こんにちは!元ポルトガル在住ののぶよ(@nobuyo5696)です。
ヨーロッパ最西端に位置するポルトガル。
かつては日陰の存在だったこの国は、近年日本人の間でも「穴場の旅行先」として徐々に注目を集めつつあります。(本当に徐々にですが…)
ほとんどの旅行者が最初に到着するのが、ポルトガル一番の大都市・リスボン(Lisboa)でしょう。
「七つの丘の町」と呼ばれるほど起伏に富んだ地形の町は、他のヨーロッパの都市での滞在よりも綿密にプランニングするのがおすすめ。
公共交通手段が観光用に整備されているわけではないリスボンでは、宿泊先の選び方にコツが要るためです。
リスボンでの滞在エリアの決め手となるのは、観光スポットへのアクセスの良さはもちろんですが、治安面も気にしなければなりません。
今回の記事では、元リスボン在住者としてあまりおすすめできない「リスボンの危険エリア」情報を中心に、旅行時の注意点&アドバイスを解説していくものです。
安全で楽しいポルトガル旅行になるように、できる限りリスクは下げるに越したことはありません!
リスボンの治安はとても良い!
結論から言ってしまうと、リスボンはヨーロッパ全体で見てもかなり安全な都市です。
パリやローマなどへ行ったことがある人なら想像がつくでしょうが、「ヨーロッパの有名観光都市」として名高い町の中心街には美しい町並みが広がっていますが、観光客を狙った詐欺やぼったくりなどが横行していて、特には暴力行為を伴う強盗に遭うことだってあります。
さらにこうした大都市では、一歩郊外に出ると低所得者層が住むエリアが広がっていて、治安が一気に悪化することが多いものです。
一方のリスボンは、こうした「修羅の国」とは無縁ののんびりした首都です。
リスボン中心街はどこも概して治安が良く、観光客を狙った強盗や詐欺の話もほとんど耳にしたことがありません。
(もちろんスリはいるでしょうが)
郊外に出ると住宅地が広がっているのは他の大都市と同じですが、こちらも治安は全く悪くありません。
(のぶよはリスボン郊外に住んでいましたが、危険を感じたことは一度もありません)
西ヨーロッパ諸国で不安なのがテロに遭う危険性ですが、リスボンではその可能性も低いと言われています。
そもそもポルトガルではテロ攻撃によって死者が出たという事件は、これまでにほとんど起こっていません。
テロリスト的にも、あえてヨーロッパの辺境の国で事件を起こす意味があまりないのでしょう。
在住者が教える!リスボンの危険3エリア
というわけで、リスボンの治安には全く問題がないことはお分かりりいただけたのではないでしょうか。
とは言え、いくら安全と言われていても、100%の保証なんてどこにもありません。
安全神話が根付く日本でも強盗や殺人事件などが起こり得るように、リスボンでも犯罪に巻き込まれてしまう可能性はゼロとは言えないでしょう。
できる限り犯罪に遭うリスクを減らすためには、あらかじめ危険なエリアや注意すべき点について知っておくことが何よりも大切です。
ここでは、観光や滞在の際に注意した方が良いリスボン中心街の3つの危険エリアについて解説していきます。
「危険エリア」と題してはいるものの、ヨーロッパの主要都市に比べれば何てことはないようなレベルのものばかり。
それだけリスボンの治安が良いということです。
なので、「危険だから行かない方が良い」という意味での注意喚起ではなく、「何の問題もなく観光&滞在できるが、注意するべき点もある」と理解していただければ。
1.サンタ・カタリナ展望台周辺
「リスボンで一番シックなエリア」と名高いシアド地区(Chiado)の西側に位置するサンタ・カタリナ展望台(Miradouro de Santa Catarina)は、テージョ川を望む絶好の夕日スポットとして、観光客にも地元民にも人気の絶景ポイント。
どこかオルタナティブな雰囲気が漂っている場所で、ミュージシャンやヒッピーなどが多く集まる場所としても知られています。
展望台自体の治安は特に悪くはなく、リスボン独特のサウダードゥ(郷愁)ただよう雰囲気を存分に味わえるのですが、注意したいのはメインストリートから展望台に続く路地。
昼間から柄の悪そうな若者が多くたむろしているような雰囲気で、そのほとんどが大麻を観光客に売っているような人たちなのです。
実際に若い男性一人(や数人のグループ)で行くと、まず声をかけられます。
だからと言って別に何かしてくるわけではないのですが、断るに越したことはないでしょう。
需要があるからこうした商売が成り立っているわけで、路地を抜けた先の展望台は夕方以降は大麻の匂いが立ち込めるカオスな雰囲気と化します。
こちらには別に害はないのですが、子連れ旅行者におすすめできるような雰囲気ではありません。
夕方以降に女性だけで立ち寄る場合にも、細心の注意を払った方が良いでしょう。
2.アンジョス地区
リスボンのど真ん中に位置するバイシャ地区(Baixa)の北東のエリア(地下鉄緑線沿い)は、元植民地だった国にオリジンを持つ移民たちとその子孫が多く生活する地域です。
マルティン・モニシュ駅(Martin Moniz):アジア系
インテンデンテ駅(Intendente):インド系・アフリカ系
アンジョス駅(Anjos):アフリカ系
と、バイシャ地区から北へ向かう地下鉄緑線の駅ごとに、住人たちの人種が変わるという面白いエリアです。
移民だから危険というわけでは全くありませんし、リスボンの一般の人々の生活に触れられる穴場のエリアでもあります。
しかしながら、このエリアはかつて治安が悪いことで有名でした。
特にインテンデンテ駅~アンジョス駅にかけてのエリアが悪評が高かったそうです。
インテンデンテ駅周辺はリスボン市による再開発計画が完了して、「リスボンっ子が通うおしゃれな町」に生まれ変わりました。
しかしながらインテンデンテ駅からアンジョス駅方面(北方面)へと向かうにつれ、なんとなく雰囲気が悪くなるのを実感するでしょう。
何をするでもなく地面に座り込んでいる人や、昼間から酔っぱらっているような人もちらほら見かけます。
治安が悪いと言うか、貧しい人々が集まるような退廃的な雰囲気と言った方が正しいかもしれません。
インテンデンテ駅より北には観光名所は少なく、普通の旅行者が足を踏み入れることは少ないですが、安いホステル&ホテルなどが多く点在しているエリアでもあるので、知らずに予約してしまうと街の雰囲気に驚いてしまうかも。
犯罪が多いわけでもなく、あくまでも気持ちの問題ではありますが、気になる人は避けた方が無難かでしょう。
逆に、格安の宿泊費でディープなリスボンを体験したいという旅慣れた人にとっては、かなりの穴場エリア。
物価が安く交通が便利で、リスボンのローカルライフに簡単に触れることができるためです。
3.アウグスタ通り~レスタウラドーレシュ広場(バイシャ地区)
リスボン観光の中心となるバイシャ地区(Baixa)は、街を代表するショッピングエリアでもあります。
バイシャ地区のメインストリートが、アウグスタ通り(Rua da Augusta)。
コメルシオ広場~ロシオ広場を結ぶお洒落な通りで、石のタイルが敷き詰められたポルトガルらしいストリートの脇にレトロな建物が建ち並びます。
一年中多くの人で賑わうアウグスタ通りは、大麻の売人が多くいる場所でもあります。
需要のある所に出現する習性を持つ彼らは、主に外国人観光客をターゲットに声をかけます。
サンタ・カタリナ展望台の時と同様に相手にしなければ良いだけの話なのですが、結構しつこい人もいるのではっきりと断ってしまいましょう。
アウグスタ通り北端にあるロシオ広場のさらに北に位置するレスタウラドーレシュ広場周辺(Praça dos Restaudores)でも、売人らしき人達がたむろしている姿をよく見かけます。
レスタウラドーレシュ広場は比較的大きな広場で、街の中心にありながらも意外に人通りは少なめ。
広場内には木の影になって周りから見えにくい死角が結構あるので、売人たちが取引をするには絶好の場所となっています。
広場で犯罪に遭った人の話は聞いたことがありませんが、雰囲気はあまり良くないので夜に一人で訪れるのはあまりおすすめしません。
リスボン観光:安全のための注意点・アドバイス
先述の通り、リスボンは全体的にかなり安全な町です。
いくつか雰囲気が悪いエリアについてはすでに解説しましたが、それでも他のヨーロッパ諸国の大都市と比べると目をつぶって歩けるほどに安全。
何なら東京の方が犯罪に遭う可能性が高いと思います。
首都の割にのんびりした雰囲気のリスボンですが、犯罪がゼロというわけではありません。
スリや自転車泥棒の話は何回か聞いたことがありますが、総合的に結構珍しいと思います。
治安面以上に観光客が注意するべきなのは街歩き中の事故かもしれません。
ここからはリスボン観光&滞在を安全なものにするために、在住者視点でのアドバイスをしていきます。
路面電車内はスリに注意!
レトロな通りを路面電車が走る風景は、リスボンの街を象徴するものではないでしょうか。
かつては市民の足としてたくさんの路線が運行していましたが、地下鉄の発達によってその数は徐々に減っていき、現在は数えるほどの路線が残るのみとなっています。
中でも観光客に人気の路線が、リスボンの主な観光エリアを結ぶ路面電車28番。
人気になりすぎて常に混雑するようになったため、もはや地元の人が乗ることはほぼなく、観光客専用路線のようになってしまっています。
混雑した車内、観光客…
そう、路面電車28番の車内は、スリや置き引きを企む輩にとっては絶好の仕事場です。
特に欧米圏の観光客に多いのですが、路面電車の窓から動画を撮るのに夢中になって、口が空いたカバンを床に置きっぱなしにしていたり、リュックサックのチャックが半分開いたままになっている人をかなり多くみかけます。
裏を返せば「それだけ安全」ということではあるのですが、ほぼ観光客でいっぱいの路面電車の車内にスリが紛れ込んでいないとは言い切れません。
現地のポルトガル人ではなく、他の国からやってきた観光客が別の観光客に対して盗みを働くというケースも耳にしたことがあります。
海外旅行の基本中の基本である、身の回りの物の管理。
いくらリスボンが安全な街だからと言って、おろそかにしても良い理由にはなりません。
雨の日の石畳の坂道は危険!
スリよりも大麻の売人よりも、おそらくリスボン観光において最も危険なものが、石畳の坂道です。
リスボンの中心街は、起伏の激しい地形にも関わらず、歩道も車道も全てが石畳で覆われている場所が多いです。
ポルトガルらしい小さな石を地面に敷き詰めたアート作品のような路地はとても美しいのですが、美しいものには棘があるもの。
かなり歩きにくいのはご想像の通りで、特に雨が降っている日は凶器と化します。
急坂を滝のように流れてくる雨水と、表面が濡れてツルツルになった石畳。
ハイヒールやサンダルが滑るのはもちろん、スニーカーでも歩くのに苦労するほどです。
傘をさしながら歩くのは、片手がふさがってしまうのでもってのほか。
リスボンで生まれ育った地元の人でも転んで骨折するくらいなので、石畳の坂の街を歩き慣れていない観光客はさらに注意しなければいけません。
怪我をして旅行が台無しになってしまってからでは後の祭りなので、不安な人や歩くのが苦手な人は坂を登らなくても良い平地エリアのホテルに宿泊することを強くおすすめします。
夏場は無理のないプランニングを!
健康面に関してもう一つアドバイスを。
一般的にポルトガル旅行のベストシーズンと言われる夏場(6月~9月)に旅行を計画している場合は、どうか無理のないプランニングをするようにしてください。
ポルトガルはヨーロッパの中でもかなり暑い国の一つで、リスボンに関しては夏場に一滴も雨が降らないほどカラカラ&灼熱の日差しが降り注ぐ日が続きます。
日本のムシムシした夏も相当なものですが、屋内や公共交通機関では冷房が効いているため、最悪の場合避難することができるでしょう。
しかしながら、ポルトガルでは冷房自体がない施設やレストランもまだまだ多くあります。
また、公共交通機関に難ありのリスボンでは、七つの丘に点在する観光地を訪問するためには基本的に徒歩でのアクセスとなります。
「外は灼熱&屋内は冷房が効いていない&外を歩く機会が多い」となると、いざ熱中症のような症状が出てしまった場合にもう逃げ場がありません。
夏場のリスボン観光のポイントとしては、一日中歩き回って観光地をまわるような無謀なプランは避けること。
屋外観光→休憩→散策→休憩
と、休憩を多めにとれるような余裕を持ったプランニングが絶対です。
夏場のリスボンの太陽の日差しは相当きついものの、湿度が少ないため、日陰に入れば意外と快適なことも多いです。
(それでもまあ暑いですが)
ポルトガルは、やたらその辺の木陰に座ってぼうっとしている暇そうな人で溢れている国なのですが、実は彼らは遺伝子レベルでこの暑さへの対処法が見についているのかもしれません(笑)
リスボンでは警戒心を持ちすぎると損!
「海外旅行で知らない人に話しかけられたら注意しろ!」とはよく言ったもの。
観光地として有名な町では、観光客をターゲットにした詐欺やぼったくりが横行しているような場所も多くあり、注意するに越したことはないでしょう。
しかしながら、リスボン(というかポルトガル)では、そこまで警戒心をガチガチに持つ必要はないと思います。
先述の通り、リスボンでは観光客をターゲットにした詐欺の類はとても少なく、ぼったくりの類も稀。
外国人であろうと地元の人と同じ価格で食事・買い物することが可能です。
また、ポルトガル(特にリスボン)では言葉の通じなさそうな外国人に自らすすんで話しかける文化は基本的にありません。
(先述の大麻の売人や観光客向けのレストランの客引き等は別にして)
だからと言って、ポルトガルの人々が冷たいというわけではありません。
日本で一目見て外国人だと分かる人に「こんにちは!何してるの?」なんてすすんで話しかける文化がないのと同様というだけです。
こちらが話しかければちゃんと受け答えしてくれますし(ポルトガル語で)、基本的にシャイな人が多いのかもしれませんね。
宿泊先や現地のローカルレストランなどで現地の人と関わる機会もあるでしょうが、こちらが警戒心を持ちすぎていると、せっかくの出会いのチャンスを無駄にしてしまうかも。
ポルトガル人全員が絶対的に良い人とはもちろん言いませんが、少しリラックスして相手を受け入れてあげると、ポルトガルの人々との出会いがより深い思い出になると思います。
おわりに
リスボン観光&滞在で気になる治安面について解説してきました。
注意すべき点はいくつかあるものの、総じて安全に旅行できる町であることが伝われば嬉しいです。
ポルトガル最大の都市であるリスボンでさえ、こんなにのんびりとした安全な雰囲気なので、その他の町や地方部の治安が良いのは言うまでもありません。
穏やかな気候の中でゆったり流れる時間を味わいたい人に、是非おすすめしたい旅行先です。
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