死は恐れるものではないと説く、ルーマニアの「陽気な墓」がかなり深い件。

死は恐れるものではないと説く、ルーマニアの「陽気な墓」がかなり深い件。

こんにちは!ルーマニアの田舎をのんびり旅している、世界半周中ののぶよです。
(世界半周についてはこちらの記事へどうぞ。)

いきなりですが、ルーマニアにある「陽気な墓」を知っていますか?

「お墓なのに陽気って…」
不謹慎という言葉が大好きな日本人として、そう思ってしまったのぶよ。

しかしこの「陽気な墓」、本当に陽気なんです。

訪れる人たちがみんな笑顔で帰っていくくらい。

陽気な墓は、ルーマニア北部・マラムレシュ地方の小さな村、サプンツァ (Săpânţa) にあります。

青色に塗られた墓標が一面に広がる景色は、ルーマニアの珍スポット兼SNS映えスポットとして、地元ルーマニア人に絶大な人気を誇る場所なんです。

ブカレストやブラショフなどのルーマニアのメインとなる観光都市からは遠いのが難点ですが、せっかくなので行ってきました、陽気な墓へ。

どこがどう陽気なのか、写真を交えて詳しく解説していきます。

記事後半では、陽気な墓観光の拠点となる、シゲトゥ・マルマツィエイ (Sighetu Marmației)という町からサプンツァ村までの詳しい行き方と、シゲトゥ唯一のホステルも紹介します。

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陽気な墓がどのくらい陽気なのか伝えたい

↑陽気な墓の入口。中心にはカラフルな教会も。

サプンツァ・ブルーに塗られたお墓

「サプンツァ・ブルー」とも言われる、濃い青色に統一された陽気な墓。
時間がたって色あせたものもありますが、どこまでも青い墓標が建ち並ぶ様子は圧巻。

ルーマニアらしく、カラフルな模様で色付けされた墓標自体が、すでに陽気な感じがします。

少なくとも、日本のお墓のような陰鬱とした静寂はここには存在しません。

ユーモアたっぷりの墓標と微妙なクオリティーの絵

陽気な墓の青い墓標には、故人がどんな人であったのかが記されています。
その内容は、真面目に書かれているものから、ユーモアたっぷりなものまでさまざま。

ルーマニア語が分かれば絶対に面白いこと間違いないでしょう。

のぶよのようにルーマニア語なんてわからないほとんどの旅行者は、とにかく墓標に描かれた絵に注目しましょう。

故人の職業がかなり微妙なクオリティーな絵で描かれています。

羊飼いのおじさん。陽気な墓に眠る羊飼い率は異常でした。

木こり。

お医者さん。

先生。

踊っているおっさん。

政府のお偉いさん?

お金持ちそうな人。

ただののん兵衛。

などなど、とにかく一つ一つのお墓が違うデザインで、亡くなった人の職業を描いています。

足元で眠る人がどんな人だったのか、思いを馳せてみるのもなかなかいいもの。
のぶよはのん兵衛のおっさんにシンパシーを感じました。

中には死因が描かれたお墓まで

陽気なお墓の一部の墓標には、どうしてその人が亡くなったのか描かれたものもあります。

どれも悲しい出来事のはずなのですが、なんだか可笑しくなってしまうのは、絵のクオリティーのせいでしょうか。
いや、ここは陽気な墓。あくまでも楽しくていいんです!

電車に轢かれた人。

落石事故?に遭った人。

火がブワーってなった人。

木がゴーンってなった人。

車でドーンってなった人。

そしておそらく、自殺した人。

こんな風にコミカルに描かれると、「こっち側も楽しいよ~おいでよ~」なんて声が聞こえてきそうです。
それくらいに、陽気。

お墓のカラフルさもあって、なんだかここで眠っている人、みんな楽しそうです。

陽気な墓の成り立ちとルーマニア人の死生観

何も知らずに訪れると、「うわあ、きれい!写真撮らなきゃ!」で終わってしまいかねない陽気な墓。

その成り立ちには、マラムレシュ地方のルーマニア人の死生観や、文化が深く関連しています。

画家であり詩人でもあったイオン・スタン・パトラスという人の死後に、彼の人生を象徴する絵と言葉を墓標に記したのがすべての始まりである陽気な墓。

現在ではほとんどの墓標が、「サパンタ・ブルー」と称される青色に塗られ、故人の人生を描いた絵と言葉で飾られています。

その内容は、故人が送った人生や職業、どんな人物でどんな思想を持っていたのかということが、マラムレシュ地方の方言で記されているもの。

陽気な墓でとても印象的だったのが、訪れているルーマニア人が、墓標に記された文を読んで微笑んでいたり、時には声をあげて笑っていたこと。

陽気な墓には、ただ単に個人の人生の略歴を記しているだけではなく、特にユーモアを交えてその人が送った人間くさい人生を語っている墓標も多くあるんです。

そこには、ルーマニア人が持つ「生と死」に対する考え方が深く影響しています。

ルーマニア人、特に地方部に住む人たちは、死を怖れる気持ちが少ないそう。

信心深い彼らにとって、「死」を意味する十字架とは、単に永遠の休息への道しるべでしかなく、「死は、なにも特別なものではなく、偉大な太陽の動きによって自然とおとずれるもの」という考え方が広く共有されているそうです。

なので、結局誰にでも変わることなく訪れ、皆が同じように無に還る「死」を意識するよりも、人それぞれ自分の好きなようにできる「生」に焦点を当て、それを目一杯満喫しようとするわけです。

ルーマニア人は、誰かが亡くなった時に、「彼は死んだ」と言うのではなく、「彼は生きていた」と表現するそう。

これも、ありきたりで誰にでも訪れる「死」よりも「生きていた」という、その人独自の歴史を大切にするという例の一つではないでしょうか。

私たち日本人にとっては、死とは忌むべきものであり、悲しいもの。
悲しみに暮れる人々の目の前で、お墓の中に入ってしまったら、あとは生年月日と没年月日だけが記された無機質な石の下にただ居続けるだけ。

故人がどんな人間で、どんな人生を送ってきたかなど、どんどん忘れ去られながら無に還っていくのです。
私たちが、他人の墓の下で眠っている人のかつての人生について考えることがないように。

一方で、ルーマニアの陽気な墓は、故人の「死」を感じる場所ではなく、その人の「生」の中に存在したドラマや人生に、他人であっても思いを馳せられる場所なのです。

陽気な墓への行き方

陽気な墓があるのはサプンツァ (Sapanta) という小さな村。

サプンツァへのアクセスの拠点は、シゲトゥ・マラムツィエイ(Sighetu Marmatiei)の一択です。

↑シゲトゥ始発でSatu Mare経由ティミショアラ行きのミニバスがサプンツァを通る。

シゲトゥ・マルマツィエイ鉄道駅前にあるAutogara Turというバスターミナルから、一日2本出ているティミショアラ(Timisoara)行きに乗り、サプンツァで途中下車します。
所要時間20分ほど、料金は片道6LEI (=¥160)です。

これ以外にもシゲトゥ – サプンツァのバスは運行しているそうですが、それは平日の話。
平日は一日に合計4〜5往復運行していますが、土日は一日2本のみという不便極まりないスケジュールです。

のぶよの場合、陽気な墓訪問は土曜日にあたってしまいました。

土日の場合、スケジュールが確かで利用しやすいのは、

10:30シゲトゥ発のティミショアラ行きのバスに乗り、サプンツァ村で途中下車、観光。
サプンツァ村14:30頃発シゲトゥ行き (同じバス会社) で戻る

というスケジュール。

のぶよは、「最悪ヒッチハイクで帰ればいいや」と思っていたのですが、バスが来る時間の1時間ぐらい前にサプンツァ村のバス停に行ってみると、シゲトゥ方面に向かうバス停には数人の村人が。

「これはもしや…!」と思っていると案の定。
無駄に大きなバスがやって来るではありませんか。

全くもって時刻表に書かれていなかった大型バス。
とにかくヒッチハイクする手間が省けてよかったです(笑)

このように、何が起こるのかよくわからないのがルーマニア。来るはずもないバスが来ることもあるので、その辺は地元の人たちを観察して判断しましょう。

もちろん、ヒッチハイクでシゲトゥまで戻るのもアリです。多くの村人がヒッチハイクしているので、それに便乗して乗せてもらいましょう、思っている以上に簡単ですよ。

ヒッチハイク大国ルーマニアで学んだ、ヒッチハイク成功のコツを伝授しています。

 Ça voir! -さぼわーる-
Ça voir! -さぼわーる-

シゲトゥには2つのバスターミナルがあり、バス会社ごとに分かれています。

サプンツァ経由ティミショアラ行きのバスは、鉄道駅目の前のAutogara Turを発着します。
100mほど離れたAutogara Janではないので注意。

陽気な墓観光の拠点。シゲトゥ・マルマツィエイのホステル情報

Cobwobs Hostel (Facebookページで見る)

住所:22 Decembrie 1989 no 42 A, Sighetu Marmației
料金:50LEI(=¥1330)
部屋:3ベッドドミトリー

・立地:7/10
鉄道駅、バスターミナルからは1kmほど。中心街の端にあって静かで便利です。
スーパーマーケットまでは少し遠いのは難点。

・アクセス:6/10
看板等は全く無く、知らなければただの一軒家と思ってしまうほど。
オーナーの住居兼ホステルなので、常に人がいて、チェックインしやすいのは良い点。

・スタッフ:6/10
良くも悪くも、あまり干渉してこない感じ。最低限の情報などはちゃんと教えてくれます。
せっかく家庭的なホステルなので、もう少しコミュニケーションがあってもいいかも。

・清潔さ:7/10
ほとんど人が泊まらないためか、若干適当な感じ。一応はきれいにはされていました。

・設備:2/10
シャワー、トイレともに二つずつあるものの、お湯の出が悪すぎてかなり寒かったです。暖房も切られていて、夜は極寒でした。

一番気に入らないのが、キッチンの設備がなく、お湯を沸かすことすらできないこと。
母屋に行って頼むことはできるんですが、なかなか毎回お湯をもらいに行くのは気が引けます。

・wi-fi:10/10
ホステル内どこでも高速でした。

・雰囲気:5/10
他に宿泊客がいなかったこともありますが、何となく「放置された」ような気分になりました。
広い庭もありテラスもあるのに、ちゃんと整備されていないので微妙。

もっとちゃんとすれば良い雰囲気になりそうなのにもったいないです。

総合:6.1/10

とにかく微妙なホステル。
決して悪くはないものの、もうちょっといろいろ頑張ってほしいところです。

お湯の出が悪いのと寒いのはかなりのマイナスですが、町で一番安く泊まれるホステルなので、まあ仕方がないでしょう。
Booking.comなどのサイトとは提携していないらしく、Facebookでメッセージを送るか、現地で直接訪れるかの二択です。

ルーマニア他都市からシゲトゥ・マルマツィエイへのアクセス

ウクライナとの国境近くにあるシゲトゥの町。
ルーマニアの他都市からはかなり離れているため、いずれの都市からもアクセスにはかなり時間がかかります。

そのうえ、バス・鉄道ともにあまり多くの便が運行されていないので、あらかじめ交通手段のスケジュールを調べておきましょう。

シゲトゥへの直行列車やバスが走っている代表的な都市が、ティミショアラクルジュ・ナポカです。
いずれも直行のバス、列車ともに一日2本ほど、所要時間は5~7時間ほどかかります。

のぶよの場合は、南ブコビナ地方のスチャヴァからグラ・フモールルイまでミニバス、そこからバスを乗り換えてシゲトゥ・マルマツィエイという珍しいルートで移動してきました。

↑グラ・フモールルイ – シゲトゥ間のバスの時刻表

1日1本運行で、11:20グラ・フモールルイ発、16:30シゲトゥ着。
反対方向は、11:00シゲトゥ発、16:00グラ・フモールルイ着。

このバスはスチャヴァを通らずに、ルーマニア東部のヤシへと向かうものです。

途中の険しい山々の大自然や、忘れ去られたような村々の風景はとても美しく、あっという間に5時間の移動が終わっていたほど。

マラムレシュとセットで、南ブコビナ地方の世界遺産・「五つの修道院」を訪れようと考えているなら、利用価値大の移動ルートです。もおすすめです。

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