こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
ポルトガルのアゾレス諸島の9つの島のうちの一つであるサン・ジョルジュ島(Ilha de São Jorge)。
東西に細長い島の海岸線はほぼ全てが断崖絶壁となっているため、アゾレス諸島の中でも最もダイナミックな自然の風景が見られる絶景の島として有名です。
サン・ジョルジュ島を代表する風景が、ファジャン(Fajã)と呼ばれるこの島独特の地形によるもの。
断崖絶壁の山がちの地形で、平野がほとんどないサン・ジョルジュ島。
切り立った崖の下に砂や石が堆積して、まるで舌のような形で海に突き出したファジャンが至るところに見られます。
今回紹介するのは、絶景天国のサン・ジョルジュ島の中でも最も素晴らしい風景が見られるという、北海岸沿いの二つの見どころ。
二つのファジャンをめぐる絶景ハイキング
島で最も美しいシマン・ディアス天然プール
どちらも自然の力を全身で感じられる超おすすめのスポットです。
人生観が変わるような絶景に、きっと心が震えるはず!
二つの絶景ファジャンを巡る!サン・ジョルジュ島北海岸絶景ハイキング
サン・ジョルジュ島北海岸東部の小さな村、ノルトゥ・ペケーニョ(Norte Pequeno) から東に延びる舗装道路を下っていくと、今回紹介するハイキングのスタート地点となるファジャン・ドス・クブレシュ(Fajã dos Cubres)に到着します。
長い時間をかけて、波によって運ばれた砂や石が堆積してできたファジャンという地形。
かなり不便な場所にあるにも関わらず、十数軒の民家が建っており、まるで桃源郷のような美しい風景が広がっています。
ファジャン・ドス・クブレスから東4kmほどの場所に位置するもう一つのファジャンである、ファジャン・ダ・カルデイラ・ド・サント・クリスト(Fajã da Caldeira do Santo Cristo)という場所までを往復するのが今回紹介するハイキングコース。
往復で8.6kmのと少々距離は長めですが、アップダウンは意外と少なめで、2時間(+観光時間)あれば往復できてしまう簡単なコースです。
ファジャン・ドス・クブレスまでは舗装道路が走っているため、車やバイクでのアクセスも可能ですが、ハイキングコースは未舗装の山道となるので、徒歩でしかアクセスすることはできません。
ファジャン・ドス・クブレス展望台
幹線道路沿いのノルトゥ・ペケーニョ(Norte Pequeno)からハイキングのスタート地点であるファジャン・ドス・クブレスの集落までの3kmほどの道のりは、舗装道路が敷かれているので車両でのアクセスも可能。
必見なのが、途中にあるファジャン・ドス・クブレス展望台(Miradouro da Fajã dos Cubres)です。
その名の通り、不思議な地形の上にある村を一望することができる場所で、ダイナミックな海岸線と真っ青な大西洋のコントラストは感動もの。
奥にはハイキングの終点となるファジャン・ダ・カルデイラ・ド・サント・クリストが見えます。
ファジャン・ドス・クブレス
猫の額ほどの土地に数十件の民家が建つだけのファジャン・ドス・クブレスの村(というか集落)は、ハイキングコースのスタート地点となる場所。
村には小さな商店が1軒と、スナックバーが1軒あるだけなので、必要なものはあらかじめ用意しておくのがベストです。
村にはラゴア(Lagoa)と呼ばれる海水が溜まってできた湖があり、独特の景観を作り出しています。
天気もとても良く、まるで天国のような平和な雰囲気に満ち溢れていました。
村の目の前には、荒波うねる大西洋が広がっています。
このあたりの波はサーフィンに最適だそうで、わざわざこんなところまでサーフボード持参でやってきている人も見かけたほど。
十分に村の風景を楽しんだら、さらなる絶景を求めてハイキングに出発しましょう!
二つのファジャンを結ぶ絶景ハイキング
先述の通り、このハイキングコースはファジャン・ドス・クブレス~ファジャン・ダ・カルデイラ・ド・サント・クリスト間を結ぶ片道4.3kmほどの簡単なもの。
コースは断崖絶壁の海岸線に沿ったもので、二つのファジャンの絶景を眺めながらの1時間となります。
一本道なので迷いようがありませんが、ちゃんと標識は出ているので安心です。
ふと後ろを振り返ると、先ほどまで居たファジャン・ドス・クブレスの全景が見られます。
30分ほど歩いたところで、ゴールであるファジャン・ダ・カルデイラ・ド・サント・クリストが見えてきます。
片道50分ほどで到着でき、アップダウンもそこまでないため体力的にもかなり楽に歩けました。
ファジャン・ダ・カルデイラ・ド・サント・クリスト
ハイキングのゴール地点である、ファジャン・ダ・カルデイラ・ド・サント・クリスト(Fajã da Caldeira do Santo Cristo)も数十軒ほどの民家が建つだけの小さな集落。
先ほど訪れたファジャン・ドス・クブレスよりも少し面積が大きく、こちらにも美しい海水湖があります。
車でのアクセスはできないため、村はさらなる秘境感と静寂に包まれていました。
村人は主に魚をとって生計を立てているようですが、村にはサーファーを対象にした民宿が1軒と食堂が1軒あります。
「こんなところまで一体誰が来るんだろう?」と思っていましたが、食堂は結構な人で賑わっていました。
まるで自分が知っている世界から隔絶されたような場所に位置する小さな集落。
目立った観光スポットがあるわけではありませんが、地球の裏側のアゾレス諸島の中でも秘境と呼ばれる場所にやってきたということで、気分はまるで冒険家になったよう。
ダイナミックな山々と海岸線の風景は、きっと忘れられない思い出となるはずです。
シマン・ディアス天然プール
二つのファジャンを歩くハイキングとともに、サン・ジョルジュ島北海岸観光の目玉となるのが、シマン・ディアス天然プール(Piscina Natural Simão Dias)。
当ブログのアゾレス諸島の記事では何度も登場している、天然プール。
砂浜の海岸がほとんどない火山島のアゾレス諸島では、天然の岩場に手を加えて泳げるようにした天然プール(Piscina Natural)と呼ばれるものがビーチ代わりとなっているのです。
北海岸中央部のノルトゥ・グランデ(Norte Grande)という村にあるシマン・ディアス天然プールは、サン・ジョルジュ島で最も美しいとされ、アゾレス諸島全体でも引けを取らないと称賛されています。
というわけで、ここからはシマン・ディアス天然プール周辺の見どころを紹介します。
村の絶景を望むファジャン・ダ・オウヴィドール展望台
ノルトゥ・グランデの村が位置するのは、大西洋に突き出したファジャンの上。
村へ下っていく道路の途中にあるファジャン・ダ・オウヴィドール展望台(Miradouro da Fajã do Ouvidor)からは、その独特な地形にひらけた村を一望することができます。
ノルトゥ・グランデの町並み
ノルトゥ・グランデ(Norte Grande)は数十軒の民家が並ぶだけの小さな集落。
緑の大地に点在する家々の赤い屋根と、どこまでも青い大西洋がとても絵になります。
海の先には北に浮かぶグラシオーザ島(Graciosa)の島影を眺めることができるのもポイント。
小さな村の北には天然プールがあり、水の透明度は抜群。
大西洋と一つになったようなとても素敵な場所ではあるものの、こちらはお目当てのシマン・ディアス天然プールではありません。
この天然プール付近から、岩場を歩いて岬の反対側へと移動します。
岩場の上からも美しい風景が眺められるので、お見逃しなく!
シマン・ディアス天然プール
岩場を歩くこと10分足らずで到着するのが、シマン・ディアス天然プール(Piscina Natural Simão Dias)。
到着した瞬間に思いました。
ここは、この世の楽園だと。
10m以上はある切り立った崖に挟まれた細長い川のような場所に、海の波が入ることでできた天然プール。
青でも緑でも水色でもない、不思議な色をした海水はどこまでも透き通っていて、底にある石や魚の姿までもくっきりと見えます。
立ちはだかる崖が午後の太陽の光を反射して、水面がキラキラと輝いている様子は、とても神々しいもの。
奥まで泳いで行ったら、何か神聖なものが降臨きてもおかしくなさそう…。そんな神秘的な雰囲気に包まれていました。
「天然プール」とひとことで言っても、場所によってどこまで人の手が加わっているかは変わってきます。
シマン・ディアス天然プールの場合は、99%自然そのまま。
人の手が加えられているのは、水の中から岩場へ登るときに使うはしご一つだけです。
のぶよのiPhone5のカメラと文章力では、この場所の素晴らしさを正しくお伝えするのには限界があるので(笑)、どうか自分の目で見ていただきたいです。
世界中色々な場所を旅してきましたが、到着した瞬間にここまで「うわあ…!」と言葉を失うほどの感動を覚えた場所は、そう多くありませんでしたから。
サン・ジョルジュ島北海岸へのアクセス・行き方
サン・ジョルジュ島はアゾレス諸島の中でも公共交通機関が絶望的に発展していない島。
島内移動の基本はレンタカー/レンタバイクとなります。
一応、島の二大中心地であるヴェラシュ(Velas)~カリェタ(Calheta)を結ぶ路線バスが北海岸沿いの町を経由するものの、本数が少なく不便です。
サン・ジョルジュ島北海岸観光マップ
緑:ハイキングコース上の見どころ
青:シマン・ディアス天然プール周辺の見どころ
黄色:バス停
ヴェラシュ/カリェタ~北海岸のバス路線
フェリー港があるヴェラシュ(Velas)と、島東部への入口であるカリェタ間を結ぶ1日2往復のバス(平日のみ)が、北海岸の集落を経由するルートをとります。(地図黄色)
二つのファジャンを結ぶハイキングコースへ:Norte Pequeno下車
シマン・ディアス天然プールへ:Norte Grande下車
と、それぞれ最寄りのバス停が異なります。
バス停から主要な見どころまでは交通手段がないため、結局徒歩でのアクセスとなってしまいます。距離的にはそこまでですが、見どころのほとんどはファジャンという独特の地形の上に位置しているため、帰り(海沿い→内陸)はものすごい上り坂となることを覚えておきましょう。
おわりに
サン・ジョルジュ島観光のハイライトであり、アゾレス諸島全体でもトップレベルの絶景が見られる島の北海岸。
のぶよは事前情報なしで行ったのですが、その現実離れしたダイナミックな絶景の連続に心から感動しました。
今回紹介した二つの北海岸の見どころは、一日あればセットでまわることも十分に可能。(車などがある場合)
というわけで、サン・ジョルジュ島に来たなら、ちょっと無理をしてでも北海岸へ足をのばすべきです。
サン・ジョルジュ島以外ではなかなか見る機会がないファジャンという地形の絶景と、神秘的な天然プール。
大自然の魅力がぎゅっと詰まった「この世の楽園」を五感で体験しに行ってみてはいかがでしょうか。
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