こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
リスボンから電車で40分の近さにも関わらず、雰囲気が大きく変化するシントラ(Sintra)。
ノスタルジックなリスボン旧市街に対して、シントラにはどことなく優雅で上品な空気が漂っています。
シントラがリスボンと異なる点は、雰囲気だけでなくその気温にも見られます。
かつて王族の避暑地として発展してきた町だけあって、真夏でもリスボンとは比べ物にならないほどの涼しい風が吹き抜けていきます。(それでも十分暑いですが)
今回紹介するのは、シントラ観光で一番人気のスポット・ペーナ宮殿(Palácio da Pena)。
上品で優雅なシントラの町並みにはまるでふさわしくない、原色ギラギラ、変な塔がニョキニョキのその外観は、まるで山の中のおもちゃの城のようです。
リスボンから個人で日帰りも十分に可能なペーナ宮殿の見どころや歴史、上手なまわり方を解説していきます。
ペーナ宮殿へ入場!
ペーナ宮殿最寄りのバス停を下りると、もう目の前は宮殿の入口となる門。
閑散期である1月に訪問したのですが、かなり多くの観光客の姿が見られます。
入口の門からペーナ宮殿の建物までは、やや急な坂道を歩いて10分ほど。
歩きたくない人向けに、門~宮殿までゴルフカートを改造した観光列車が走っており、€3で利用可能です。
宮殿に向けて坂を登っていくと、徐々にその不思議すぎる外観の全容が目に入ってくるでしょう。
赤、青、黄色…
原色で塗られた各建物は、素人目に見ても建築様式がバラバラなことが一目瞭然です。
こちらの門を抜けると、いよいよペーナ宮殿の入口部分に到着します。
おもちゃの城を満喫!ペーナ宮殿外側
ペーナ宮殿に到着した旅行者が驚くのは、何の統一感もない建物の集まりなのに、なぜか統一感が感じられるという不思議な外観でしょう。
まるでLEGOブロックで組み立てたような外観は、「宮殿」のイメージからは程遠いです。
テーマパークのようにも思えますが、ここはれっきとしたかつての王族の別荘。
ポルトガル人のセンスは、のぶよには深すぎて理解できません(笑)
探検が楽しい正面広場
漆喰の壁が美しい回廊を通り抜けましょう。
宮殿の正面に位置するちょっとした広場からは、ヘンテコ&カラフルな建物が融合したペーナ宮殿の全貌を望むことができます。
ニョキニョキと空に向かって伸びるいくつかの塔には登ることも可能。
緑に囲まれたシントラの大自然はもちろん、遠くに大西洋まで望むことができます。
絶景を望むアーチの庭
ペーナ宮殿の建物には、いくつか通路が通っており、正面広場と裏側のアーチの中庭(Pátio dos Arcos)をつなげています。
このアーチの中庭は、ペーナ宮殿観光のハイライト。
こぢんまりとした中庭ではありますが、その名の通りアラビックな窓のような形をしたアーチが並び、遠く大西洋まで見晴らすことができるのです。
アーチの中庭は観光客に大人気のスポットで、窓枠部分に腰かけて写真撮影に励む人々の姿が絶えません。
アーチの中庭に面した、真っ赤に塗られた建物の内部が小さな礼拝堂部分。
実はペーナ宮殿は、かつて修道院として機能していた場所。
1755年のリスボン大地震によって、その建物はほぼ全壊してしまうのですが、この礼拝堂部分だけは無傷で残っていたと言われています。
せっかく無傷で残った礼拝堂を真っ赤な建物に改築してしまうところに、ポルトガルのやっつけ仕事文化をひしひしと感じるのはのぶよだけでしょうか(笑)
王族の優雅な雰囲気を味わう。ペーナ宮殿内部
おもちゃの城そのままのペーナ宮殿の外観を心行くまで楽しんだら、ぜひとも内部に入場してみましょう。
入口が少々分かりにくいのですが、正面広場西の端にひっそりと入口があります。
宮殿の内部で観光客が立ち入り可能な部分はかなり限られており、敷地の4分の1ほど。
最大の見どころは、360°アズレージョで飾られた中庭でしょう。
アズレージョとは、イスラム美術をポルトガル流に進化させたタイルアートのこと。
タイル一枚一枚を手作業で色付け&焼き上げて、最後に貼り合わせるという製造工程で、なかなかに時間と手間がかかっているものです。
ポルトガルでは「アズレージョで家を飾っている=ステータス」という考え方が現在でも根付いているほど。
特に、外からは見えないキッチンやトイレなどをアズレージョで飾るのは、ポルトガル人おばちゃんあるあるです(笑)
「あえて外に向けて主張はしないけど、さりげなくアピールする」というこの文化、なんだか日本と共通しているような気もしますね。
そういうわけで、王族の夏の離宮であったペーナ宮殿のアズレージョはとにかく素晴らしいの一言。
伝統美術に囲まれた贅沢な空間を、満喫しましょう。
その他にも、かつての王族の居住エリアも公開されています。
ダイニングルームを再現した場所や、ステンドグラスが展示されているコーナーなどがあり、かつてのポルトガル王家の煌びやかな生活が想像できます。
どうしてこうなった?ペーナ宮殿の歴史
現在ペーナ宮殿が建つ場所にもともとあったのは、ペーナ修道院。
ポルトガルが繁栄を極めていた15世紀にの大航海時代に、当時の国王・ジョアン2世が設立を命じたものです。
その後、山の上に佇む修道院は信仰の中心としての役割を担ってきたのですが、1755年に発生したリスボン大地震によって、建物は全壊してしまいます。
その後、19世紀初頭にこの地を訪れた国王・フェルナンド2世は、廃墟と化したかつての修道院に唯一残っていた礼拝堂に感銘を受け、この場所に宮殿を作ることを決意します。
フェルナンド2世は、この場所をポルトガルをはじめ世界中の美しい建築様式を取り入れた夢の城にして、自分やその子孫たちが末永く居住できる場にしようと考えました。
そのため、大航海時代に流行したマヌエル様式や、10世紀頃にこの地に居住していたムーア人の建築様式、ポルトガル美術の根幹を成すアラビア風建築など、とにかく自分が美しいと感じるものを全て取り入れたのです。
こうして完成したペーナ宮殿。
時間や国境を越えた様々な建築様式が融合した、世界でも珍しい建物として、ポルトガル王族の夏の避暑地として利用されてきました。
現在でも、ポルトガルを訪れる外国からの客をもてなす場として現役で利用されているペーナ宮殿。
フェルナンド2世が思い描いた夢の城の物語は、これからも続いていくのです。
ペーナ宮殿のアクセス・基本情報・アドバイス
ペーナ宮殿があるのは、リスボンから電車で40分のシントラ。
他にもたくさんの見どころが点在している町なので、できる限り時間をとって訪れるのがおすすめです。
シントラ駅から434番のバスでペーナ宮殿へ
ポルトガルきっての観光地であるシントラ。
比較的広いエリアに点在する見どころをまわりたいという観光客の要望に応えてか、便利な路線バスが運行されています。
路線バス434番のルート
Scottub社が運行する路線バス434番が、シントラ駅→シントラ中心街→ペーナ宮殿→ムーアの城跡→シントラ駅と左回りに周回しています。
注意したいのが、右回り路線のバスは存在しないこと。
シントラ駅を出発した434番のバスは、シントラ中心街のバス停に停車した後、必ずムーアの城跡→ペーナ宮殿の順に停車します。
ムーアの城跡バス停→ペーナ宮殿バス停間は距離にして数百mなので、二か所をセットで観光する場合はバスを待つよりも歩いてしまった方が早いです。
(しかしながら、ムーアの城跡→ペーナ宮殿間は上り坂です)
インフォメーション
Scottub社路線バス434番
運行頻度:15分~30分に1本(日没後は運行なし)
所要時間:シントラ~ペーナ宮殿前バス停まで20分
料金:片道€3.90(=¥473)
最新の時刻表や料金は、Scottub社公式サイトでどうぞ。
シントラ観光なら、お得な周遊きっぷ購入がマスト!
ポルトガルの一般的なバスの料金と比べると、Scottub社の運賃はかなり高めに設定されています。
シントラの観光スポットを日帰りで周遊する場合は、
“CIRCUITO DA PENA – HOP-ON HOP-OFF”:434番バスのみ一日乗り放題放題(€6.90)
“Turístico diário”:シントラ地域内のScottub社の路線バス全てに一日乗り放題(€15.10)
” Train&Bus”:リスボン~シントラ/カスカイスへの鉄道と、Scottub社の路線バス全てに一日乗り放題(€15.90)
など、いくつか割引チケットが販売されているので、これらを上手に利用するのがポイント。
シントラ駅→ムーアの城跡→(徒歩)→ペーナ宮殿→シントラ駅と2回バスを利用するだけでも、乗車時に1回券を購入するよりも、“HOP ON HOP OFF”の一日乗車券を購入した方が安く済みます。
ペーナ宮殿の営業時間・入場料金・観光のアドバイス
ペーナ宮殿の営業時間と料金
営業時間:夏季9:30~20:00/冬季10:00~18:00
料金:€14(=¥1691)
コンビネーションチケットを上手に利用!
シントラ国立公園内には、ペーナ宮殿の他にも観光スポットが点在しています。
複数の見どころをまわる予定なら、予めコンバインド・チケット(Bilhetes combinadas)を購入しましょう。
ムーアの城跡
ペーナ宮殿
シントラ王宮
など、それぞれ入場料が異なるシントラ国立公園内の6つの観光スポットを自由に組み合わせて、その合計金額から割引が受けられるというシステムです。
・2か所のコンビネーションチケット:合計金額から5%引き
・3か所のコンビネーションチケット:合計金額から6%引き
・4か所のコンビネーションチケット:合計金額から7%引き
というように、多くの場所をまわればまわるほどお得になり、最大で6か所/合計金額の10%引きまでの割引が受けられます。
しかも、このコンビネーションチケットは、発行日より1ヶ月間有効という優れもの。
リスボンに長期間滞在する予定で、シントラに何回か足を運ぶ予定なら、かなりお得だと思います。
購入場所は、各観光スポットの入口前にあるチケットオフィスにて。
「コンバインド・チケット!」と言えばわかってくれます。
ムーアの城跡+ペーナ宮殿のコンバインド・チケットはムーアの城跡で購入を!
シントラで一番人気の観光スポットであるペーナ宮殿は、一年中かなり多くの観光客で混み合います。
自力で歩かなければならないムーアの城跡観光を諦めたヨボヨボの欧米系年配旅行客が集中する(宮殿入口~宮殿までは、ゴルフカートのようなもので登れる)ため、ペーナ宮殿のチケット売り場はかなり混雑します。
シントラ駅から434番のバスに乗ると、ほとんどの乗客がペーナ宮殿まで直行するのがわかるでしょう。
そんな人たちを尻目に、一つ手前のムーアの城跡のバス停で降り、ガラガラのチケット売り場でコンバインド・チケットを購入しましょう。
先にムーアの城跡観光を済ませてからペーナ宮殿に向かえば、再度チケット売り場に並ぶ必要がなくスムーズに入場できます。
ペーナ宮殿があるシントラには他にも観光名所がたくさん!効率よく各スポットをまわるなら、現地ツアーの参加も考えてみてはいかがでしょうか。
混雑激しい路線バスを炎天下の中待たずとも、専用車で移動できるのはかなりのメリットです。
・【プライベートツアー】レガレイラ宮殿と世界遺産シントラ、ペーナ宮殿、ロカ岬 1日観光<車貸切/リスボン発>by[みゅう]
・世界遺産シントラとペーナ宮殿、ユーラシア大陸最西端のロカ岬 1日観光<リスボン発/昼食付き/日本語ガイド>by[みゅう]
おわりに
観光客に大人気のペーナ宮殿の見どころや歴史、アクセス情報などを解説しました。
おもちゃの城のような外観はもちろん、中庭から望む絶景や宮殿の内部の華麗な雰囲気も必見です。
リスボン滞在中の旅行者の多くが日帰りで訪れるシントラ。
その中でも最も人気のスポットであるペーナ宮殿は、一年中混雑が激しいのがネック。
日程が許せば、麓のシントラ中心街(シントラ・ヴィラ)に宿泊して、朝一番にペーナ宮殿を訪れるのがおすすめ。
シントラ地域には他にもたくさんの観光スポットがあるので、きっと充実した滞在となるはずです。
リスボン旧市街にも、ビーチエリアにもアクセスが便利なカイス・ド・ソドレ地区。
シントラ行きの電車が出るロシオ駅(Rossio)にもほど近く、朝早い出発でも楽チン。
可愛らしい町並みと、夏でも比較的涼しいシントラは、古くから王族に愛された避暑地。
昼間こそ観光客であふれますが、夕方~朝にかけては本来の優雅で静かな雰囲気を取り戻します。
数日滞在して、のんびりと点在する観光スポットをまわるのもおすすめです!
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