こんにちは!とうとう海外在住6年目に突入したのぶよです。
さて、今回が第一回目となる「さぼわーログ」のコーナー。
のぶよが海外生活を通して感じた、「海外から日本人はこう見られている」「海外の文化を知ってから改めてみる日本の文化や習慣」という、日本人が気になってしょうがないであろう話題を海外在住者ならではの視点で考えていくものです。
つまり、「海外在住の日本人から見た、日本と日本人」という画期的な(?)テーマで気が向いたときに更新するという気まぐれなシリーズ。
初投稿となる今回の記事では、「海外から見た日本人のコミュニケーション能力」に焦点を当てていきます。
「こんにちは」の後に「元気ですか?」と相手に訪ねますか?
「挨拶はとても大切だ。」
私たち日本人は、幼いころから口を酸っぱくしてそう言われた思い出が少なからずあるのではないでしょうか。
本当にその通りです。
子供の頃は「いちいち近所の人に挨拶するの面倒くさい!」なんて思うこともありましたが、大人になった今となっては、挨拶は基本。
昼なら「こんにちは」、夜なら「こんばんは」と、たった五文字でコミュニケーションを円滑に贈れる魔法のような言葉、それが挨拶なのです。
それは日本だけの文化ではありません。
海外でも挨拶は基本中の基本です。
英語圏ならば”Hello, how are you?”ですし、フランス語圏なら”Salut, ça va?”、スペイン語圏なら”Hola, como esta?”といった具合に挨拶をします。
これら海外での挨拶を日本語にすると、ご存知の通り「こんにちは。お元気ですか。」となります。
ところで、この「お元気ですか」というフレーズ、日本で実際に使ったことがありますか?
もちろん久しぶりに声を聞く友達に「元気~?」とたずねることはあるでしょう。
そうではなく、毎日の挨拶の中でこの表現を使うかどうかということです。
のぶよはありません。
もしも友達にそう挨拶されたら、「え、どうしたの?大丈夫?」と聞き返してしまうでしょう。
のぶよはフランスとカナダで日本語講師をしていたのですが、初級のクラスではまず初めに挨拶の仕方を学びます。
一つの例外もなく、どんな教科書にも「こんにちは。元気ですか。」と書かれているので、日本語を学習する生徒たちは何の疑問も持たずに「元気ですか」を使うようになります。
でも、会うたびに「元気ですか」と聞かれても、困るんですよね。
だって元気ですもん。見りゃわかるでしょ。元気じゃなかったらここには居ません(笑)
対して、日本で外国語を学習する私たち日本人の場合。
英語を学習する際に、
“Hello, How are you?”
“I’m fine thank you, and you?”
“Me, too.”
の一連の流れを練習させられ、覚えさせられます。
のぶよの場合は、「なんでいちいちこんな答えがわかってる質問をしなきゃいけないんだ」とすごく疑問に感じたことを覚えています。
では、どうして外国語 (特に欧米の言語)では、挨拶に関してこのような一見無駄とも言えそうな応答をするのでしょうか。
“How are you?”は、単に相手が元気かどうか知りたいわけではない
英語やフランス語、スペイン語などでは共通の認識なのですが、“How are you?”と尋ねるときに、本当に相手が元気なのかどうかを質問したい人は存在しません。
元気だからここにいることは明白なので、わざわざ気にする必要もないわけです。
それにもかかわらず、彼らは挨拶をするとき”Hello”や”Hi”だけでは物足りず、 “How are you?” を必ずと言っていいほど付け足します。
なぜなら、このフレーズは単なる挨拶ではなく、相手との会話の糸口を探るテクニックだからです。
海外のネイティブの会話を注意深く聞くと一目瞭然なのですが、彼らは”How are you?”と聞かれた後に自分から話し出す人が多いです。
(How are you?の返答として)
“Yeah I’m good, but… you know, yesterday my boyfriend came and I……..”
“Pretty good, well… actually I feel a bit tired because….”
など、一度「元気である」と言った後に、最近自分の身に起こったことなどを話し始めます。
いわば、自分から会話のネタを提供してくれているわけです。
その結果、受け手はそれに対して感想を言ったり、笑ったり、関連する自分の体験について話を広げたりとコミュニケーションが展開されていきます。
一方で、”How are you?”と聞かれても、”I’m good, how about you?”などと質問で返してくる人も存在します。
その場合は、「特に自分からは話すことがない(もしくは話したくない)から、あなたが話してね。」というサイン。
そんな反応を受けたネイティブの人々は、
“Good thanks, so…what are you doing ?”
“Not bad! Ah…I wanted to tell you something ~”
など、自分が会話のネタを提供しようとします。
のぶよの経験上、ほぼ100%このどちらかのパターンで会話が始まり、広がっていきます。
では、私たち日本人が挨拶をする際も、同じことが言えるのでしょうか。
“I’m fine, thanks.”のあと、会話を続けられない日本人
さて、日本人の場合を見ていきましょう。
留学やワーキングホリデーなどで海外で生活を始める日本人は増えてきています。
国際共通語としての英語の地位は年々高まっており、日本国内でも英語やその他外国語がが流暢に話せる日本人も増加しています。
しかし、「言語が話せる」ことと「言語を使ってコミュニケーションがとれる」ことは別のスキルなんです。
一度立ち止まって、考えてみましょう。
あなたが外国語 (ここでは英語) で”How are you?”ときかれたら、どのように返事をするでしょうか。
“I’m fine, thanks.”
“Good!”
とピリオド(.)をつけたように返答する人が多いのでは。
ピリオドとはその名の通り「終止符」。
会話はこれで終わりということだと捉えられます。
あなたにその気がなくても、「自分から話を広げない」「何も質問を返さない」その時点で、「ピリオド」と捉えられてしまいます。
考えてみましょう。
会話に詰まって、話の糸口を探るために「いい天気ですね」と言ったのに「そうですね。(その後無言)」と応じられたらどう感じるでしょうか。
「なんかこの人感じ悪いな」
「なんか気まずいな」
「私と会話したくないのかな」
と思うでしょう。
たとえ外国でも、その感覚は同じものです。
「日本人は空気を読むのが得意だ。」と偉い人たちが論じていることも多いのですが、海外の人だってちゃんと空気読んでますよ。
空気を読んでいるから、相手に会話を提供するか、相手から会話を引き出そうとしているんです。
それがわからないまま海外で過ごしてしまう日本人の中には、とりあえず気まずさを紛らわすために笑顔で乗り切ったり、できるだけ会話を避けようとする人もいます。
そんな態度は、「笑ってるけど会話はしたくない。何考えてるかわからない変な人」や「なんだかわからないけど感じが悪い人」という烙印を押されてしまうのです。
「日本人は大人しくて落ち着いていて良いけど、なんか友達になりづらい」
実は日本人ってこんな感じに思われていたりすることも。
海外の人からのこのひと言が全てなんです。
会話やコミュニケーションはキャッチボール。
自分から話しを広げられないのなら、最低限相手に対して”and you?”と質問を返すことで、会話のボールを受け渡したいものです。
日本人はコミュニケーションが下手なのか
この記事のテーマである、国際的に見た日本人のコミュニケーション能力について。
のぶよの個人的な意見は、日本人は決してコミュニケーションが下手なわけではないということ。
確かに、欧米のスタンダードに視点を移してみると、日本人の外国語でのコミュニケーションにおける何とも言えない不器用さや会話の展開、話題のバリエーションの乏しさは残念ながら目立ってしまいます。
“How are you?” に対して上手に気の利いた返答ができて、さらにその場の会話の主導権を握れる人がいったいどれほどいるでしょうか。
それを英語力の不足だなんだという人もいますが、そうじゃないんです。
そもそも語学学習の最終的な目標は、「その言葉を使ってコミュニケーションをとれる」こと。
そのコミュニケーションの根本的なスタンスの違いを学習せずに、「外国語」という手段だけを勉強してしまったから、うまく立ち回れないというわけです。
いわば本末転倒。
私たち日本人には、「あえて言語化しない」という文化が根付いています。
何でもかんでも言葉に出して、「元気ですか?」「どうしたの?」「何かあったの?」などというのは野暮。
その場の雰囲気や会話の行間、相手の態度などを総合的に、そして瞬時に判断して、適宜その場にふさわしい言葉のみを発するという、なんとも奥ゆかしい文化が私たちには備わっています。
「言葉でにしなくても、なんとなくわかる」
「あ、この人機嫌悪そうだな。あまり触れないようにしよう。」
「あまり深く色々聞きすぎたら図々しく思われるから、当たり障りのない会話をしておこう」
こういった日常的なちょっとした相手に対する「気づき」を大切にすることが、私たち日本人が古くから大切にしてきたコミュニケーション方法の大原則なのです。
しかし、外国に滞在するならば、日本のコミュニケーション文化を保持していてはやっていけないでしょう。
「相手が反応しやすいように、自分が話をすること」
それこそが、海外 (特に欧米での) コミュニケーション方法の基本です。
つまり「雑談力」こそが、海外でのコミュニケーションに大切なのです。
あいさつから入って、とりとめのない話をして、お互いに気持ちよく会話ができて笑いあえる。
簡単そうに見えますが、これがかなり難しいんです。
よく海外留学などしている人で、
“In Japan,~”とか”Japanese people~”とかやたら日本の話題に持っていきたがる日本人の人いますよね。
それ、誰も求めてませんから。まじで(笑)
だって、日本にいる外国人が
「私の国ではね~」
「私の国の人だったら~」
と四六時中話してたら、ウザくないですか?(笑)
「ここ日本だから!」って思うのでは。のぶよだったら普通に思う。
「言語が話せる」ことと「言語を使ってコミュニケーションができる」ことは似て非なるもの。
まずは、相手が興味を持ってくれて話が弾むであろう話題を自分がどれだけ発信できるか、それを考えないと、いつまでたってもただの「外国にいるのになぜか日本のことばかり話したい日本人」のままです。
日本人のコミュニケーション方法は変わっていくべきなのか
これまで、日本人である私たちにとっての「普通」であるコミュニケーション方法は、世界的に決して普通なわけではないというお話をしてきました。
それでは、この国際化する社会に適応すべく、私たちはもっと言語表現によって可視化された欧米型のコミュニケーション方法を取り入れていくべきなのでしょうか。
のぶよはそうは思いません。
「日本には日本の文化がある」と言ってしまえばそれまでなのですが、全てを欧米をスタンダードとして考える必要はないと思います。
ただし、「私たち日本人のコミュニケーションスタイルは、必ずしも世界共通のものではない」ということを、日本人全員が改めて認識する必要はあると思います。
特に、これからより国際化していくであろう社会において、やはりコミュニケーション方法のスタンダードは、欧米の言語文化のように明確に表されるものが主流のままでしょう。
そんな国際競争に勝ち抜いていくためには、外国語の文法だけ学んでいても仕方がありません。
学んだ外国語のスキルを用いながら、自分の文化のものとは異なるコミュニケーション方法にも上手に適応できる。そんな人材が求められていくのではないかと感じています。
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