミュニケーションができることで、自分が何がしたいのか」はっきりしたイメージを持っておかないと、後で必ずつまずくことになります。
のぶよが日本語講師をしているとき、日本語は大人気の言語で、初級クラスは特に多くの生徒でにぎわっていました。しかし授業のレベルが上がるにつれて、どんどん脱落していく生徒が多かったんです。
初級クラスの生徒には必ず初めに、「どうして日本語を勉強したいのか」という学習の動機を尋ねるようにしていました。
途中で脱落してしまう生徒たちに共通していたのは、「日本語を使って何がしたいか」に関して最終的な目標がなく、「アニメが好きだから」とか「J-popが理解できるようになりたいから」とか、趣味の延長程度の軽めの動機だった点。その動機を上手に将来の目標につなげられなかった生徒が多かったんです。
一方で、学習が長く続いて、かなり日本語が上達した生徒は、「日本でエンジニアになりたい」とか、「日本でワーキングホリデーをしたい」とか、具体的かつ大き目の、いわば将来的な目標を持った人が多かったんです。
もちろん、その言語を学習したいと思った最初のきっかけはなんでもいいんです。どんなに小さなことでも。
しかし、そんな小さなきっかけだけでは長く険しい語学学習の道のりを歩ききることはできません。
恋愛と同じで、好きだけじゃダメなんです。20代後半の今だから言えるお決まりのセリフ(笑)
TOEIC、英検、仏検、DELF…それって話すために必要ですか?
とにかく資格が大好きな日本人。
OEICをはじめとする英語系の資格、仏検やDALF/FELFなどフランス語系の資格など、言語別にいろいろな資格があり枚挙にいとまがありません。
この日本人の意識に息づく「資格至上主義」は、元をたどれば学校教育の中で育まれたものではないでしょうか。
高校受験や大学受験などでは、英語のスキルは一つの基準または指標となり、それを越えることを目標に英語学習をしてきた人が大半だと思います。学校教育を終えても、就職の際にできるだけ効率的にその人の能力を判断するためにも、資格の有無は大きなポイントとなりますね。
つまり、「自分が何かができる、能力がある」ということを客観的に他人に判断してもらうための材料となるものが資格なのです。
かくゆうのぶよも、大学時代にはTOEICや仏検を受験しましたし、フランス滞在時にはDELFにも挑戦した経験があります。
しかし、言語を習得し、話せるようになった今思えば、「語学系の資格なんて、実際のコミュニケーションにおける言語能力とはあまり比例しない」と強く感じます。
TOEICで高得点をとっていて、読み書きがほぼ完璧にできる人でも、実際の会話においてはがくっとレベルが下がってしまい、まともにコミュニケーションが取れるレベルではない人も多いんです。いわゆる、頭でっかち状態。
では、どうして文法を完璧に学び、難しい単語を覚えているにもかかわらず、会話スキルが伸び悩んでしまう人が多いのでしょうか。
言語はコミュニケーションをとるためのもの。読み、書きはオプション。
大前提として、言語というものは、その漢字が指すように「言って語るもの」。口頭で意思疎通を図るために私たち人類が発達させたものです。
そこからこの目に見えない「言語」を可視化するために文字が生まれ、それを理解したり書いたりするスキルが必要になりました。
この言語の発達過程は、それを外国語として一から学習する際にも当てはまるものだとのぶよは考えます。
簡単な例を挙げるなら、料理。
私たちは食べないと生きてはいけません。生きるために必要な栄養素を摂取するための行為が食事であり、その目的のためだけならば、別においしく料理したりきれいに盛り付けする必要はありません。生きていくのに必要な食材を体内に取り入れればいいだけの話です。
しかし、私たちはその必要不可欠な「食事」において、出来る限り美味しくいただくために料理することを覚え、出来る限り良い見た目になるように盛り付けをすることを覚えました。
言語に関してもも全く同じことが言えるのではないでしょうか。
生活していくために必要不可欠な意思疎通をするためだけなら、栄養摂取と同様に、口頭での会話だけで事足ります。しかし文字として残すことやそれを読んで理解することで、言語を多角的に利用できるようになりました。これが食材を料理し、盛り付けすることにあたります。
ここで、考えてみましょう。必要不可欠となる食材に関する知識がない状態で、「どのように味付けしたらいいか」「どうしたら見栄えがよくなるか」を先に学ぶことは本末転倒と言えます。
それは言語学習に関しても全く同じです。
言語学習の基本目標はは、コミュニケーションをとれるようになるということ。
言いたいことが言えない、何を言われているかわからない状態で、難しい単語を暗記したり文法事項を詳細に学習してる人がかなり多いですが、それ、逆です!
とはいっても、私たちは赤ちゃんではないので、口頭会話だけで新しい言語が習得できる魔法のようなスキルはもうありません。言語の基礎を理解するためには、ある程度の読み書きのスキルは必要となります。
ポイント2 まずは会話ができるようになってから、読み・書きの勉強で言語スキルをブラッシュアップしよう!
というわけで、前置きが長くなってしまいました。
語学学習の二つ目のポイントとしてのぶよが提案したいのは、「とにか会話ができるようになること」を目標に学習を進めていくこと。
もちろん基本的な単語や文法の知識は学習する必要がありますが、ある程度のレベルまででOK。
前置詞の細かな使い分けや単語のニュアンスの違い、新聞を外国語で読む…そんなのあとあと!
・聞いて理解できるようになること
・自分の言いたいことが簡潔に言えること
語学学習初心者なら、まずはこの二点に学習目標を絞ることが大切です。
ある程度簡単な会話ができるようになってきたら、文法を少し深めに学び始めたり、新しい単語を覚えたりと次のステップに進みましょう。
ポイント3 資格は中間目標の一つでしかない。もっと楽に考えて!
このようにやたらと「会話こそが言語学習に大切なものです!」と書き連ねてきましたが、別にのぶよは資格取得に対して反対ではありません。
資格をとることで自分の言語能力 (主に読み書き) を客観的に判断することができるし、自信にもつながります。
しかし、前述のように、資格取得自体が言語学習の目標ではダメなんです。
あくまで、「まあこれだけ会話ができるようになったことだし、資格でも取っておくかあ」くらいの軽めのスタンスでOK!
それに万が一資格取得に失敗したら、今までの学習過程を全否定された気分になること間違いなしなので(笑)
おわりに
なんだかんだと書いてきましたが、語学を始めることのハードルは高くありません。
初めはその言語やそれが話されている国が好きだという単純な気持ちだけでいいんです。
ただし、言語は一生の友達。ずっと仲良くやっていくためには好きだけじゃダメです。正しく目標を設定しておくことで、学習の効率やモチベーションを上げることができるはず。
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