こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
ポルトガルの首都・リスボン近郊に位置するシントラ(Sintra)は、山に囲まれた独特の地形から、もともとは王族の避暑地として栄えた場所。
かつてのポルトガル王家の栄華が感じられる上品な町並みと、首都から40分とは思えない自然に囲まれたシントラは、リスボンからの距離の近さもあり、現在では観光客にも人気のデイトリップ先の定番となっています。
観光客に一番人気なのは、まるでおもちゃの城のようなペーナ宮殿ですが、のぶよ的にシントラの穴場スポットとしておすすめしたいのが、今回紹介するムーアの城跡です。
その名の通り、ムーア人によって山のてっぺんに築かれた城は、文字通り「天空の城」。
麓のシントラの可愛らしい町並みはもちろんのこと、大西洋までを一望する絶景も見逃せません。
完全に廃墟と化した城壁の内部は、緑色の苔にびっしりと覆われており、そのラピュり具合がすごいのです。
というわけで、今回の記事ではムーアの城壁の美しい眺めとアクセス情報を紹介していきます。
いざ、シントラの山の中の異世界へ。
ムーアの城跡最寄りのバス停でバスを降り、標識通りに進んでいきましょう。
苔むした遊歩道が整備されていて、気分はすでに映画の世界です。
バス停から10分ほど歩いて到着するのが、ムーアの城跡の入口。
重厚な石造りの門がとても良い雰囲気を醸し出しています。
入口を入ると、そこはもうすでにかなりのラピュり具合。
もちろん頭の中を流れるのは、有名なあの曲です(笑)
木々が生い茂っているためか、太陽の光もあまり当たらないこの一帯。
何となくジメっとした空気感もかなり良い感じで、冒険気分が盛り上がります。
まるで天空を制した気分。ムーア人に思いを馳せる
ムーアの城跡は、シントラを見下ろす山の頂上部分に築かれた比較的広い敷地に築かれています。
城塞内の建物はほぼ廃墟となっていますが、素晴らしい保存状態で残っている城壁の上を歩くのが一番の楽しみ方。
ふと振り返ると、まるで万里の長城を思わせるような素晴らしい風景が広がります。
山の稜線を縫うように石を積み上げて作られた城壁。
アップダウンは結構ありますが、せっかくなら頂上部分まで登ってみるのがおすすめです。
頂上部分の塔の上には、ポルトガル国旗がはためいています。
そう、ムーアの城跡は、かなり風が強い場所としても有名なんです。
大西洋から吹き付ける強い風を遮るものが何もないため、かなりの確率で強風と戦うこととなります。
しかし「遮るものが何もない」ということは、素晴らしい絶景が眺められるということでもあります。
1000年以上前に築かれた城壁からは、山の麓のシントラの町並みはもちろん、さらに下に位置する農村地帯の大パノラマが広がります。
遠くに見えるのは、青く輝く大西洋。
きっと、西の果ての国まではるばるやってきたことを実感する瞬間となることでしょう。
反対側には、シントラで一番の観光スポットであるペーナ宮殿の全景も望むことができます。
山の頂上に佇む、原色バリバリ&変な形のペーナ宮殿。
ムーアの城跡とセットで訪れたいスポットです。
ご覧の通り、素晴らしい絶景が至る所で眺められるムーアの城跡の城壁ですが、落下防止用の手すりは申し訳程度にしか設置されていません。
先述の通り、ここはかなり風が強い場所。
写真を撮るのに夢中になって足を踏み外したりしないように、十分ご注意を。
遥か昔に、こんな山の上に城塞を築いたムーア人。
建設はさぞ骨の折れることだったでしょうが、こんなに素晴らしい景色をいつでも眺めていたいと思うのは、昔の人も今の人も変わらないのかもしれません。
ムーア人とは何者?ムーアの城跡の歴史
ムーアの城塞がその名の通りムーア人(Mouros)によって築かれたのは、8世紀~9世紀にかけてのこと。
現在から1100年ほど前のことになります。
ムーア人とは北アフリカ出身のイスラム教徒の民族で、当時イベリア半島を北へと侵攻していた勢力の一つでした。
12世紀になると、イベリア半島北方に追いやられたキリスト教徒たちが、イスラム教徒から自分たちの領土を取り戻そうとするレコンキスタという運動が過熱します。
ポルトガルでは、1147年にアフォンソ・エンリケシュ(Afonso Henriques)によってリスボンがイスラム教徒から奪還され、ムーアの城塞もポルトガル人の支配下に置かれることとなります。
その後、中世~大航海時代にかけて栄光の時代を謳歌したポルトガル。
植民地からもたらされた巨万の富が充てられ、傷んだムーアの城塞は幾度となく修復されてきたのですが、1755年に発生したリスボン大地震によって、とうとう完全な廃墟となってしまいました。
その後、絶景を望む比類なきロケーションや歴史的価値が注目され、観光用に整備されたムーアの城塞。
1000年以上に渡る激動の歴史を見守ってきた証人として、シントラの山の中に静かに佇んでいます。
ムーアの城跡のアクセス・基本情報・アドバイス
「天空の城」であるムーアの城塞があるのは、山の中にあるシントラの町のさらに山の中。
近郊鉄道(CP)のシントラ駅からはかなりの距離があり、急坂を登り続けることとなるので、徒歩でのアクセスは現実的ではありません。
ペーナ宮殿やレガレイラ宮殿など、他にも多くの観光スポットが点在しているシントラ。
公共交通手段を上手に利用してアクセスするのが、体力&時間の節約にもなるのでおすすめです。
シントラ駅から434番のバスを利用
ポルトガルきっての観光地であるシントラ。
比較的広いエリアに点在する見どころをまわりたいという観光客の要望に応えてか、便利な路線バスが運行されています。
路線バス434番のルート
Scottub社が運行する路線バス434番が、シントラ駅→シントラ中心街→ペーナ宮殿→ムーアの城跡→シントラ駅と左回りに周回しています。
注意したいのが、右回り路線のバスは存在しないこと。
シントラ駅を出発した434番のバスは、シントラ中心街のバス停に停車した後、必ずムーアの城跡→ペーナ宮殿の順に停車します。
ムーアの城跡バス停→ペーナ宮殿バス停間は距離にして数百mなので、二か所をセットで観光する場合はバスを待つよりも歩いてしまった方が早いです。
(しかしながら、ムーアの城跡→ペーナ宮殿間は上り坂です)
インフォメーション
Scottub社路線バス434番
運行頻度:15分~30分に1本(日没後は運行なし)
所要時間:シントラ~ムーアの城跡バス停まで15~20分
料金:片道€3.90(=¥473)
最新の時刻表や料金は、Scottub社公式サイトでどうぞ。
シントラ観光なら、お得な周遊きっぷ購入がマスト!
ポルトガルの一般的なバスの料金と比べると、Scottub社の運賃はかなり高めに設定されています。
シントラの観光スポットを日帰りで周遊する場合は、
“Turístico diário”:シントラ地域内のScottub社の路線バス全てに一日乗り放題(€15.10)
” Train&Bus”:リスボン~シントラ/カスカイスへの鉄道と、Scottub社の路線バス全てに一日乗り放題(€15.90)
など、いくつか割引チケットが販売されているので、これらを上手に利用するのがポイント。
シントラ駅→ムーアの城跡→(徒歩)→ペーナ宮殿→シントラ駅と2回利用するだけでも、乗車時に1回券を購入するよりも、“HOP ON HOP OFF”の一日乗車券を購入した方が安く済みます。
ムーアの城跡の営業時間・入場料金・観光のアドバイス
ムーアの城跡の営業時間と料金
営業時間:夏季9:30~20:00/冬季10:00~18:00
料金:€8(=¥966)
コンバインド・チケットを上手に利用!
シントラ国立公園内には、他にも観光スポットが点在しています。
複数の見どころをまわる予定なら、予めコンバインド・チケット(Bilhetes combinadas)を購入しましょう。
ムーアの城跡
ペーナ宮殿
シントラ王宮
など、それぞれ入場料が異なるシントラ国立公園内の6つの観光スポットを自由に組み合わせて、その合計金額から割引が受けられるというシステムです。
・2か所のコンビネーションチケット:合計金額から5%引き
・3か所のコンビネーションチケット:合計金額から6%引き
・4か所のコンビネーションチケット:合計金額から7%引き
というように、多くの場所をまわればまわるほどお得になり、最大で6か所/合計金額の10%引きまでの割引が受けられます。
しかも、このコンビネーションチケットは、発行日より1ヶ月間有効という優れもの。
リスボンに長期間滞在する予定で、シントラに何回か足を運ぶ予定なら、かなりお得だと思います。
購入場所は、各観光スポットの入口前にあるチケットオフィスにて。
「コンバインド・チケット!」と言えばわかってくれます。
ムーアの城跡+ペーナ宮殿のコンバインド・チケットはムーアの城跡で購入を!
シントラで一番人気の観光スポットであるペーナ宮殿は、かなり多くの観光客で混み合います。
自力で歩かなければならないムーアの城跡観光を諦めたヨボヨボの欧米系年配旅行客が集中する(宮殿入口~宮殿までは、ゴルフカートのようなもので登れる)ため、ペーナ宮殿のチケット売り場はかなり混雑します。
シントラ駅から434番のバスに乗ると、ほとんどの乗客がペーナ宮殿まで直行するのがわかるでしょう。
そんな人たちを尻目に、一つ手前のムーアの城跡のバス停で降り、ガラガラのチケット売り場でコンバインド・チケットを購入しましょう。
先にムーアの城跡観光を済ませてからペーナ宮殿に向かえば、再度チケット売り場に並ぶ必要がなくスムーズに入場できます。
ムーアの城跡があるシントラには、他にも観光名所がたくさん!効率よく各スポットをまわるなら、現地ツアーの参加も考えてみてはいかがでしょうか。
混雑激しい路線バスを炎天下の中待たずとも、専用車で移動できるのはかなりのメリットです。
・【プライベートツアー】レガレイラ宮殿と世界遺産シントラ、ペーナ宮殿、ロカ岬 1日観光<車貸切/リスボン発>by[みゅう]
・世界遺産シントラとペーナ宮殿、ユーラシア大陸最西端のロカ岬 1日観光<リスボン発/昼食付き/日本語ガイド>by[みゅう]
おわりに
1000年以上前から、大西洋を見渡しながら佇むムーアの城跡と、アクセスやお役立ち情報を紹介しました。
一大観光地と化したシントラにおいては、意外と観光客が少ない穴場スポット的な存在で、のぶよも友人がリスボンにやって来た時は必ず案内するスポットです。(そしてかなり感動してもらえます)
他にも見どころがたくさんあるシントラ。
リスボンからの日帰りも可能ですが、1泊するのもおすすめ。
王家の避暑地らしい優雅な町の雰囲気は、リスボン市内とはまた異なった魅力でいっぱいです。
リスボン旧市街にも、ビーチエリアにもアクセスが便利なカイス・ド・ソドレ地区。
シントラ行きの電車が出るロシオ駅(Rossio)にもほど近く、朝早い出発でも楽チン。
可愛らしい町並みと、夏でも比較的涼しいシントラは、古くから王族に愛された避暑地。
昼間こそ観光客であふれますが、夕方~朝にかけては本来の優雅で静かな雰囲気を取り戻します。
数日滞在して、のんびりと点在する観光スポットをまわるのもおすすめです!
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