こんにちは!ポルトガル在住ののぶよです。
ポルトガルの伝統音楽である、ファド (Fado)。
ポルトガルを旅するなら一度は鑑賞したいものです。
発祥はリスボンとされているファド。
ファドを聴くことができるファドハウス(Casa de Fado)は、他の都市ではあまり目にすることがありません。
しかし、ポルトガル中部の都市・コインブラでは話が別です。
コインブラには、リスボンのファドとは趣を異にしたコインブラ・ファドというスタイルが受け継がれているのです。
コインブラの夜の名物であるコインブラ・ファド。
その魅力とコインブラで無料でファドライブが楽しめるおすすめスポット情報を解説します。
ファドってどんな音楽?
コインブラファドの話をする前に、「そもそもファドってどんな音楽なの?」という人のために、簡単に説明します。
ファドは、元々はリスボンの下町であるアルファマ地区(Alfama)で生まれたものです。
当時から庶民の街として栄えていたアルファマ地区には、植民地からやってきた貧しい人々や、船乗りとして働く男たちの家族が多く住んでいました。
決して楽とは言えない日々の暮らしの中で、「憂鬱さ」「郷愁」「愛する人に会えない寂しさ」などの言葉にしにくい複雑な感情 (サウダーデ) を「ファド」という形で歌ったことが始まりだと言われています。
その魅力は、独特な哀愁漂う音色と歌唱に尽きるでしょう。
ポルトガルギター (Guitarra portugesa)というポルトガル独特のギターが奏でる音色はとてもノスタルジック。
そこに歌い手 (Fadista) のこぶしがきいた声が合わさって、「悲哀」「郷愁」「絶望」「愛情」などなんともいえない感情のうねりが、聞き手の中にまで押し寄せてきます。
例えるなら、日本の演歌のようなものだと思ってください。
隣国のスペインの伝統音楽・舞踊であるフラメンコが、悲しさの中にも明るい希望がこもっている「陽」の要素が強いのに対して、ポルトガルのファドはとにかくノスタルジックで「陰」の要素が強いです。
できればどちらも鑑賞して、自分なりの感想を持っていただきたいです。
コインブラファドの特徴
コインブラファドの特徴 1:歌い手は男性のみ!
コインブラファドがリスボンのファドと区別される一番の特徴は、歌い手が男性であるという点でしょう。
リスボンのファドでは、歌い手は基本的に女性です。
そもそもの発祥が、海に出て帰ってこない夫に恋焦がれる気持ちから生まれたものなので、当然と言えば当然。
そのため、リスボンのファドはかなり悲しく、暗めな曲が多いです。
一方で、コインブラのファドは少し明るめな曲調が特徴。
コインブラファドの歌い手のほとんどは、現役のコインブラ大学の学生や卒業生なのです。
中には大学生活をポップに歌い上げる、ファドらしからぬ曲などもあるほど。 (とはいってもやっぱりどこか哀愁は感じる)
コインブラファドの特徴 2:観客参加型のライブ
コインブラファドのもう一つの特徴は、観客も手拍子したり曲を口ずさむ「観客参加型」であることです。
リスボンのファドハウスでは、これらはご法度。
「ファドの演奏中はお静かに」とわざわざ開演前に注意をされるほどで、演奏中にはファディスタの歌声とギターの音色だけが響き渡ります。
リスボンのファドは、「見て・聴いて楽しむもの」なのです。
対するコインブラのファドは、お客さんが知っている曲を普通に口ずさんでいたり (「口ずさむ」というより普通に「歌っている」人が多かった)、演奏中でも普通にみんなしゃべっていたり、歌い手から手拍子を求められたら応えたりとかなり自由。
コインブラのファドは、「その場のみんなで楽しむもの」なのです。
コインブラファドのライブを無料で楽しめる!おすすめスポット
今回のぶよがファドを聞きに行ったのがこちら。“Café Santa Cruz”。
コインブラ旧市街の中心である5月8日広場に面して建つサンタ・クルス修道院。
その横にあるカフェレストランで、内部はかつての教会部分を改装したもの。かなり雰囲気があります。
こんな所でファドを鑑賞できるなんて…それだけで感動。
のぶよは一人で行ったのですが、全然敷居は高くありません。
むしろ気軽に入れます。
飲み物・食べ物ともにポルトガルの平均価格より少し高いくらいでした。
(ビール0.5ℓで€3.5)
安く済ませたいなら、コーヒー一杯だけでもファドライブが鑑賞できるという神がかったシステムです。
開演時刻は18:00~だったのですが、その時点からやっと席が埋まり始めました。
もちろん誰も時間通りに始まるとは思っていないのがポルトガル。
結局20分ほど遅れて、いよいよコインブラファド、スタートです。
ポルトガルギターの音色、歌い手の力強くも儚げな歌声、それに合わせて各々曲を口ずさむ観客。
とにかく素晴らしかった!
前述の通り、リスボンで聴いたファドに比べると明るく、少しテンポが速い曲が多かったのが印象的です。
30分ほど続いて、ファドライブは終了しました。
「これ、本当に無料でいいの?」というクオリティーでした。
観光客の姿はまばらで、ポルトガル語を話す地元の家族連れやカップルが多かったのも印象的でした。
みんな知っている歌があったら歌っていましたし。
リスボンのファドライブの観客はほとんどが観光客だったりするので、ローカルに交ざってポルトガルの伝統音楽に触れたいなら、コインブラはかなりおすすめです!
インフォメーション
“Café Santa Cruz”
住所:Praça 8 de Maio, 3000-300 Coimbra
営業時間:8:00~0:00/毎日
ウェブサイト:http://www.cafesantacruz.com/ (ポルトガル語のみ)
ファドライブ
スケジュール:不定期で週末に開催 (18:00~、22:00~)
料金:無料
ポイント:スケジュールはウェブページの”agenda”の欄で確認するか、コインブラの観光案内所で確認することも可能。
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