こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
ポルトガル本土から西に1000km以上離れた大西洋に浮かぶアゾレス諸島の記事を書いている今日この頃。
今回からはピコ島(Ilha do Pico)編です。
可愛らしい響きの「ピコ(Pico)」とは、ポルトガル語で「山頂」の意味。
その名の通り、島を守るように悠々とそびえ立つピコ山がシンボルの美しい島です。
このピコ山の火山活動によってできた島は、溶岩を利用した真っ黒な石垣に囲まれた畑でのブドウ栽培が盛んです。
このブドウから製造されるピコ島ワイン(Vinho do Pico)は島を代表する名産品となっており、ポルトガル本土でもかなりの知名度を誇るほど。
島中に見られるこの黒い石垣が作り出す独特の景観は、ユネスコの世界遺産にも指定されています。
今回紹介するのは、ピコ島の北側の玄関口となるフェリー港を有するサン・ロック(São Roque)の村。
島のどこへ行くにも便利な場所にあり、中世の修道院を改装したポサーダ兼ホステルもあるので、ピコ島観光の拠点としてかなりおすすめの村です。
海を目の前に望むサン・ロック村の風景と他の旅人との出会いは、きっとピコ島の旅を忘れられないものとしてくれるでしょう。
記事後半では、ピコ島の島内交通や他の島へのアクセスに便利なフェリー港情報を解説しています。
サン・ロックの見どころ
サン・ロック村は、アゾレス諸島の典型的な海沿いの村といった雰囲気。
特に目立った観光スポットはないものの、後述する修道院ホステルをはじめ食堂や商店が点在しており、東西に長い島の真ん中に位置しているので、ピコ島観光の拠点としてはこれ以上ないほどに便利な場所です。
お隣のサン・ジョルジュ島やファイアル島とを結ぶフェリーが発着する港があるので、旅行者的にはピコ島の玄関口となる場所でもあります。
サン・ロック観光マップ
黄色:バス停
青:見どころ
紫:修道院ポサーダ&ホステル
赤:レンタカー店
サン・ロック中心街
ピコ山を間近に望むサン・ロックの中心街は、かつての修道院を中心に数十軒の民家が建ち並ぶだけの素朴な雰囲気。
海沿いの道路が村のメインストリートで、商店やレストラン、観光案内所などは全てこの付近に位置しています。
サン・ロックの散策で注目したいのが、道路や歩道の独特な色。
これはピコ島名物の溶岩を利用したもので、その独特な色合いに「火山の島」を感じさせられます。
真っ黒な石が敷き詰められた道路や歩道のせいか、とてもシックな雰囲気が感じられるサン・ロック中心街。
100mほどで民家が建ち並ぶエリアが終わってしまうほど規模が小さなものですが、独特な雰囲気の中での散策が楽しめます。
フロレスタル・ド・ピコ天然プール
アゾレス諸島のほとんどの島に整備されている天然プール。
天然の岩場に海水を引いて作られたものです。
サン・ロック中心街には、フロレスタル・ド・ピコ天然プール(Piscina natural de Florestal do Pico)があり、そのダイナミックな風景は一軒の価値があります。
大西洋の強い波を、うまく岩場に引き込んだプールの水質は素晴らしく、魚たちと一緒に泳ぐことができます。
上級者向けなのか、もはやプールというよりも「大海原と梯子だけ」という場所もあります。
遠くに見える島影は、ピコ島の北に位置するサン・ジョルジュ島のもの。
ダイナミックな風景を眺めながらの海水浴が楽しめます。
海の道
サン・ロック村からのおすすめ散歩コースが、海の道(Avenida do Mar)と呼ばれるエリア。
村の東側に1.5kmほど整備された海沿いの道路で、ピコ島らしい真っ黒な火山岩が連なる海岸線と、美しい内陸部の風景を眺めながら散策することができます。
入り組んだ岩場は地元の人の釣りスポットとなっているよう。
釣り竿を持った人たちを多く見かけました。
海と反対側に目を向けると、ピコ島名物の溶岩を使った石垣と畑がどこまでも続く風景が広がります。
ラザ岬
海の道の途中にあるのが、赤い風車が目印のラザ岬(Ponta da Rasa)。
ピコ島では、かつて至る所で見られた風車。
現在では西部にいくつか残るのみとなっています。
こちらはもともとあった風車をリノベーションしたもので、比較的新しい感じがします。
風車周辺からは隣のサン・ジョルジュ島を一望する絶景が広がっているのでお見逃しなく!
サン・ロック天然プール
海の道の東端に位置するのがサン・ロック天然プール(Piscina natural de São Roque)です。
先述の村の中心部の天然プールをさらにワイルドにした感じで、天然の岩場を利用した湾のような地形の中を泳ぐことができます。
プールサイドには飲み物や軽食を提供するスタンドがあるので、広大な景色を眺めながら一杯やるのもいいかもしれません。
修道院を改装したポサーダ&ホステルに宿泊!
サン・ロックの、というかピコ島の宿泊にぜひおすすめしたいのが、中世に建てられた修道院を改装したポサーダ(Pousada)と呼ばれる宿泊施設。
もともとはサン・ペドロ・ドゥ・アルカンタラ修道院(Convento de São Pedro de Alcântara)だったこちらの建物は、低予算のバックパッカーにも嬉しいドミトリータイプの部屋がある“PJA – Pico Youth Hostel”という宿泊施設になっています。
中世そのままの中庭や回廊が残されており、キッチンも完備されています。
料金もかなりリーズナブルなので、予算を抑えながらの滞在には最適だと思います。
島唯一のホステルということもあって、いろいろな国からやってきた旅行者が集まる場所であるのも特徴的。
レンタカーを借りている人も多いので、気が合えば「明日一緒に島をまわってみない?」なんてことにもなります。
足がない個人旅行者にはかなり難易度が高いピコ島周遊観光ですが、誰かと一緒に周ればレンタカー代やガソリン代をシェアすることも可能です。
なにより、有名な観光スポットではない大西洋の孤島にまでわざわざやってきて、ホステルに泊まろうと考える旅行者は、みんな良い人ばかり。
間違っても、アゾレス諸島は若者がパーティーをしにやってくるような場所ではありませんから(笑)
(平均年齢も結構高めで、30代~50代くらいの落ち着いた人ばかりでした。)
きっと忘れられない出会いや思い出ができるかもしれない、修道院ホステル滞在。
修道院らしい中世の雰囲気も、テラスから眺める大西洋の風景も、温かい人々との出会いも、全てにおいておすすめですよ!
ピコ島交通ガイド
ピコ島の島内交通
ピコ島の島内交通は、バスが2路線だけととってもシンプル。
しかしながら本数はかなり限られており、個人で観光する旅行者にとって便利とは言えません。
青線:路線バス南ルート
路線バスの北ルートは、島の北海岸沿いを走る路線。
マダレナ(Madalena)~空港~サン・ロック~リベイリーニャ(Ribeirinha)~ピエダーデ(Piedade)
というルートを1日1往復しています。
路線バスの南ルートは、島の南海岸を走るもの。
マダレナ~ラジェス(Lajes)~ピエダーデ~リベイリーニャ
というルートを1日1往復しています。
いずれのルートも1日1往復しかバスが走っていないため、観光の足としてはかなり不便です。
のぶよ的には、レンタカーやレンタルバイクを利用するのがおすすめです。
レンタカー/レンタルバイク
ピコ島観光を100%満喫したいなら、レンタカーやレンタルバイクを借りるのが一番でしょう。
フェリー港があるサン・ロックと島西部のマダレナ(Madalena)にはレンタカーショップのオフィスがいくつかあり、どこも同じような料金です。
のぶよの場合は、上の写真の“Rent-a-car Oásis”というお店で50ccの原付バイクを借りました。
ピコ島は隣のサン・ジョルジュ島に比べるとそこまで急な道が多くないので、原付でも十分走れました。
このお店はアゾレス諸島では珍しくウェブサイトがあり、ネット予約することも可能です。
のぶよの場合、ハイシーズンではない9月にホステルの宿泊客の紹介で直接レンタルしたので、かなり安くしてもらえました。(だからこうしてブログですすめているわけです(笑))
ピコ島の2つのフェリー港
アゾレス諸島では、フェリーが発着する港は島に一つだけということがほとんど。
しかしながら、ピコ島の場合は二つのフェリー港があり、いずれも現役で使用されています。
ピコ島を発着するフェリーは、上の地図内で表示している2路線のみ。
いずれの路線もファイアル島~ピコ島~サン・ジョルジュ島を結んでいる点では同じですが、ピコ島内での発着港が異なります。
どちらの路線もアゾレス諸島の島々を結ぶフェリー会社・Atlânticolineによる運航で、曜日や月によって、どちらのルートをとるか異なるので要注意。
つまり、月曜は黄色ルート、火曜は緑ルート…というように日々路線が変わるのです。
先述の通り、マダレナ港~サン・ロック港を結ぶピコ島内の路線バスは1日1本ととても不便。
万が一ピコ島で目的地と異なる港に到着してしまうと、もう一つの港までの移動手段はタクシーしかありません。(しかも台数は少ない)
ピコ島から/へのフェリーを利用した旅行計画を立てる際は、二つの港のどちらを発着するのか確認をお忘れなく。
おわりに
ピコ島観光&滞在拠点として便利なサン・ロックの見どころや、おすすめ修道院ポサーダ、島内交通までを解説してきました。
アゾレス諸島観光のハイライトとしてこの島を挙げる旅行者も多いほど、隠れた人気を誇るピコ島。
海水浴や登山などのアクティブ派にも、のんびり海と世界遺産のブドウ畑を眺めたい派にも、どちらのタイプの旅人にもおすすめできるこの島の魅力を、もっと多くの人に知ってもらえればと思います。
ピコ島観光のハイライトであるピコ山に登頂するなら、ガイド付きツアー参加がおすすめ。登山口までの往復交通手段はもちろん、経験豊富なガイドが一緒に山頂まで登ってくれるのはとても安心です。
名物の山頂での朝日鑑賞を見るためには、前泊するツアーへの参加が必須となります。
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