こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
ポルトガル本土から西に1000km以上、大西洋に浮かぶアゾレス諸島は「大西洋の楽園」と呼ばれるほどの雄大な自然を誇る火山島。
当ブログでもアゾレス諸島に関する記事をいくつか書いていますが、日本人にはほとんど知られていない秘境であるため、「こんな景色があったなんて…!」という感想をいただきます。
(ありがとうございます!)
アゾレス諸島の一番の魅力はその大自然にありますが、長い歴史の中で育まれた独自の文化を象徴する見どころも魅力的です。
その一つが、今回紹介するオルタ港(Marina da Horta)。
ポルトガルでは結構有名なスポットで、「世界一カラフルな港」なんて言われることもあるほどです。
実際にアゾレス諸島旅行で立ち寄ったのですが、カラフルなペインティングに覆われた港の風景はとてもフォトジェニック。
写真を撮る手が止まらなくなるほどでした。
オルタ港が素晴らしいのはこのポップな風景だけではありません。
このカラフルな港がどうしてできたのかを知ると、一つ一つのペインティングにエモすぎる物語が詰まっていることに気づかされます。
「世界一カラフルな港」オルタ港とは
オルタ港があるのは、アゾレス諸島の9つの島の一つであるファイアル島(Ilha de Faial)。
島の玄関口であるオルタ(Horta)の町の中心街にある、ヨットや小型船が停泊する用のマリーナのことを指します。
アゾレス諸島がポルトガル人によって発見されたのは、大航海時代初期の15世紀半ばのこと。
大西洋の真ん中にぽつりと浮かぶ地の理を活かして、ポルトガルがアフリカやアジアへと進出する際の重要な中継地点となりました。
大航海時代が終焉した後も、ずっとポルトガル領のままであったアゾレス諸島。
9つの島全てが火山活動によってできたものであるため、海岸線は断崖絶壁であることが多いのですが、オルタの町は比較的港を造るのに適している地形だったため、発展を続けます。
大航海時代から500年が経った20世紀は、個人が自由に旅行できる時代の始まり。
このころからオルタの町は、大西洋をヨットなどで横断する旅人や冒険家が必ず中継地点とする場所としてポピュラーになっていきます。
(というか、大西洋上で他に物資などを調達できる場所が全くない)
こうして、ヨーロッパから北米・南米大陸を目指す西周りの旅人と、反対方向でヨーロッパにやってくる東周りの旅人がめぐり合う場所として、インターナショナルな港町としてのオルタ独特の雰囲気が形成されました。
町を代表するカラフルなマリーナの風景は、世界中の冒険家や旅人が自分たちの船旅を記念してペインティングをしたもの。
出身国の国旗や仲間の名前、航路を描いたものから、アーティスティックすぎてよくわからないものまで。
オルタ港のペインティング一つ一つに、大西洋を船で渡った旅人たちの思い出や物語が詰まっているのです。
オルタ港にある旅人たちの夢の跡がエモい
ただ訪れるだけでは「うわーカラフル!」で終わってしまいかねないオルタ港。
しかし、一つ一つのペインティングに込められた情熱やストーリーを感じながら見学すると、かなりのエモさに包まれます。
オーストラリアからアイルランドまでの航海をした人の作品。
太平洋を横断して、パナマ運河を渡って大西洋へ。
とても夢のある旅だと思います。
様々な国の人々が、それぞれの思いを胸に抱いていた旅の1ページにお邪魔している感覚になります。
カナダのケベック州からやってきた人も。
“Solo”ということは、おそらく一人で大西洋横断に挑んだのでしょう。
灯り一つない大海原の真ん中で、たった一人で何日も過ごすなんて、相当大変だったのではないでしょうか。
幻想的なデザインも素敵です。
我らが日本の代表も。
お名前を見るに、カップルで大西洋横断でしょうか。素敵すぎます!
こんな地球の裏側に日本人がやってきてたなんて(しかもヨットで)…。
尊敬とともに嬉しさがこみ上げます。
オルタ港に描かれた旅人たちの思い出は、永遠に残るわけではありません。
ご覧の通り、雨風を遮るものは何もないため、時間が経ったペインティングは徐々に薄くなり、最後には消えていく運命にあります。
先人が残した作品が消え、新しい冒険者の作品が上書きされるということが、きっとずっと昔から繰り返されてきたのでしょう。
例え作品が消えようとも、壮大な冒険の思い出は消えることはないはず。
古い思い出に代わり、また別の物語が紡がれる場所として、オルタ港は今日も新しい冒険者が到達するのを待ち続けているのです。
おわりに:世界中の冒険者たちが集まる酒場もおすすめ
港の地面や防波堤一面に描かれたカラフルなペインティングが素晴らしいオルタ港を紹介しました。
一つ一つの作品を見て、彼・彼女らの旅に思いを馳せていると、いつの間にか数時間が経過しているというミステリースポットでもあります(笑)
きっと今ではまた新しい作品が追加されているはず。
さらなるエモさのペインティングを発見した方は、どうぞご一報ください!
冒険者気分を味わいたいなら、港のすぐ向かいにある“Peter’s Cafe Sport”というパブに足を運んでみるのもおすすめです。
1918年創業という歴史あるお店は、昔から大西洋をヨットで横断する旅人の聖地として有名な場所。
東周り・西周りそれぞれのルートで旅する人々の出会い&情報交換の場所として現在でも機能しているのです。
まるで一昔前の映画みたいな話じゃありませんか。エモすぎる。
わざわざアゾレス諸島にまでやってくる旅人は、国籍や年齢、旅のスタイルなど関係なくみんな友達という意識が強いのも特徴。
きっと心温まる出会いが待っていることでしょう。
ファイアル島の中心の町であるオルタは、市内観光にも島内観光にも便利。中世の要塞を改装したポサーダや、家族経営のペンションなどが点在しており、好みのタイプの宿がきっと見つかります!
コメント