こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
リスボンと言えば、レトロでノスタルジックな町並みが最大の魅力。
石畳の古い路地をガタゴトと走る路面電車やケーブルカーも、情緒ある町の雰囲気の演出に一役買っています。
しかしながら、古いだけがリスボンの魅力ではありません。
温暖な気候と安い物価によって、ヨーロッパ中から移住先として大人気のリスボン。
観光の中心となるレトロな町並み以外にも、モダンでポップな一面が感じられる場所もあるのです。
今回紹介するLX Factoryもその一つ。
新進気鋭のアーティストや新しいビジネスを始める若者が集う、インターナショナルでヒップスターな雰囲気が魅力の異色なスポットです。
本当にポルトガル?ヒップスターな雰囲気
LX Factory(ポルトガルでは「エル・シーシュ・ファクトリー」と発音)は、かつての工場・倉庫街をリノベーションした、リスボンっ子に大人気のスポットです。
リスボン市内とテージョ川を挟んだ南岸を結ぶ、真っ赤で優雅なフォルムが印象的な8月25日橋の真下に位置しており、かつてはあまり治安が良くないとされていた日陰の場所でした。
リスボン市のテコ入れで生まれ変わったLX Factoryは、かつてのうらぶれた倉庫街の雰囲気を残しつつも、ポップで現代的なアートが溢れる場所として徐々に人気が出てきています。
入口を一歩入ると、まるでリスボンとは思えないような雰囲気の町並みが広がり、まるでテーマパークのよう。
レンガ造りの倉庫街や水を貯めておくタンクなどはそのまま残しつつ、ショップやレストランに改装された各建物。
お土産を売る店もあるにはあるものの、基本的には画材道具や雑貨などのアーティスト向けの商品を売る店が多いのも特徴です。
個性的なショップの店先には、工夫がされたデザインやオブジェの数々が展示されており、ただ歩いているだけでも楽しくなること間違いなし。
また、いくつかの建物内はアーティスト用の工房となっており、作品作りに励む若き芸術家たちの真剣な姿も見られます。
ユーモアたっぷりのストリートアート
LX Factoryは、リスボンを拠点に活動するアーティストたちの聖地のような存在の場所。
かつての工場や倉庫の壁には、色とりどりのストリートアートが描かれ、まるで建物全体が一つの作品のようにも感じられるほどです。
なんてことはない倉庫も、ポルトガルの教会風デザインでポップに生まれ変わっています。
描かれた人々のユーモアたっぷりな表情にもご注目。
かなり多くのストリートアートで溢れるLX Factoryですが、中でも有名なのがこちら。
“UNTIL DEBT TEAR US APART”と書かれたものです。
これは、結婚式の際によく使われる”Until death tear(do) us appart”(死が二人を分かつまで)を用いたユーモア。
“Death”(死)を”Debt”(借金)に変えたもので、「借金が二人を分かつまで」。
「金の切れ目が縁の切れ目」なんて訳しても面白いかも。
なかなかにセンスがあると思います。
他にも、今にも飛び降りようとしているマネキンなんかも設置されていて、もはや理解のできないアートの世界が広がっているLX Factory。
紹介した以外にも様々なアートがあるので、お気に入りを探してみるのもいいでしょう。
経済破綻した国で、本の大切さを伝える書店
LX Factoryで一番の見どころが、レール・ドゥヴァガール(Ler Devagar)という書店。
ポルトガル語で「もっと本を読もう」という意味の店名の通り、360°にわたって所狭しと本が並べられています。
もともとは印刷工場だったこの場所にあえて本屋ができたのは、ポルトガルならではの理由があります。
2009年にポルトガルを襲った経済危機。
緊縮財政が敷かれ、多くの企業が倒産してしまいました。
特に影響が大きかったのが、出版・印刷業。
苦しい生活の中で本を買う余裕など国民にはなく、ポルトガル語の書籍を扱っていた出版社のほとんどが倒産してしまったと言われています。
現在では経済危機を乗り越えたポルトガルですが、その影響はいまだに小さなものではありません。
一度存続危機に陥った出版業界の立て直しは簡単ではないようで、自国発行のポルトガル語で書かれた書籍が、他国発行の英語で書かれた書籍よりも割高という現象が起こっているほどです。
そんな中で、「ポルトガル人にもっとポルトガル語で読書をしてほしい」という思いから始まったのがこちらの書店。
店内には、座って商品を読める席はもちろんのこと。
かつてこの場所にあった巨大な印刷機を利用したミニシアターまであり、無料で見学することが可能です。
モダンなデザインも大きな魅力ですが、その背景にある物語も素敵な場所だと思います。
おしゃれなレストランも多数
ストリートアートの数々や美しい書店の見学が住んだら、敷地内にあるおしゃれなレストランで食事をしていくのがいいでしょう。
LX Factoryの敷地内には数軒のレストランがあり、晴れた日は屋外のテラス席での食事が楽しめます。
ポルトガルの一般価格に比べると、レストランはどこも値段は少々高め。
リスボンっ子は食事は先に済ませて、ちょっと飲みにだけやってくるのが普通です。
LX Factoryの地図&アクセス
LX Factoryは、観光の中心となるリスボン中心街の西3kmほどの所に位置しており、地下鉄は通っていません。
近郊鉄道カスカイス線か路面電車を利用してのアクセスとなります。
近郊鉄道カスカイス線、路面電車15番のいずれでも、LX Factory~ベレン地区間を移動することができます。
大航海時代の雰囲気漂うベレン地区も、リスボン観光では絶対に訪れたいエリア。
行きか帰りにLX Factoryで途中下車・観光するのが効率的でおすすめです。
おわりに
リスボンの中でも独特な雰囲気が魅力的なLX Factoryを紹介しました。
ストリートアートに興味がある人なら絶対に楽しめること間違いなし。
そうでなくてもお気に入りの雑貨探しをしたり、ただテラスで飲んだりと、色々な楽しみ方ができます。
THE・観光地とは一味違ったリスボンの一面を見たい人には、是非訪れてほしい場所です。
リスボンは「七つの丘の町」と呼ばれるように坂道が連なる独特の地形。
ホテル選びのエリアがとても重要です。
リスボン旧市街にも、ビーチエリアにもアクセスが便利なカイス・ド・ソドレ地区。
小さなポルトガル料理レストランやファドハウスが点在するバイロ・アルト地区もすぐそばにあり、哀愁に満ちたポルトガルらしい夜を過ごすのもおすすめです!
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