こんにちは!海外在住七年目、現在はジョージアに滞在中ののぶよ(@nobuyo5696)です。
FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSを通して、多くの情報がやり取りされる現代社会。
「ニュースはほとんど見ないけど、SNSに流れてくる情報で最新情報をチェックしてる」なんて人も多いのではないでしょうか。
SNSはとても便利。
指一本を動かすだけで世界中で今起こっているあらゆることを流し読みすることができます。
また、SNSで人々が声を上げることによって、政治や国の未来が変えられる可能性だって秘めています。
が…。
それ、正直危険です。
誰もが自由に発信でき、情報を拡散でき、気になる情報をチェックできるということは、その分何の根拠もないデマが広がりやすいということでもあります。
かつては口コミの噂が徐々に広がっていくという形だったものが、インターネットを通すことで何万倍も速く拡散されるようになりました。
このようなデマやフェイクニュースを見極める力を全ての人が持っていれば良いのですが、そうもいきません。
そもそも私たち人間は、デマを信用しやすい生き物。
歴史を少し見返しても、
関東大震災のデマをきっかけに起こった朝鮮人虐殺事件
反ユダヤ感情や噂をベースにしたナチス・ドイツによるユダヤ人迫害
など、民衆が根拠のない噂や先入観にしたがった結果としてたくさんの悲劇が起こりましたよね。
インターネットやSNS上での誹謗中傷や、フェイクニュースを信じた人々によるお門違いの批判などが社会問題となっている今日この頃。
人ひとりの命を左右することだってある「言葉の力」や「集団心理」の恐ろしさを人々が意識し始めたようにも思います。
あなたの「気軽なシェア」が何の根拠もない嘘情報だった場合、そしてそれが思わぬ不幸な結果につながってしまった場合、デマを流した人の責任はもちろんありますが、それをシェアして加担してしまった人にも責任がないとは言えません。
そうならないためにも、SNSとの上手な付き合い方を知っておくに越したことはないでしょう。
以前は、のぶよも以下のようなお決まりの流れに飲み込まれていました。
「え?なにこれ?こんなことが起こってるの?!」→即反応&シェア→後でデマだったことがわかる
しかし少し手間をかけるだけで、その情報が正しいかどうかを簡単に見極められることに気が付きました。
今回の記事では、Twitter上で広まったあるデマ情報を例にして、SNSでフェイクニュースや嘘を見分ける3つのステップを解説していきます。
「日本のニュースなんかあてにならない!海外のニュースが全て!」なんて偉そうなことは言いません。
とっても簡単にできることなので、ぜひ意識していただければ嬉しいです。
これは騙される!Twitter上の「日本が訪日外国人に金銭的援助」というデマ
この記事を書こうと思ったきっかけが、コロナウイルスによる非常事態宣言が解除されつつある2020年5月末、インターネット上で拡散されたある情報をめぐる一部始終を目の当たりにしたことでした。
Twitter上で「日本政府が7月以降に来日する外国人観光客に対して、旅費の半額を負担することを決定した」という情報が出回ったのです。
「まだウイルスの収束もしていない状況でどうして外国人を受け入れるんだ!」
「外国人観光客に金をばらまくより、日本国民の生活を保障する方が先なのでは?」
など、おおむね否定的なコメントとともに拡散され、7000回以上もリツイート(他者の投稿を引用して、自分と繋がっている人たちに拡散すること。以後「シェア」と同義)されました。
このフェイクニュースのツイートの巧妙なところは、以下の3点です。
「スロバキアの友人」経由の海外の情報であると明記している
「12.5億ドル」という具体的な数字を出している
ソースとなる記事(スロバキア語)へのリンクを貼っている
何も知らない状態で見ると、「政府が国民に隠して行っていることを海外メディアが報じている!」と短絡的に考えてしまう人が多かったのも無理はないでしょう。
案の定、コメント欄(現在は見られなくなっています)は地獄のように怒り狂った人たちの政府批判・中国批判・罵詈雑言に満ち溢れていました。
でも、ちょっと考えればわかりませんか?
コロナウイルスによる日本への入国制限が全く解除されていない状態で、外国人観光客への補助金制度ができるわけがないことに。
このツイート主さんは、あえて嘘の情報を広めようというつもりで発信したわけではおそらくないと思います。
単純に「スロバキア人の友人から、それっぽいサイトを見せてもらって、驚いて発信した」といったところだったのではないでしょうか。
冷静に考えればフェイクニュースだとすぐにわかりそうなものでも、大勢の人が「いいね」やシェアしていたり、その件に関して意見を発信したりするのを見るうちに、だんだんとそれが真実であるかのように感じてしまうのは私たち人間誰にもに起こりうること。
今回紹介したのは単なる一つの例。
こんなあやふやな情報が独り歩きしがちなのがSNSという世界なのです。
SNSのフェイクニュース・嘘を見分けるたった3つのステップ
今回の件のように、冷静に考えればあからさまにフェイクニュースでもだとわかるものでも、これだけ多く拡散され、まるでそれが真実であるかのように議論されるのです。
もしこれが、民衆を煽ろうと意図してより巧妙に書かれたフェイク記事だった場合は、それこそ書き手の思うがままとなってしまうでしょう。
ではどうすれば、ありとあらゆる情報があふれるSNSやインターネットの世界で、正しい情報だけを選ぶことができるのでしょうか。
実はSNSに流れてくるフェイクニュースを見分けるのは結構簡単。
たった3つのステップをふめば良いだけです。
1. 投稿内の情報の根拠となる元ネタのソース(記事や動画)に目を通す
2. その元ネタのソースの根拠となるソース(元ネタの元ネタ)を見る
3. 公式アカウント、公式サイトでオフィシャルな情報を確認
先ほどの「訪日観光客への補助金デマ」を例にしながら、各ステップについて詳しく解説していきます。
ステップ1:元ネタのソース(記事・動画etc)を見る
ワンクリックで簡単にできるのが、TwitterやFacebookの投稿内に引用された元ネタの記事や動画などのリンク先を見ること。
「そんなの、皆しているでしょ?」と思うでしょう。
実は、そんなことは全くありません。
この最初のステップすら踏まずに、投稿内に書かれた情報をそのまま鵜呑みにして拡散する人がとっても多いのです。
疑ってかかるべき、SNSで流れてくるコンテンツ
元ネタのリンクが貼られていない「~らしい、~だそうだ」系の投稿
→もはや論外。信じるに値しません。
テレビ番組などのワンシーンを撮影したキャプション
→テロップ(字幕のようなもの)で断片的な情報しか得られないので、前後の流れがわからないため、勝手な憶測でデマにされやすいです。
「へえ~、知らなかった~」で気軽に拡散する人たち
FacebookやTwitterなど拡散機能のあるSNSをしている人なら経験があるでしょうが、投稿内容に共感したり、添付された写真が綺麗だと思った時、特に後先を考えることなく「いいね」や「シェア」をしますよね。
それ自体は悪いことでは全くありません。
「自分が知らなかった情報を、自分とつながっている人たちとも共有したい」という感情こそがSNS利用の原点だと言えるでしょう。
問題なのは、それが単なる趣味に関する投稿や写真ではなく、誤解されて伝わると社会的な問題が生まれる情報だったり、政治経済に関するデリケートな情報だった場合。
今回の政府の補助金に関する嘘のニュース
「トイレットペーパーがなくなる」と人々の不安をあおるようなデマ
個人情報が漏れたり風評被害を受けかねないコロナウイルス感染者情報
などがこれに当たります。
「へえ~知らなかった~皆にも広めよう!」と、きれいな風景の写真やクスっと笑える投稿をシェアするのと全く同じ感覚で、根拠も何も確認しないままに、嘘か本当かも定かではないニュース情報を拡散する人、正直かなり多いのではないでしょうか。
元ネタが明らかに信ぴょう性のないまとめサイトの場合には注意
というわけで、「え、本当にそんなことがあるの?」と疑問を少しでも感じたなら、イイネやシェアする前に、自分自身でその情報が正しいのか確認しなければなりません。
投稿に引用されたリンクをクリックすれば、根拠となるニュース記事やブログ記事などに飛ぶことができます。
この時にまず疑ってかかるべきなのが、
引用元の記事が明らかに嘘だとわかるトンデモな場合
断片的な情報を切り貼りしただけのまとめサイトやキュレーションサイト
話題になっている投稿などをまとめただけのトレンドブログ
これらが投稿の根拠とされている場合は、かなり怪しいです。
アクセス数目的で、とにかく誇張してインパクトのある記事を出しているサイトは非常に多いので。
今回の訪日外国人補償金デマのソースとして添付されていたのはスロバキア語のニュースまとめサイトのような感じで、パッと見では嘘か本当かわかりません。
(そもそも言葉がわかりませんし。)
しかしテクノロジーとはすごいもので、スロバキア語だろうが何だろうが一瞬で翻訳することができること、ご存じですよね?
Google翻訳を活用しよう
外国語で書かれた元ネタ記事に何が書かれているか理解するくらいの目的なら、Google翻訳などにコピー&ペーストすれば一瞬です。
このスロバキア語の記事の内容は、
というもの。
翻訳の正確性による誤差を差し引いても、「観光客を国に引き戻す」「125億ドル」「早くても7月」
と、Twitterでの投稿を裏付けるような内容が記載されています。
ここだけ見ると、「え、じゃあこの情報は本当だったんだ…!」となってしまうでしょう。
(きっと投稿主もそうだったのだと思います。)
しかしながら、この記事は結局フェイクニュースでした。
では、ソースとなる外国語の記事がそれっぽいことを言っているような、巧妙なフェイクニュースをいったいどうやって見破れば良いのでしょうか。
ステップ2:元ネタ記事内の元ネタを見る
ステップ1でアクセスした元ネタで、情報が真実か嘘か判断できない場合は、2つ目のステップへ進みます。
それは、SNS投稿の元ネタの記事の元ネタの記事を見るというもの。
具体的には、今回のTwitter投稿の元ネタの記事であるスロバキア語の記事の、さらに元ネタとなっている記事に目を通してみるのです。
日本・海外に限らず、信ぴょう性のあるメディアサイトなら必ず、情報の元となったサイトやインタビュー動画へのリンクが貼ってあります。
今回のスロバキア語の記事が情報元として記載していたのは、”Japan times”という英語メディアの記事でした。
ここでTwitter投稿の元ネタの記事(スロバキア語の記事)と、そのさらに元ネタの記事(Japantimes)の内容が一致していない場合は、フェイクニュースということになります。
Japantimesの記事を見てみると、
“The Japan Tourism Agency on Wednesday dispelled rumors that the country is planning to offer a campaign that would pay half of visitors’ expenses as it seeks to revitalize the coronavirus-hit sector.”
観光庁は水曜、日本がコロナウイルスにより打撃を受けた業界を活性化させることを狙って、旅行者の出費の半額分を援助する計画をしているという噂を否定した。
と、観光庁公式アカウントのツイートを載せながらはっきりと記載しています。
ステップ3:公式サイト/アカウントで確認
今回の場合は、ステップ2の「元ネタの元ネタを確認」で、すでにフェイクニュースであったことが明らかになりました。
Japan timesのが日本国内旅行に対する「Go To トラベル事業」について報じる→スロバキアのサイトが「訪日外国人への補助金制度」とフェイクニュースに改悪(誤解の可能性も)して報じる→それを見た一般人が信じて拡散する→日本でも話題になる
という流れで、間違った情報が広がったこととなります。
上の2ステップを守って「元ネタの元ネタ」までたどっても真実かどうかの判断がつかない場合は、公式サイトや、SNSが認定している公式アカウントの情報をチェックするのが最も確実です。
もし対応する公式サイトやSNSの公式アカウント等がない場合は、フェイクニュースやデマである可能性が高いです。
(そもそも公式発表がないのに、あなたはどうやってその情報をゲットしたの?という話になるので)
逆に、公式サイト等で発表がされていることであれば、晴れてその情報が真実であることが立証されます。
SNSでデマを広げないための3つの注意点
「一つの情報が本当かウソか知るために、こんなことわざわざしなくちゃいけないの?」
と感じたのではないでしょうか。
そうです。しなくてはいけないのです。
かつてはテレビや新聞のニュースを受けとるだけだったものが、現在では自分からあらゆる種類の情報にアクセスすることができる時代。
だからこそ発信者となる場合は、その情報が本当に正しいものなのか、自分自身で吟味する責任があります。
軽い気持ちで発信・拡散した信ぴょう性の無い情報が、誹謗中傷を生み出して誰かを傷つける場合もありますし、嘘情報を広めたことで自分の信用が落ちてしまうかもしれません。
そうならないためにも、SNSで新しい情報に触れる際の3つの注意点を意識しておきましょう。
1.インパクトだけで即座に拡散しない
現代社会はとにかくインパクト。
かつては日記や長文で書かれた投稿が主流だったのに対して、現在では写真や動画を添付した、よりビジュアルに訴える分かりやすい投稿が多く見られます。
人間とはぬるま湯に慣れてしまうもの。
目で見たものを何も考えずに、そのままの意味で受け取ってしまう傾向がどんどん強まっているような気がしてなりません。
数か月前に、政府のコロナウイルス対策を批判するデモがロンドンで起こった際、襲撃・略奪される商店を映した動画が拡散されていましたが、後にこれは今回のデモとは関係のない全く別の暴動であったことが明らかになりました。
インパクトのある投稿に驚いてシェアしたくなる気持ちはわかりますが、「一目見ただけで誰もがわかるコンテンツ=だますのも簡単」ということ。
すぐにシェアしたくなる気持ちをいったん抑えて、それが本当に正しい状況なのかをちゃんと確かめる必要があります。
2.コメント欄を鵜呑みにしない
SNSで勢いのある投稿には、多くのコメントがつくことも珍しくありません。
ここで注意したいのが、コメント欄を見て「こんなに多くの人が賛成(もしくは反対)している→これは真実だからに違いない」と短絡的に結び付けないこと。
というのも、コメント欄に記された意見には偏ったものが多い場合があるためです。
人間の心理とは不思議なもので、ある投稿を見てコメント欄をチェックする時は、無意識に自分と同じ意見の人が多いかどうかをチェックしているもの。
そこで自分の意見が反映されているコメント欄を見てしまうと、「みんなが同じように思っている→私の考えは正しい→他の人にもシェアしなくちゃ!」とまるで自己催眠にかかったようになってしまうことも。
多くの人が自分と同じ意見を持っていたとしても、その情報が100%正しいものである保証はどこにもありません。
3.100%真実かどうかわからないものはシェアしない
最後に最も大切な注意点が、「100%真実だという確信がない情報はシェアしない」ということ。
というのも、人によって情報の認識能力は様々であるため。
残念なことに、ぱっと見の印象だけで深く考えることなく、「何となく賛成(反対)だから」という軽い気持ちでワンタップ&シェアしてしまう人も多いのが現状です。
しかし、あなたがシェアした情報を見た他の人が、あなたと同じように軽い気持ちで捉えるかは分かりません。
「不確かな情報は、自分の元でとりあえずストップしておく」とワンクッション置いた利用法が、SNSでの情報収集においては大切だと思います。
おわりに
古くは井戸端会議で「あそこの○○さん、○○らしいわよ~」「あらいやだ~」とされていた噂話が、インターネットやSNSの普及で進化したバージョンなのかもしれないフェイクニュース。
「いち早く最新の情報を知りたい」という人間の欲望を満たすために、これからも根拠の取れていない不確かな情報は出回り続けていくのでしょう。
デマやフェイクニュースの類は、他人の人生や国の未来さえも変えてしまいかねないもの。
発信者はもちろんのこと、嘘を拡散した人の責任も問われるようになっていくのではないでしょうか。
情報があふれ返る現代社会。
私たち一人ひとりが、正しい情報だけを選択できる能力を身に着けなければならない時期に差し掛かっていることは間違いありませんね。
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