こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
アゾレス諸島のサン・ジョルジュ島観光に関する記事をいくつか書いてきましたが、今回でそれも最後。
サン・ジョルジュ島東部の見どころに焦点を当てていきます。
東西に細長い形のサン・ジョルジュ島の中でもアクセスが不便なこの地域は、この島独特のファジャン(Fajã)と呼ばれる地形に小さな村々が点在するエリア。
ファジャンとは、断崖絶壁の海岸線沿いに砂や石が堆積してできた小さな平地のこと。
サン・ジョルジュ島では至る所で見られ、その独特のダイナミックな景観は息を呑むほどの美しさです。
サン・ジョルジュ島東部で忘れてはならないのが、島名産のコーヒー。
アゾレス諸島で唯一、コーヒーのプランテーションが行われており、その香り高い味わいを求めて多くの人が足を運ぶのです。
というわけで、今回の記事はサン・ジョルジュ島東部の小さな村々を巡りながら、名物のコーヒーを味わうデイトリップについて。
言葉を失うほどの絶景の数々と素朴な村の風景、海を眺めながらのコーヒーの味にもきっと大満足できるはずです!
サン・ジョルジュ島東部観光マップ
赤:おすすめローカルレストラン
サン・ジョルジュ島東部の中心地!カリェタ
サン・ジョルジュ島東部観光のスタート地点は、島で二番目に大きな村であるカリェタ(Calheta)。
フェリー港がある島の中心・ヴェラシュ(Velas)とは路線バスで結ばれています。
カリェタには数軒の食堂や商店があり、格安で宿泊できるホステルもあるので、観光の拠点としても便利な場所。
海を挟んだ隣のピコ島(Ilha do Pico)のパノラマを眺めながらの落ち着いた滞在にはぴったりな村です。
村の外れには、岩場を利用した天然プールも。
お隣のピコ島の島影を眺めながらのスイミングが楽しめます。
島名産コーヒーの産地!ファジャン・ドス・ヴィムシュ
サン・ジョルジュ島東部の観光のハイライトとなるのが、島名産のコーヒーを味わうこと。
ファジャン・ドス・ヴィムシュ(Fajã dos Vimes)という人口70人ほどの小さな村でのみ作られている貴重なコーヒーで、ポルトガル人の間では超有名なもの。
このコーヒーを味わうために、わざわざサン・ジョルジュ島までやってくる人もいるほどだそうです。
収穫から焙煎まで全て手作業で行われるこのコーヒーは、カフェ・ダ・ファジャン(Café da Fajã=「ファジャンのコーヒー」)と呼ばれ、ある家族が製造し始めたもの。
それが、こちらのカフェ・ヌヌシュ(Café Nunes)を経営するヌヌシュさん一家です。
サン・ジョルジュ島のコーヒーが特別なのは、ヨーロッパで唯一のコーヒープランテーションから収穫される、完全無農薬・自然栽培のコーヒー豆を用いる点。
こちらのご主人のご先祖が、18世紀にブラジルに移民として渡った際に現地のコーヒーの苗を手に入れ、一株島に持ち帰ってきたことが始まりだそうです。
一般的に乾燥した寒冷地帯が多いヨーロッパ大陸の気候はコーヒー栽培には不向きなのですが、「常春」と称されるほどに一年中温暖で雨が多いアゾレス諸島の気候は、コーヒーの栽培にとても適しているそう。
また、サン・ジョルジュ島のファジャンという崖に囲まれた独特な地形も、コーヒー栽培に適した湿度を逃さないことに一役買っているのです。
現在でも、収穫・乾燥・焙煎まで全てが手作業で行われているプレミアムなコーヒー豆。
Café Nunesでは、そんな貴重なコーヒー豆で淹れたコーヒーをエスプレッソで味わうことができます。
コーヒー通からは程遠いのぶよですが、その独特な深さは香りを嗅いだだけでわかるほど。
一口味わうと、一般的なコーヒーよりもかなり強い風味が口の中いっぱいに広がります。
後味もとてもさわやかで、ほど良い酸味が口の中に残る程度。
本当に美味しいコーヒー。さすが、有名なだけあります!
希望すれば、店舗兼自宅の裏にあるコーヒー農園の見学をさせてもらうことも可能。(ポルトガル語が必要かも)
店主の奥様はこの地域伝統のTapetesと呼ばれる織物作りの名人だそうで、作業の様子を見学することもできます。
コーヒーの収穫時期は、5月~9月にかけて。
それ以外の時期は、袋詰めされた豆を利用するそうなので、収穫・焙煎されたばかりのコーヒーを味わいたいなら、収穫の時期にあわせての訪問がおすすめです。
知る人ぞ知る秘境!ファジャン・ドゥ・サン・ジョアン
絶品のプレミアムコーヒーを味わったら、島をさらに東へと進んでいきましょう。
いくつかの小さな村が点在していますが、ぜひ訪れてほしいのがファジャン・ドゥ・サン・ジョアン(Fajã de São João)という村。
その名が表すように、この島独特の地形であるファジャンの上にひらけた小さな集落です。
漆喰で塗られた村の教会は、アゾレス諸島伝統の建築様式。
すぐそばに見える海と、断崖絶壁の海岸線を見下ろすように建っています。
まるで時が止まったかのような村の風景も大きな魅力。
ポルトガル本土ではあまり見られなくなった電線や木製の電信柱がとても良い雰囲気を醸し出しています。
その独特な地形から、海岸線伝いにアクセスすることはできないファジャン・ドゥ・サン・ジョアンの村。
内陸部の崖の上に敷かれた幹線道路からの分岐を下っていくのですが、その途中にある展望台から眺める村の風景は感動ものです。
島の最東端!トポ
サン・ジョルジュ島最東端に位置するトポ(Topo)の村が、今回のデイトリップのゴール地点。
村の名物は、岬に建つ白亜の灯台と、沖合に浮かぶトポ島(Ilhéu do Topo)の二つ。
眩しいほどに真っ白なトポ灯台(Farol do Topo)は、大西洋を望む小高い丘の上に建っています。
トポ灯台付近からは、目と鼻の先に浮かぶトポ島(Ilhéu do Topo)を見渡すことができます。
ご覧の通りの無人島ですが、島の周辺の海には多くの動物が生息しており、自然保護区域に指定されています。
トポの村の外れには、大西洋を目の前に望む天然プールが整備されており、クールダウンにはもってこい。
大西洋の波をうまく引き入れた海水のプールで、夏場は多くの島民がやってくる場所です。
ダイナミックな風景を存分に堪能したら、サン・ジョルジュ島東部のデイトリップも終了。
スタート地点のカリェタまでは来た道と同じ一本道を戻るだけです。
トポで見つけた、コスパ抜群のおすすめ食堂
せっかくここまで足をのばしたなら、島の名物グルメが味わえるローカル食堂で腹ごしらえしていくのもおすすめです。
のぶよが利用したのは、トポの中心街にある“O Caseiro”という家族経営の小さな食堂。
もはや観光客などほとんど来ないトポの村なので、完全なるローカル向けのお店です。
一般的なポルトガルの食堂では、”Prato do dia”という日替わり定食が数種類用意されていて、その中から好きなものを選ぶスタイルが普通。
しかしながら、こちらのO Caseiroでは、数種類のスープ・サラダ・メインなどを好きなだけとって食べることができるビュッフェスタイルなのです。
メイン料理は全て、ポルトガル本土では食べられないアゾレス諸島の名物料理ばかり。
この日は、
Torresmos de Cabinho:豚の脂身の煮込み
Polvo guisado:タコの煮物
など数種類のメインが用意されていました。
もちろん全て手作りで、味はお墨付きです。
ポルトガル語しか通じないものの、家庭的な雰囲気のおばちゃんたちが温かく迎えてくれるはずです。
サン・ジョルジュ島東部の交通/まわり方
サン・ジョルジュ島全体に言えることなのですが、公共交通手段が絶望的に発達していないため、個人で車なしでまわるのはかなり難易度が高いです。
島東部のカリェタ~トポ間の交通はさらに不便で、1日1往復の路線バスがあるのみ。(地図内青線)
しかも路線バスのスケジュールはとても不便なもの。
・朝:トポ→カリェタ→ヴェラシュ
・夕方:ヴェラシュ→カリェタ→トポ
の一往復のみで、旅行者的には利用価値はゼロです。
サン・ジョルジュ島観光を満喫したいなら、レンタカー/レンタルバイクなどを利用することを強くおすすめします。
おわりに
壮大な絶景と素朴な村々、名産のコーヒーを味わえるサンジョルジュ島東部の観光情報を解説しました。
個人ではなかなかまわりづらい地域ですが、足をのばす価値は十分にあります。
フェリー港があるヴェラシュに宿泊しながらの観光も良いですが、カリェタを拠点とするのもおすすめ。
サン・ジョルジュ島北海岸の見どころへのアクセスにも便利なためです。
日本人にはまだまだ知られていない、「大西洋の楽園」アゾレス諸島を代表する絶景が目白押しのサン・ジョルジュ島。
一生心に残る風景が見られることをお約束します!
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