こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
ポルトガル北部に位置するアヴェイロ(Aveiro)は、大西洋から少し入った干潟にひらけた小さな町。
古くから干潟を利用した製塩業が盛んで、塩を運ぶための大小の運河が町に張り巡らされています。
その独特な町並みは、「ポルトガルのベニス」とも呼ばれ、主にポルトガル人の国内旅行者に人気の観光地となっています。
モリセイロ(Moliceiro)と呼ばれるゴンドラのような船で、大小の運河をのんびりと遊覧するのが人気のアヴェイロ。
運河沿いにはポルトガルでは珍しいアール・ヌーヴォー建築の建物が連なり、優雅な気分の街歩きが楽しめることもポイントです。
今回の記事では、ポルトやコインブラからの日帰りも可能なアヴェイロの魅力を解説します。
アヴェイロの見どころ
アヴェイロ名物の二つのスイーツ
アヴェイロとセットで訪れたいカラフルなビーチリゾート、コスタ・ノヴァ(Costa Nova)
ポルト/コインブラ~アヴェイロのアクセス
の順になっているので、参考にしてください。
アヴェイロ中心街の観光スポット
アヴェイロの観光の中心は町の中心を流れる大運河。
運河沿いには美しい建物が建ち並び、ポルトガルではないような雰囲気です。
中心街から足をのばせば、美しいアズレージョが必見の鉄道駅やアヴェイロの発展を支えてきた塩田などの見どころへも簡単にアクセス可能です。
大運河
アヴェイロの町を特徴づけるのが、町の中心を東西に流れる大運河。
アール・ヌーヴォー様式の建物に囲まれた運河を、名物のモリセイロというゴンドラが行き交う風景は、ポルトガルでもここでしか見られないものです。
大運河沿いには気持ちの良い遊歩道が整備されています。
客待ちのゴンドラ乗りのおじさんたちが暇そうにお喋りしているという、なんともポルトガルらしい風景。
本場ベネチアのゴンドラ乗りはイタリアンなナイスガイが多いかもしれませんが、アヴェイロではあくまでも猟師のおじさんがお小遣い稼ぎでやっているという感じです。
アヴェイロのモリセイロという船は、それぞれ異なるデザインのカラフルな色遣いが特徴的。
各船の持ち主が自分の好きなようにデザインしており、日々の生活の中で起こった面白い出来事などをユーモアたっぷりに描いたものがほとんどなのです。
現在でこそ観光客向けのゴンドラ遊覧に利用されるモリセイロですが、もともとは地元の漁師が干潟で獲った海藻を運搬するためのものでした。
内陸部に運ばれた海藻は畑の肥料として使用されていたそうです。
運河の開放的な雰囲気も魅力的ですが、それを彩るアール・ヌーヴォー様式の建物にもご注目。
ほんの一部分しか残ってはいないものの、建設当時のままに残された美しい外観は必見です。
運河の町・アヴェイロの魅力を名物のモリセイロに乗って水上から楽しみたい人は、客引きのおじさんに声をかけてきましょう。
ボートトリップは45分ほどで市内の運河をぐるりと一周する内容。
料金の相場は一人€8~€10(=¥942~¥1200)ほどです。
円形橋&裏の運河
大運河沿いの華やかな雰囲気を満喫したなら、観光客が少ない穴場の運河エリアへと足をのばしてみましょう。
大運河から北に延びる運河には、不思議な形の橋がかけられています。
運河と運河が交わる「水上交差点」の上にかけられたこの橋は、円を描くようなスロープが設置されており、好きな方向へと移動することができるのです。
円形橋周辺は、観光客の数が少ないローカル感漂うエリア。
使われていないモリセイロが停泊していたり(おじさん自宅で休憩中?)と、さらにのんびりとした雰囲気になります。
円形橋の東に延びる運河は、地元の人の散歩道といった雰囲気。
アール・ヌーヴォー建築は見られませんが、ポルトガルらしいパステルカラーの可愛らしい家々が建ち並ぶ様子は要チェックです。
アヴェイロ中心街を散策
ポルトガル人に大人気のアヴェイロですが、意外と観光客の数は少なめ。
運河沿いから路地を入ると、大小さまざまな教会が点在しており、お祈りに訪れる人々の姿も多く見られます。
ポルトガルらしい白を基調にしたものから、一面にアズレージョが施された圧巻のものまで。
ゆっくりと歩き回っても30分ほどで大運河沿いに戻って来られます。
アヴェイロ中心街以外の見どころ
大運河沿いを少し離れると、アヴェイロの人々が生活するエリアとなります。
見どころは多くないものの、時間に余裕があれば足をのばしてみましょう。
鉄道駅
アヴェイロ観光で忘れてはいけないのが、鉄道駅に残された旧駅舎。
その外壁に施されたアズレージョはとても素晴らしいです。
アヴェイロと周辺地域の風景が描かれたアズレージョ。
青の濃淡だけで表現された美しさには、きっと息を呑むはずです。
多くの旅行者が、他都市から鉄道を利用してアヴェイロにやってくることになるので、どうぞお見逃しなく!
アヴェイロ塩田
アヴェイロの歴史を物語るアヴェイロ塩田は、中心街の北側、先述の円形橋を渡った先の広大なエリアを占めている場所。
どのようにして塩が生産されているのかを示すパネルが設置されており、自由に散策しながらアヴェイロ伝統の塩づくりについて学ぶことができます。
アヴェイロ名物!2つのスイーツを味わう
ポルトガル人にアヴェイロが人気の理由は、運河がある美しい町並みのためだけではありません。
アヴェイロでしか食べられない名物スイーツの存在も、甘いものに目がないポルトガル人の心を掴んで離さない理由でしょう。
ここでは、アヴェイロに来たならぜひ食べたい2つの名物スイーツを紹介します。
オーヴォシュ・モーレシュ
ポルトガル人の中では、「アヴェイロ=オーヴォシュ・モーレシュの町」というイメージがとても強いです。
オーヴォシュ・モーレシュ(Ovos Moles)を直訳すると「柔らかい卵」。
その名の通り、卵黄にたっぷりの砂糖を混ぜたクリームを、米でできたライスペーパーのような生地に包んだものです。
味はご想像の通りのもので、濃厚な卵黄クリームはかなり甘味が強め。
しかし、ポルトガルスイーツらしい素朴な味わいは健在です。
シンプルな円形のものが多いですが、お店によっては貝殻やイワシの形の生地の場合もあり、海洋大国・ポルトガルを感じさせます。
大運河沿いのカフェやお土産屋のどこでも売られていて、一個からでも気軽に購入することも可能なのも嬉しい点。
ポルトガルの中でもアヴェイロでしか生産されていない正真正銘のご当地スイーツなので、ぜひ挑戦してみましょう。
パン・ドゥ・ロ
日本に伝わったカステラの原型となったと言われるパン・ドゥ・ロ(Pão-de-ló)は、ポルトガル全土でポピュラーなスイーツ。
地域によって大きく形や製法が異なるのも特徴で、ここアヴェイロ周辺地域のパン・ドゥ・ロは独特なことで有名なのです。
素焼きの器に入ったスポンジケーキという感じで、半熟状態で焼き上げられるのが特徴。
通常のパン・ドゥ・ロに比べるとかなりふんわりとしています。
一つ€1.20(=¥141)と昔ながらの良心的な値段も嬉しい点。
意外とボリュームもあるので、帰りの電車の中でのスイーツタイムにはもってこいです。
アヴェイロとセットで行くなら!コスタ・ノヴァ
アヴェイロ観光とセットで訪れたいのが、アヴェイロの西10kmほどの場所に位置するコスタ・ノヴァ(Costa Nova)という大西洋沿いの小さな町。
コスタ・ノヴァは、カラフルな縞模様に塗られた猟師たちの家で有名な場所です。
夏場はビーチを求めて多くのポルトガル人が集まりますが、それ以外の季節は静寂そのもの。
きめ細かい白砂のビーチが続く風景は、とても開放的です。
アヴェイロからは、この地域の路線バスを運行するTransdev社の5951番バスで30分ほどと簡単にアクセス可能です。
5951番バスはアヴェイロのバスステーション~大運河南側を経由してコスタ・ノヴァへと向かう路線なので、観光の途中でも簡単に利用することができます。
(大運河近くの停留所に関しては、後述する観光マップの欄を参照してください!)
アヴェイロ観光マップ
青:見どころ
赤:パン・ドゥ・ロのお店
緑:5951番バス停 (アヴェイロ~コスタ・ノヴァ)
往復の交通手段を気にせずに観光を楽しみたい人や、効率良く回りたい人には現地ツアー参加もおすすめ。
ポルト発のツアーには、アヴェイロ&コスタ・ノヴァをまわるものや、コインブラに足をのばすものもあり、選択肢が豊富です。
アヴェイロへの行き方
ポルト~アヴェイロ間の移動
ポルト~アヴェイロ間には直行バスが走っておらず、鉄道でのアクセスが基本となります。
ポルト中心街にあるサン・ベント駅(São Bento)からも乗車可能なものの、ポルト郊外のターミナル駅であるカンパーニャ駅(Campanhã)で乗り換えとなることがほとんどです。
こぢんまりとしたポルトですが、首都のリスボンを凌ぐほどの坂の町。
急坂の斜面部分に位置する旧市街なんかに宿泊した日には、えらいことになります。
リスボンに負けずに坂が多いポルト。特に旧市街とその対岸地区の川沿いの急坂は信じられないほどの傾斜で、観光時の移動もひと苦労。
対するポルトの新市街は、旧市街のすぐ隣にもかかわらず、坂の上の平坦な地区にひらけた場所で宿泊の拠点としてはおすすめ!
ポルト観光に便利なライトレールも走っており、観光にも移動にも便利な立地です。
コインブラ~アヴェイロ間の移動
ポルトガル中部に位置する第三の都市・コインブラ~アヴェイロ間は、鉄道とバスのいずれでもアクセスが可能です。
しかしながら、本数が多く運賃が割安な鉄道利用が断然おすすめ。
コインブラ旧市街入口にあるコインブラ駅の発着という点も利用しやすいです。
コインブラでの発着地は
鉄道:コインブラ駅(旧市街)
バス:コインブラ中央バスターミナル
です。
コインブラの美しい旧市街は、喧騒とは無縁の雰囲気。
ポルタジェン広場やフェレイラボルジェシュ通り周辺が坂道がないのでおすすめです。
おわりに
運河沿いの美しい風景と絶品のご当地スイーツが魅力的なアヴェイロを紹介しました。
観光自体は3時間ほど見ておけば十分なので、ポルト/コインブラから日帰りもできますし、二都市間を移動しながら立ち寄ることも可能です。
夏場なら、コスタ・ノヴァの美しいビーチでのんびりと過ごすのも気持ちの良いもの。
まだまだ観光客が少ない穴場の町なので、定番とは少し違う場所へ行ってみたいという人にはおすすめです。
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