こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
ポルトガルに住んでいるとき、北から南まで色々な町を旅しました。
(行きすぎてブログが全然追いついていない)
その中でも、ポルトガルで一番好きな町を挙げろと言われたら、ナザレ(Nazaré)と即答するでしょう。
リスボンから北に1時間半。
大西洋の目の前にひらけたナザレの町は、もともとは小さな漁村として細々とした暮らしがあった町。
町のすぐ目の前は、荒波がうねる大西洋という絶好のロケーションが幸いし、現在ではポルトガル人に人気のビーチリゾートとして賑わうかたわら、世界中からサーファーが集まるサーフィンの聖地のような場所としても知名度を上げてきています。
「ビーチリゾート?別に興味ないや…」
と考えるのはちょっと待っていただきたい。
ヨーロッパによくある、音楽ガンガンのパリピが浮かれまくるビーチリゾートとは無縁で、かつての漁村の雰囲気が色濃く残っているのがナザレ。
白壁の家々が連なる路地の雰囲気や、大西洋を望む絶景ポイントなどがある町は、街歩き派にもおすすめできる場所なのです。
ポルトガル地方部らしい伝統が残っている点もポイント。
この地域に伝わる伝統衣装を着て現在でも生活する女性たちに出会うことができます。
今回の記事は、のぶよ的ポルトガルNo1.の町・ナザレの魅力がたっぷり。
観光スポット
名物シーフードが食べられるおすすめレストラン
リスボンからのアクセス情報&セットで訪れたい近郊の見どころ
など盛りだくさん。
一人でも多くの人に、ポルトガルらしい素朴な雰囲気のナザレに訪れてもらえますように。
ナザレの観光スポット
ナザレは小さな町ですが、高い崖によって町が二分されているという特徴的な地形です。
崖の下側に位置するロウワータウンが、ペスカドーレシュ地区(pescadores=猟師の町)と呼ばれるエリア。
長距離バスが発着するターミナルや人々の生活に欠かせない市場などがあるナザレの人々の生活エリアです。
崖の上側には、ペスカドーレシュ地区と大西洋を一望する展望台や、町の人々の信仰を集めるノッサ・セニョーラ・ダ・ナザレ教会などがあるアッパータウン。
二つの地区を遮る崖にはフニキュラールと呼ばれるケーブルカーが走っており、地元の人の足となっています。
アッパータウンの観光スポット
断崖絶壁の崖の上にあるアッパータウンへとケーブルカーに乗ってやってきた旅行者は、きっとすぐにのぶよがナザレをおすすめする理由がわかってくれるはず。
「なんでこんなところに…?」と目を疑うほどの崖っぷちに連なる真っ白な家々がとても美しいのはもちろん、崖の下のペスカドーレシュ地区とビーチ、雄大な大西洋を一望する絶景が広がっているからです。
ポルトガルらしいアズレージョ(タイルアート)に彩られた小さなチャペルや、人々の信仰を集める壮大な教会など、小さなエリアながらナザレの見どころがギュッと詰まったアッパータウン。
大西洋の風を感じながら、散策していきましょう。
ナザレ展望台
赤い屋根の家々、黄金色に輝く砂浜、どこまでも青く澄んだ大西洋、というナザレを代表する絶景が望めるのが、ケーブルカーを下りて100mほどのところにあるナザレ展望台(Miradouro da Nazaré)。
どれだけ時間に縛られた旅であろうとも、この景色を見るためだけにでもナザレまで足をのばす価値があると思います。
大西洋の荒波に削られた起伏が激しい海岸線を持つポルトガルでは、国内の至る所にこうした絶景展望台があり、どこも地元の人の憩いの場となっているのが面白いところ。
他のヨーロッパの国では、絶景展望台=観光客がやってくる場所というイメージが強いですが、ポルトガルではもっと人々の生活に身近なものなのです。
(みんな何をするでもなくぼうっと海を眺めている、そんなスローな国がポルトガルです。)
ナザレ展望台も例外ではなく、アッパータウンに住む地元の人々が一休みしに来る場所という雰囲気が強いです。
ケーブルカーを降りて展望台へと向かう道も、かなりの崖っぷち。
展望台まで向かわずとも、視界は大西洋の青でいっぱいになります。
メモリア礼拝堂
ナザレ展望台から路地を抜けた先にある、小さな小さな建物がメモリア礼拝堂(Ermida da Memória)。
3人ほどが入るのでやっとの礼拝堂内には、一面が青と白のアズレージョに彩られた世界が広がります。
一枚一枚手作業で色付け&焼き上げたタイルを組み合わせて作るアズレージョ。
こちらはおそらく17世紀頃の装飾スタイルだと思いますが、光が届きにくい礼拝堂内ということもあってかなり良い保存状態で残っています。
360°アズレージョに囲まれる経験は、ポルトガル広しと言えどもなかなかできるものではありません。
ポルトガル芸術の美しさを思う存分堪能しましょう。
ノッサ・セニョーラ・ダ・ナザレ教会
アッパータウンを象徴する建物が、先述のメモリア礼拝堂がある広場に堂々と建つノッサ・セニョーラ・ダ・ナザレ教会(Santuário de Nossa Senhora da Nazaré)。
こちらも内部には美しいアズレージョが残っており、大航海時代の富をつぎ込んだ豪華な装飾は必見です。
教会前の広場は、町一番の観光名所ということもあり、ナッツ類やお土産を売る屋台がいくつか出ています。
その屋台で働く女性たちが身に着けているのが、ナザレ地域の伝統衣装。
セットゥ・サイアシュ(Sete saias=七枚スカート)と呼ばれるこの衣装は、その名の通り七枚のスカートを重ねて履くという他にあまり見られないスタイルが特徴。
もともと漁師町として発展してきたナザレ。
海に出るのは男たちの仕事で、獲った魚を売るのが女たちの仕事でした。
自分の夫や息子が帰ってくるのを、浜辺でのんびりと待つことがナザレの女性たちの日課。
大西洋から吹き付ける強い潮風から身を守るために、厚手の上着とスカートを重ね履きしたのがセットゥ・サイアシュの始まりだと言われています。
未婚・既婚・未亡人など、その人の婚姻状況によってスカートの色を変えるそうで、現在でもその伝統は残っています。
アッパータウンで伝統衣装を着ている女性たちは、あくまでも観光客向けといった感じですが、後述するペスカドーレシュ地区では、日常的にこの伝統衣装を着ている女性たちの姿も多く見られます。
ロウワータウン(ペスカドーレシュ地区)の観光スポット
アッパータウンが絶景展望台や教会などが点在するナザレの表向きのエリアだとしたら、地元の人々の生活エリアであるペスカドーレシュ地区はナザレの素顔が見られるエリア。
「猟師の町」を意味する地区の名前が示すように、かつては町の人口のほとんどが漁に携わっていた場所です。
現在でこそ、リゾート地やサーフィンのメッカとして知名度が高まっているナザレですが、リゾート開発とは無縁の素朴な雰囲気が感じられるのは大きな魅力。
白壁の家々に挟まれた狭い路地を歩いて素朴な風景に出会ったり、ビーチ沿いに連なるレプブリカ通りを歩いて開放的な雰囲気にひたったり、様々なスタイルでの散策が楽しめるエリアです。
レプブリカ通り
ナザレのメインストリートが、ビーチに沿って走るレプブリカ通り(Av. da Republica)。
ポルトガル伝統の白黒のモザイクタイルの歩道のすぐ脇にはビーチが広がり、北側の高い崖の上にはアッパータウンの町並みを望むことができます。
レプブリカ通りの一番北にあるソウサ・オリヴェイラ広場(Praça Sousa Oliveira)周辺が、リゾート地・ナザレの中心的なエリア。
リゾート客向けのレストランや部屋貸しなどが点在しており、夏場は多くの人で賑わいます。
ビーチ
ペスカドーレシュ地区のどこからでも見えるナザレのビーチは、黄金色に輝く砂浜と、北側にそびえたつ高い崖、荒波うねる大西洋が作り出す風景がとても美しい場所。
実は、ナザレ沖は世界一高い波が観測された場所。
その高さなんと30mということで、世界中のサーファーの注目を集めるきっかけとなりました。
一年中波は高く水温は低いため、家族連れでの海水浴にはあまり向かないのが残念なところですが、ダイナミックな大西洋の波をただ眺めているだけでも満足できるはず。
ペスカドーレシュ地区の路地
青く輝く大西洋の潮風をいっぱい浴びたなら、白い家々の壁が連なる路地を散策してみましょう。
大西洋から数十本の直線の路地がのびるペスカドーレシュ地区。
誰もいない路地のそこら中ではためく洗濯物は、とてもポルトガルらしい風景だと思います。
昼間は日差しが強くかなり暑くなるため、地元の人は外に出ないことが多いよう。
ひっそりとした路地には、観光客の姿さえありません。
美しく整備された街並みというわけではないものの、ポルトガルの港町らしい素朴な雰囲気の町並みはとても魅力的。
真っ青な空に映える真っ白な家々。カラフルな洗濯物に気を取られていると、ふと見える大西洋。
特に何かがあるわけではありませんが、昔から変わらないナザレらしい風景にたくさん出会うことができます。
ナザレ市場
ペスカドーレシュ地区の南側に位置するのがナザレ市場(Mercado de Nazaré)。
リスボンのフードコートを併設しているような観光客向けの市場とは異なり、完全なる地元の人向けの市場です。
「男は海で漁、女は魚を売る」というナザレの伝統を表すように、市場で働くのは全員が女性です。
おっさんたちはその辺のカフェでエスプレッソを飲みながら煙草をふかしています(笑)
ナザレ市場周辺は、伝統衣装をまとったナザレ女性の姿が多く見られる地区。
写真をお願いすると、みんな誇らしそうにポーズを決めてくれる気さくな人ばかりです。
地元の人との触れ合いも楽しいペスカドーレシュ地区。
ローカル感を感じながらの街歩きに大満足です!
ナザレの名物グルメ4品&おすすめレストラン
海がすぐ目の前にあるナザレの名物は、何と言ってもシーフードでしょう。
古くから漁師町として栄えてきたナザレ。
地元産の魚が売られる市場の存在もあり、ポルトガルの中でも一、二を争うほど新鮮なシーフードが食べられることでも有名なのです。
ここでは、ナザレに来たらぜひ食べたい4つの名物グルメと、おすすめのレストランを紹介していきます。
イワシの炭火焼き
ポルトガル全土の名物でもあるイワシの炭火焼き(Sardinhas asadas)ですが、海がすぐそばで新鮮なイワシが手に入るナザレのものは本当に絶品です。
大西洋の荒波を泳いできたポルトガルのイワシはとにかく肉厚でジューシー。
旬の時期である6月~7月には、みんな自宅のベランダで七輪を使ってイワシを焼くのが風物詩で、この時期にナザレを訪れるなら、町の至る所でイワシを焼く香りに包まれることでしょう。
素材が良いのでどこのお店でも美味しいのですが、屋外に炭火焼きコーナーがあるレストランがおすすめ。
アッパータウンのMoialmasという家族経営のレストランでいただきました。
お昼の数時間しか開いていないというのんびりレストランですが、味は確かですよ。
あさりの白ワイン&ブイヨン蒸し
日本で言う「あさりの酒蒸し」のポルトガルバージョンは、あさりの白ワイン&ブイヨン蒸し。
ポルトガル語で”Amêijoas à Bulhão Pato”(アメイジョアシュ・ア・ブリャオ・パートゥ)というこの料理は、新鮮なあさりにニンニクを入れ、鴨のブイヨンと白ワインで蒸しあげたものです。
レモンとコリアンダー(パクチー)で味を調えるのがポルトガル流。
ニンニクが効いたあさりは肉厚でジューシー。ほど良い塩気でお酒がすすむこと間違いない一品です。
こちらも先述のMoialmasでいただきました。
ポルトガルであさり料理を食べるときは、殻に注目!
ポルトガル全土で食されるあさりですが、地元産のものと輸入品(冷凍あさり)では味が全く異なります。
白くツルツルした殻のあさりは、アジアからの輸入品で割安のもの。
冷凍されたものを調理するので、風味は格段に落ちてしまいます。
ポルトガル地元産のあさりは、殻が茶色でザラザラしたものが一般的。
こちらは朝の干潮時に地元の人が獲ったものを各レストランに売り歩いているので、鮮度が良く風味も格段に上がります。
リスボンではほとんどが白あさりですが、ポルトガル南部のアルガルヴェ地方やナザレなど中部では、絶品の茶色あさりに出会える確率も上がります。
上で紹介したレストランMoialmasのあさりは、見事に茶色でした。
(時期にもよるかもしれません)
カルディラーダ
ポルトガル風ブイヤベースと言えば、カルディラーダ(Caldilada)。
フランス料理のブイヤベース(魚介類の煮込み)は、魚介類の旨味が凝縮した濃厚な風味が特徴的ですが、ポルトガルだって負けてはいません。
新鮮な魚丸ごと一匹を、パプリカやトマトとともに煮込んだもので、一口食べると口いっぱいに大西洋が広がります。
ポルトガルでは豪快に鍋ごと提供されるのが一般的で、数人でシェアするのが基本の海沿いの町名物です。
ナザレで美味しいカルディラーダを食べるなら、ペスカドーレシュ地区にあるCasa Dos Becosという小さな食堂がおすすめ。
気のいいおじさんが経営している小さなお店で、あさり料理やイカ、イワシも絶品です。
エビのアヒージョ風
新鮮なエビをスペイン料理のアヒージョ風で食べられるお店もナザレにあります。
アッパータウンにあるSitiadoは、地元産の食材を使用したタパス(小皿料理)がウリの小さなレストラン。
シーフードだけでなく肉料理も美味しいです。
ナザレの地元の人もおすすめするだけあって、料理の味はもちろん、盛り付けの美しさやちょっとおしゃれなお店の雰囲気もいい感じです。
かと言って敷居が高いわけではなく、ランチなら一人でも気兼ねなく利用できる雰囲気。
ディナーはいつも混雑するので、一人だとちょっと入りにくいかもしれません。(いかんせん店が小さいので)
ナザレ観光の思い出の一ページを彩ること間違いなしの、雰囲気・味ともに素晴らしいお店です。
ポルトガル各都市~ナザレへの行き方
ナザレ観光マップ
紫:ケーブルカー
青:見どころ
赤:おすすめレストラン
ナザレのバスターミナル&市内交通
ナザレのバスターミナルは、ペスカドーレシュ地区のナザレ市場の南300mほどのところにに位置しています。
狭い路地が連なるペスカドーレシュ地区は、路線バスなどが運行していないため、観光の基本は徒歩となります。
アッパータウンへのアクセスなら、フニキュラールと呼ばれるケーブルカーが便利。
ペスカドーレシュ地区北側の崖の下から、アッパータウンの展望台付近まで簡単にアクセスすることができます。
15分に1本の運行で、料金は片道€1.20(=¥142)と安いです。
リスボン~ナザレのアクセス
リスボン~ナザレ間は120kmほどの距離で、ポルトガル国内の長距離路線を独占するRede expressos社が1日8本のバスを運行しています。
ポルトガル北部・中部(ポルト・コインブラ)~ナザレのアクセス
北部のポルトや中部のコインブラ~ナザレ間もRede expressos社のバスが1日5本運行しています。
全てのバスはポルトを出発してコインブラに停車し、ナザレを経由した後リスボン方面へと向かいます。
近郊の観光スポットとセットでまわることも可能!
ナザレまで足をのばしたなら、近郊に点在する見どころをセットで観光するのもおすすめ。
「谷間の真珠」オビドス
世界遺産の修道院があるアルコバサ
は、ナザレから距離的に近く、セットでまわるにはおすすめです。
バスの本数がやや少なめなので、個人で公共交通機関を利用してまわる場合は時間に余裕を持ったプランニングをしましょう。
オビドス~ナザレのアクセス
村全体が城壁に囲まれたオビドスは、中世の雰囲気を色濃く残す可愛らしい村。
白い壁に青と黄色が映える可愛らしい町並みが大人気の場所で、「谷間の真珠」と称されることもあるほどです。
リスボン近郊の中距離路線専門のrodoviaria do oesteというバス路線が1日6本、ナザレ~オビドス間の直行バスを運行しています。
アルコバサ~ナザレのアクセス
世界遺産の修道院があるアルコバサは、ナザレの目と鼻の先に位置する小さな町。
rodoviaria do oeste社が30分~1時間に1本の頻度(平日)でバスを運行しているものの、午後2時以降と土日は大幅に減便となるのでご注意を。
バターリャ
世界遺産の修道院を有するバターリャ(Batalha)は、アルコバサ、トマールの修道院とともにこのエリアの三大修道院を持つ町として有名な場所。
Rodotejo社が1日3本のバスを運行しており、レイリア~バターリャ~アルコバサ~ナザレの順に停車します。
個人ではまわりにくいポルトガル中部地域。点在する世界遺産の修道院や「谷間の真珠」オビドス、大西洋岸の白い町ナザレなどを日帰りでまわりたいなら、リスボン発着の現地ツアーが最も便利な方法です。
・人気の都市を1日で!オビドス、ナザレ、世界遺産バターリャ、聖地ファティマ1日観光ツアー<昼食付/日本語ガイド/リスボン発>by[みゅう]
おわりに
ポルトガルらしい素朴な海沿いの町の雰囲気が存分に感じられるナザレの魅力を紹介してきました。
絶景を眺めて、海沿いを散策して、名物シーフードをつまみに乾杯…。
ポルトガル旅の醍醐味がギュッと詰まった町だと思います。
リスボンから日帰りで訪れることも可能なので、ポルトガル旅行の際の予定にぜひ組み込んでみてはいかがでしょうか。
リスボンからの日帰りも可能なナザレですが、のんびりとした町の雰囲気を味わいながらのシーサイド・ステイもおすすめです。
夏場のハイシーズン以外はホテルもかなりリーズナブルで、ドミトリータイプのホステルもあるので節約派でも大丈夫!心ゆくまで素朴な白い町を堪能できます。
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